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2002/03/05】 

「川口外相のスカートを踏んだのは誰だ?」
ークサイモノニハフター

本日の興味深いニュースは、これだろう。

川口順子外相は5日の会見で、非政府組織(NGO)「ピースウィンズ・ジャパン」の統括責任者、大西健丞氏が4日の参院予算委で、アフガン復興支援国際会議からの排除は鈴木宗男衆院議員の圧力と述べたことについて、「内閣が調査し(関与を否定した)結果を発表した。尊重されるべきだと思う」と述べ、再調査の考えがないことを示した。
外相はまた、大西氏と対応した重家俊範中東アフリカ局長から事情を聞いたことを示し、「大西氏はきちんと答弁していたが、重家局長も立派な人物だ。局長より大西氏の方が正しいとは思わない」と語った。

[毎日新聞3月5日](2002-03-05-17:26)

川口外相は、元通産官僚である。通商産業大臣官房審議官まで務め上げた、バリバリのエリート官僚であった。
どっぷりと「官僚王国」に暮らしてきた人物に、どだい上面(うわつら)でない真の外務省改革などできるわけがないことは、誰もが感じていたことではあったが、こうまで露骨に明らかにされようとは、ちょっと驚きではあった。

つい前日4日に川口外相が発表した、北方四島の人道支援事業など自民党の鈴木宗男衆院議員の関与疑惑に関する「調査報告書」に、何と書いてあったか?
外相は、外務省と鈴木氏の関係について「異常な関係があり、社会通念に照らしてあってはならない異例な状態だ」と、こう批判していたではないか。
報告書には、「鈴木議員の意向が突出した形で重視され、同議員の意向を推し量り、それを無視し得ないものと受け止め、実現する方向へ働き掛けざるを得ない雰囲気が省内に存在していた。このような関係が当然視されてきたことは異常である」と書かれている。

そもそも、鈴木議員の外務省への関与が表沙汰になったのは、アフガン復興支援国際会議へのNGOニ団体の外務省による参加排除問題に端を発したのではなかったか?
重家局長も、いったんは国会でNGO排除問題において鈴木議員の関与があったことを、認めた答弁をしたではないか?
4日の参院予算委員会では、参考人として招致された大西氏が、「重家局長から電話があり、鈴木さんが会議に出席させるなと言っている。誤りの電話を入れてほしい、と要請された」と明言しているではないか。
田中前外相が、野上前次官が鈴木氏の名前を出したと国会答弁で語ったときも、鈴木議員は、直ぐ野上前次官に電話して、彼はそんなこと言っていなかった、と反論していたではないか。

この状況こそまさにNGOニ団体の参加排除の外務省内決定過程において、調査報告書が言う「鈴木議員の意向が突出した形で重視され、同議員の意向を推し量り、それを無視し得ないものと受け止め、実現する方向へ働き掛けざるを得ない雰囲気が省内に存在していた」そのものではないか。

それを、「内閣が調査し(鈴木氏の関与を否定した)結果を発表した。尊重されるべきだと思うと述べ、再調査の考えがないことを示した」だと。ぬけぬけと、どっからそんな国民をナメキッタ結論が出てくるんだ。
小泉首相政務秘書官・飯島勲氏のメディア戦略の対象になっている、「政治に関心のない国民」ならいざ知らず、多少とも「政治に関心のある国民」はみな、川口外相のこの発言にはあきれ返っているであろう。

ただ私は、川口外相自身が、自分のその発表内容に納得しているとは思わない。
たとえ納得していなくとも、閣議で擦り合わせをし小泉首相が裁断した結論を、自らのものとして平然と発言できるのが、バリバリの元エリート官僚というものだ。

川口外相の今日の発表は、私に、参考人招致で呼ばれた2月20日の衆院予算委員会における田中前外相の答弁を、思い起こさせた。田中前外相は、こう語った。
(NGO参加排除問題において)「特定の政治家の関与はない」としている政府見解に関しては、「小泉首相への恩もあり予算案も通さなければならない。玉虫色の内容に納得はしていないが、棒を飲む思いでギリギリの選択をせざるを得なかった。

読者の皆さん、上記田中前外相の発言に対して、小泉首相が何と言ったか、覚えておられますか?
冷血の人」小泉首相は、こう言った。
「外相を辞めてから違うことを言っているのは、如何なものか」と。
「鈴木議員の関与はなかった」という結論で、NGO参加排除問題に端を発した田中外相と野上次官の「言った言わない」騒動を、大事になる前に「クサイモノニフタ」をすべく、予算通過が最重要問題であると田中前外相を説得して「棒を飲ませ」承認させておいて、それだけならいざ知らず、その9日後には理由無く訳のわからない「三方一両損」と称して田中外相を更迭しておいて、「外相を辞めてから違うことを言っているのは、如何なものか」と。

そういう人間なのだ、「小泉純一郎」という男は。彼に近よる者は、すべて傷つく。
なぜなら、「小泉純一郎」という男は、自分さえよければ満足な「冷血の人」だからである。

田中前外相は、実に適切な比喩を使った。
何かしようとしても、スカートを踏んづけられる。誰が踏んでるのかと思って見ると、言ってる本人じゃないかとずっと思ってた。


川口外相は今日、自らの口から「内閣が調査し(鈴木議員の関与を否定した)結果を発表した。尊重されるべきだと思う」と述べ、再調査の考えがないことを示した。
たとえそれが小泉首相の裁断であろうとも、いったん川口外相の口から発表されれば、小泉首相は間違いなくこう言うであろう。
「それは、外務省が調査し、報告し、決定したものだ」と。
たとえ川口外相が、そのためにすっかり「改革者」としてのイメージを、国民から失ったとしても。
川口外相もまた、「誰か」にスカートを踏まれているのだ。
小泉首相に擦り寄る者は、すべてこの「冷血なる男」から、最後には傷つけられることになる。
(2002/03/05)

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