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【雑 感:2002/01/14】
VOICE
「成人の日」
2002年1月14日は「成人の日」とあって、日経新聞朝刊2面の”社説”が、今年、大人の仲間入りをする約152万人の若者たちに、歓迎の言葉を送っている。ところが、その中味ときたら・・・。
この新成人たちの10年後、20年後の日本は、どうなっているのであろうか?いま日本は、明らかに危機を迎えている。おそらく小泉首相はもとより、トップ官僚、トップ経営者、トップ経済学者ですら、2年後、3年後の日本の姿を描き出せる人は皆無ではなかろうか?何が起きても不思議でない、なんでもありの日本の現状。このようなときに「成人の日」を迎えた若者たちに送る言葉としては、あまりに「大人びた」その社説の文章は、私の目をウォッチさせ、怒りのキーを叩かせるのに十分な内容であった。
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『大人たちが祝日まで設けて新成人の誕生を歓迎するのは、既存の社会をより強く豊かにするために、少々異質な新しい仲間による刺激が欠かせないからだ。特に今は、長年たまった社会のウミやオリを取り除く大手術の時期。新成人が生まれた1981年、日本の国内総生産(GNP)の名目成長率は7.3%だったが、いまやマイナスに転落してしまった。』
オソレ入谷の鬼子母神。よくぞここまでエラそうな態度がとれるものかと、大人でありながら「少々異質な」私は、アキレ返ってしまう。『大人たちが祝日まで設けて』だと。今年この日に成人式を迎えて「大人」となる若者たちに対して、「祝日まで設けてやった」という言い方はないだろう。新たに大人の仲間入りをし、ともに社会を支えていく立場となる若者たちを、「大人社会」の先輩として、心から歓迎するために祝日を設けて云々と、「大人」であれば言うべきところではなかろうか。そんな「大人」だから、長年にわたって社会にウミやオリをため込んできたのであろう。
『既存の社会をより強く豊かにするために』だと。「新成人が生まれた1981年、日本のGNPの名目成長率は7.3%だったが、いまやマイナスに転落してしまった」と自ら言ってるではないか。世界第二位の経済大国を誇る日本の景気は、すっかり落ち込んできてしまった。株価は、1万円を再び割り込む水準まで下がっている。既存の社会は、「大人」たちの手によってすっかり輝きを失ってしまった。なにが「より強くより豊かに」だ。「往年の強さと豊かさを回復するために」というのが、正しい表現だ。ただ単に言葉遣いを間違った、というのでもなさそうだ。自分たちのありもしない業績を自慢してみせる、そこに醜い「大人」の、「うそ」と「傲慢」がちらりとのぞき見える。若者たちが、それに気づいていないと考えたら大間違いだ。彼らは直感的に気づいている。「大人」のずるさを。
『少々異質な新しい仲間による刺激が欠かせないからだ』なんだこりゃ。今年、大人の仲間入りをする約152万人の若者たちが、「少々異質」だと。自分たちがまともで標準で、新成人は「異質」だというのか?大手術をしなければならないほど長年の間にウミやオリをため込んだあなたたちがまともで標準だというのか?「少々異質な」大人である私は、こういう思考停止のもの言いには、カチンときてしまう。人間は一人一人顔が違っているように、同じ人生を生きる人間は一人もいないように、十人いれば十色の考え方があることは、自然の摂理である。他人と同じことをしていなければ、同じようにものを考えていなければ”不安だ”という未成熟な「大人」には、私は、今年新成人になる若者たちにはなってほしくない。「長年にわたって社会にウミやオリをため込んだ」ずるい醜い大人とは「異質」、大いにけっこうではないか。若者たちよ、胸をはって、「私たちは今の大人たちとは違うタイプの大人でありたい」と言ってくれ。少数ではあるが、「少々異質な」大人たちは、そういう君たちを心から応援している。
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”社説”に戻ろう。
『そんな日本が、変革の息吹にあふれた若者たちの加勢を待っている。』まことに自然な文章で、こんな言葉のどこに文句のつけようがあろうか?それがあるから情けない。「加勢を待っている」と「大人」たちは言い、待っている中味とは次の二つのことだというから、新成人たちはたまったものではない。
『具体的には、まず選挙権の行使だが、これはいうまでもないだろう。曇りのない目で、21世紀の社会を托せる人物を選んでほしい。』
おいおい、そう簡単に言ってくれるなよ。「21世紀の社会を託せる人物」がいなかったら、どうするんだよ?そんなのよくあるケースというか、それがほとんどのケースだよ。そういう場合は、次善の人物を選べと?・・・言うことはわかるが、それが難しい。大の「大人」ですら悩みに悩むところなんだから(実は私自身のこと)。どこを見てもどんぐりの背比べの時は、どうするんだよ?面倒みてられない。自分でよく考えろって?
私自身は、選ぶに値しない候補者しかいなければ、「白紙投票」も立派な一つの「選挙権の行使」ではなかろうかと考えている。投票率の高低は、固定票に支えられた政党に大きな影響をおよぼす。また投票率は、国民の政治に対する関心度を表すバロメーターとも言われる。投票率が5割を切ってくれば、民主政治を支える選挙制度にとって大きな問題となるはずだ。ベターな候補者を選ぶということは当然ではあるが、問題を提起するという意味において、白紙投票もひとつの意味のある投票行動ではないかと、私は常々考えている。
私なら、今年、初めて選挙権を得る新成人の若者たちに、こう言う。「自らの意思で候補者(もしくは政党)を選択し、悔いのない投票をしてください」と。
『期待されることの第二は、年金など社会保障の支え手の輪に参加することだ。20歳になると学生も自営業者らとともに、国民年金保険料の納付義務が生じる。だが、実際の納付率は75%程度(99年度)で、確信犯的に不払いを決め込んでいる学生諸君も結構多そうだ。年金財政の深刻さに追い討ちをかける不払いは、急速な高齢化で将来、受益より負担が多くなりそうな若い世代の「反乱」との見方もある。ただでさえ若者を取り巻く経済環境は厳しく、アルバイト賃金は低下傾向。就職難も深刻で、24歳以下の完全失業率(11月、季節調整前)は8.4%だ。』
一つめが「選挙に行け」で、二つめが「年金を払え」だとさ。記者も言っているように、「受益より負担が多くなりそうな」、しかもほとんどがまだ学生であろう今年の新成人に、「年金を払いなさい」という以外の、もっと心の浮き立つような話題を取り上げられないものか?年金財政をここまで深刻化させた「大人」たちの責任は、誰も問われていない。自分たちの「責任」は棚にあげて、やっと「大人」の仲間入りをしたばかりの若者たちに、納付「義務」をせっつくのはいかがなものであろうか?
さすがに記者も気が引けると見えて、このようなことを言っている。
『それでも責務は責務として果たすのが、成人の条件といっては、厳しすぎるだろうか。異議申し立ての道具は、選挙権という形で与えられているのだから。』
「責務を責務として果たすのが、成人の条件」だと。社会のそこら中に、特に政治家・官僚といったところに、「責任は、果たさず、執(と)らず、省みず」という風潮が蔓延している中で、よくまあ白々しく「成人の条件」だと言えるもんだ。新成人となった若者たちに範をたれる意味においても、毎年この「成人の日」を機に、「大人」たちは自分たちがちゃんと責務を果たしているかどうか、今一度じっくり反省してみることも必要である、てなことをコメントすれば、立派な記事になるのに。
そして「異議申し立ての道具は、選挙権という形で与えられているのだから」だと。まったく、選挙権の行使で世の中が簡単に良い方向へ変わるのなら、こんな簡単な話はないぜ。もっともそんなことは「今時の若者」なら、成人式を迎える前から知っていることだろう。だからこそ、ぬけぬけと「異議申し立ての道具は、選挙権という形で与えられている」などという新聞の”社説”そのものが、彼らからバカにされているのが、なぜ記者連中は気がつかない?
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『閉塞感が漂うかに見える中で、能力や意欲次第では地平が開ける要素も着実に増えている。例えば「飛び入学」制度の導入により千葉大学大学院では、この春、戦後の日本で初の「20歳の大学院生」が誕生しそうな気配だ』だと。そんな特別優秀な人間の話を持ち出すなって。同じ土俵の上で話をしてくれ。ぬけぬけと例外を持ち出して論理を組み立てようとする、そういう醜い「大人」の態度もやめるべきだ。
『個人の努力が報われる社会が栄えるためには、努力する個人が多数いることが前提となる。逃げず、甘えず、見くびらず挑戦し、一人前の気概を見せてほしい。』
わかったよ!”社説”の記者さんは、これらすべてのことを、「大人」に対する自戒の言葉として語っていることが、ようやくわかったよ。「逃げず、甘えず、見くびらず挑戦し、一人前の気概を見せてほしい」、ほんとにそうだ。いまの「大人」ときたら、責任逃れをし、既得権益構造に甘ったれてすがりつき、国民を日本社会の主役とも思わず見くびり、挑戦せずにすべて先送りする連中ばかり。
そうなんだ!読者のみなさん、この”社説”を書いた記者の意図は、「逆説」にあったんです。この記者は、読者の「大人」のみなさん、実はこの記事を、あなた方に宛てて書いてたんですよ!
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そうはいっても、今年、大人の仲間入りをする約152万人の若者のみなさん、世の中にはもちろん立派な「大人」もたくさんいることを忘れてはいけない。そういう立派な「大人」と、醜い「大人」を峻別する目を持つこと、これも「大人」の仲間入りをするみなさんにとって、たいへん重要なことである。それに、この”社説”のような、「ためにする記事」と、「ほんとうの記事」とを選別できる目を、これも是非みなさん、これから備えていただきたい。世の中には裏と表があり、裏を読み取る力、これも「大人」として是非磨いていってほしい。
お説教はこれまで。さあ、みんな、祝おうじゃないか!今年、大人の仲間入りをする若者のみなさんの「成人の日」を。
(2002/01/17)
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