目覚し時計のTAKA



コレダケハイワセテ!
Today's 目覚まし Shot


2004/10/10】 

「The Presidency

2004年米大統領選中間分析ー






米大統領選の投票日11月2日まで、約3週間余りとなった。現地時間10月8日夜には、ミズーリ州セントルイスのワシントン大学で、会場の有権者から質問を受けるタウンミーティング方式で第2回テレビ討論会が開催された。
メディアの大勢は、ほぼ互角であったと見ているようである。13日(水)には、アリゾナ州テンピで最終となる第3回テレビ討論会が予定されている。

米国を二分した2000年のゴアブッシュの歴史的大統領選。「9.11」を境に、大量破壊兵器の存在を大義に共和党ブッシュ政権が押し進めた強引なイラク攻撃は、国際社会を二分したのみならず、再び米国自身をも引き裂いた。今後4年間のブッシュ政権の継続に、「イエス」と言う人々と、「ノー」と言う人々に。

米世論調査機関ビューリサーチセンターが、8月30日から4日間に渡ってNYで開催された共和党全国党大会後に実施した調査で、ブッシュ支持54%ケリー支持38%と2桁の大差が開いていた両者の支持率は、9月30日にフロリダ州マイアミで開かれた第1回テレビ討論会で、衆目の一致するところケリー候補が圧勝したことにより、Gallup社の最新世論調査が下記に示すとおり、完全に国論を二分したようである。
LATEST SNAPSHOT
% GEORGE W. BUSH 49  
% JOHN KERRY 49  
Oct 1 - 3, 2004
Based on Likely Voters
米国の大統領選のユニークな点は、国民の支持率が五分五分でも、必ずしも互角の戦いとは言えないことである。
それは、コロラド州を除く各州およびワシントンDCで、1票でも多く票を得た候補者が、その州に割り当てられた「選挙人」を総取りするからである。全米の総選挙人数は538ポイントであり、従って過半数の270ポイント以上を獲得した候補者が当選する仕組みとなっている。
仮に、選挙人が269対269の同数となった場合は、大統領選と同時に実施される全議席改選の下院選挙で当選した新下院議員による投票に持ち込まれ、全米50州に1票づつ割り当てられた過半数を獲得した候補者が当選となる。過去に一度だけ、ジェファーソン大統領が選出された際に事例があるそうだ。


第2回テレビ討論会終了後の10日の日経新聞朝刊は4面で、次のように伝えている。
ケリー氏は先月末の時点では、選挙人の獲得予想数で大統領に70〜90の差を付けられていた。だが、オハイオなどの激戦州で優位に立ったことで、8日の世論調査では、その差は40前後に縮まっている。「再び僅差の戦いに戻りつつある」。ブッシュ陣営幹部も8日夜、接戦を認めた。』

たとえ支持率で49%49%と互角の形勢であっても、投票まで1カ月を切った現時点における選挙人数で40前後のポイント差は、ブッシュ陣営にとってはかなりの有利と言えよう。
読者の皆さんご承知のように、私は、2000年の米大統領選では民主党ゴア候補を支持し、今回は同党のケリー候補を支持している。

理由は、今回のテレビ討論でケリー候補が述べた次の言葉にまったく同意するからである。
フセイン旧政権は脅威だったが、戦争を急ぐ必要はなかった。ブッシュ政権は軍首脳の意見を聞かず、十分な兵力を投じないまま開戦した。イラク戦争によって同盟国の離反を招き、敵をつくった。賢明な外交を展開していれば、同時テロの首謀者とされるウサマ・ビンラディンを拘束、殺害できた。

またケリー氏は、イラン北朝鮮問題に関し、「イランの核開発計画は深刻な脅威だ。大統領がイラクにかかりきりになっている間に、イランの脅威は増した。北朝鮮は核爆弾1個を、4〜7個に増やしたと思われる。大統領は2年間何もしなかった」と語った。
メディアの目はイラクにばかり向いているが、ケリー氏の指摘したイランと北朝鮮の問題点こそ、イラクに拘泥するブッシュ政権の重大な致命的な政策ミスではなかったか、と私は考えている。イラクに首まで浸かったブッシュ政権には、その弱みを見越したイランと北朝鮮による核と核兵器開発への注力を阻止する余力はなかった。


4年に一度実施される米大統領選は、常に私の興味の対象であった。2000年にゴアブッシュが1カ月に渡る法廷闘争を交えた歴史的デッドヒートを繰り広げた米大統領選を、日本のメディアや識者の中にあまり良く言う者はなかったが、私は「これぞ米国民主主義の真髄」と感激したことを思い出す。
ブッシュ政権が誕生し、必然か偶然かは神のみぞ知るところだが、「9.11」という悲惨な同時テロ事件が勃発し、国際社会の亀裂を招いてまでイラク攻撃へと猛進したブッシュ政権が、米国民の評価を向かえる2004年米大統領選は、私にとって待ちに待った政治イベントであった。

米国では、メディアをはじめ各種の調査機関が、全国レベル、州レベルで頻繁に大統領選候補者の支持率調査を実施している。それらの推移等を参考にしつつ、私は独自にブッシュケリー両候補者の獲得選挙人数を予測している。新しい情報が入る都度、予測の見直しも行っている。
本日現在までの情報に基づく、最新の表を下記する。


STATE POINT Y20 00 Bush Kerry
WA Washington 11 G 11
OR Oregon 7 G 7
CA California 55 G 55
ID Idaho 4 B 4
NV Nevada 5 B 5
UT Utah 5 B 5
AZ Arizona 10 B 10
NM New Mexico 5 G ? ?
MT Montana 3 B 3
WY Wyoming 3 B 3
CO Colorado 9 B 3 6 B→K 分割。K49:B49
ND North Dakota 3 B 3
SD South Dakota 3 B 3
NE Nebraska 5 B 5
KS Kansas 6 B 6
MN Minnesota 10 G 10  
WI Wisconsin 10 G 10 G→B B49:K46
IA Iowa 7 G ? 7 K48:B47
MI Michigan 17 G 17
OK Oklahoma 7 B 7
MO Missouri 11 B 11
AR Arkansas 6 B 6
IL Illinois 21 G 21
OH Ohio 20 B ? 20 B→K K48:B47
NY New York 31 G 31
PA Pennsylvania 21 G 21 K45:B44
VT Vermont 3 G 3
ME Maine 4 G 4
NH New Hampshire 4 B 4 ? B47:K47
MA Massachusetts 12 G 12 Kerry出身
CT Connecticut 7 G 7
RI Road Island 4 G 4
DE Delaware 3 G 3
NJ New Jersey 15 G 15
MD Maryland 10 G 10
DC Washington DC 3 G 3
WV West Virginia 5 B 5
IN Indiana 11 B 11
KY Kentucky 8 B 8
VA Virginia 13 B 13
NC North Carolina 15 B 15 Edward出身
SC South Carolina 8 B 8
GA Georgia 15 B 15
FL Florida 27 B 27
MS Mississippi 6 B 6
AL Alabama 9 B 9
TN Tennessee 11 B 11
LA Louisiana 9 B 9
TX Texas 34 B 34 Bush出身
AK Alaska 3 B 3
HI Hawaii 4 G 4
TTL 538 262 271 過半数270


上表について、幾つか説明しておきたい。
POINT]は、選挙人数である。
Y2000」は、2000年の大統領選において、ブッシュ)、ゴア)いずれが選挙人を獲得したかを表示している。
今回の大統領選で獲得すると予測される選挙人数を、「Bush」「Kerry」それぞれの列に赤もしくは青で記入し、州名も同色で表示している。
B→KもしくはG→Bの表示は、2000年の選挙人獲得者が2004年で入れ替わった州であることを意味している。
B49:K48等の表示は、ブッシュ、ケリーそれぞれの最新の世論調査による支持率を表わしている。接戦の州のみ表示している。
コロラド州のみ選挙人の総取りシステムを採用せず、候補者の獲得票数に応じて敗者にも選挙人を割り当てる分割システムを採用している。従って、ケリーが総得票で上回れば、ケリーポイント、ブッシュポイントを獲得する。ブッシュが勝てば、ブッシュポイント、ケリーポイントの獲得となる。


最後に、州名が緑色で表示されたNew MexicoColoradoIowaOhioNew Hampshireの5州が、2004年米大統領選の結果を左右する激戦州である。
次に、それら激戦州と今回の大統領選を象徴する他の幾つかの州について、コメントする。


「Ohio」

2004年米大統領選において、ケリー陣営にとって、オハイオは象徴的な州となった。
10日の日経朝刊4面の米大統領選を取り上げた記事の中に、『先週の世論調査によると、ケリー氏は敗色が濃かったオハイオで形勢を逆転し、ポイント差でリード』との報道が見られた。2000年の大統領選挙では、ブッシュ50.0%ゴア46.4%ネーダー2.5%という得票率であった。共和党員に言わせれば、「the president's most reliably stable state」であるオハイオは、これまでもブッシュの支持率がケリーを上回り、ブッシュ陣営の州と見做されてきた。少なくとも、第1回テレビ討論会が開催された9月30日までは・・・。

2000年の大統領選でブッシュ50%の得票率で楽勝したオハイオで、なぜケリー支持率が、たとえ1ポイントとはいえ、逆転したのかについて、三つの理由があるようである。
一つは、第1回テレビ討論会におけるブッシュのパフォーマンスが、期待外れであったこと。
二つめが、特に同州南部において、景気の悪いニュースが多いこと。2005年に経済が回復する見込みが立たないこと。
三つめが、不人気で影の薄い共和党知事・Bob Taftの影響。

理由はどうあれ、ケリーが勝利するためには、オハイオで勝つことが前提となる。オハイオをブッシュ陣営からもぎ取ってはじめて、ケリーの勝利への道が見えてくる。両陣営にとってオハイオこそ、2004年米大統領選の勝敗の帰趨を決する天王山である。


「Iowa」

ケリーが勝利するためには、アイオアも落とせない。2000年の大統領選では、ゴア48.6%ブッシュ48.3%ネーダー2.2%と、僅差ではあるが民主党候補が勝利していることと、現在もケリー48%ブッシュ47%と支持率で優位をキープしている状況から、このままケリーが勝利する可能性はかなり高いと予測される。
万が一、ここを落とすようなことがあると、たとえオハイオで勝利したとしても選挙人数で過半数を制するのは難しくなる。


「Colorado」

コロラドは、2004年米大統領選において、「surprising」な州となった。なぜなら、2000年の大統領選では、ブッシュ50.8%ゴア42.4%ネーダー5.3%と、ブッシュが圧勝した州であったにもかかわらず、先週、第2回テレビ討論会に先駆けて行われた世論調査で、両候補の支持率は49%で拮抗したからである。コロラドは、知事も州議会も上下両院議員も共和党が占めるRepublicansの州である。

そこにいったい何が起きたのか?実は、前回の大統領選以降、同州の有権者数は14万人増加した。その大多数がLatinoで、今やLatino人口は同州の19%を占めるに至ったという。
7月24日の日経新聞朝刊7面に、『米国で急増しているヒスパニック(Latino)有権者の支持率では、民主党の大統領候補ケリー上院議員がブッシュ大統領に二倍の差でリードしていることが複数の世論調査の結果で分かった』との記事が報道されていた。

このヒスパニック票と、民主党上院議員候補Roger Salazarの好影響が、前回の大統領選で圧勝したブッシュに、ケリーが支持率で拮抗するところまで追い込む流れを生んだようである。
8日のCNNニュースには、a top Bush-Cheney strategistが、「I'll give you that one(=Colorado)」と言ったとかいう記事が掲載されていた。


「New Hampshire」

ニュー・ハンプシャーの支持率は、ブッシュケリー両候補共に47%と、これまた拮抗している。2000年の大統領選の得票率は、ブッシュ48.2%ゴア46.9%ネーダー3.9%であった。
上述のCNNニュースでは、「今日ニュー・ハンプシャーで選挙があったら、勝つだろう」というケリー候補のstrategistの発言もあったが、前回の大統領選でブッシュが勝利した州であるだけに、私の選挙人獲得予測表では、ブッシュの得票としておいた。

万が一、コロラドがブッシュ勝利に帰したとき、その失ったー3X2=ポイントを、ケリー陣営は、このニュー・ハンプシャーの+4X2=ポイントか、ニュー・メキシコの+5X2=10ポイントのいずれかを獲得することで取り返すことが可能だ。


「New Mexico」

ニュー・メキシコにおける両候補の支持率は、調査媒体によってケリー優位とブッシュ優位が交錯している。という事実は、両候補いずれにも勝つチャンスがあるということだ。
2000年の大統領選においても、実は、ケリー支持47.9%ブッシュ支持47.8%ネーダー支持3.6%と、まさに民主党ゴアブッシュの支持率は拮抗していた。
従って、今回の大統領選で、いずれが勝つか予測できないので、ケリーブッシュいずれにもポイントを割り当てなかった。従って、もしケリーが勝つようなら、ポイントのマージンを生むということになる。


ここまでで、私が予測する激戦5州の分析を終えたわけであるが、結論はこうだ。
ケリー陣営が勝利するためには、オハイオアイオワに勝利することが不可欠である。アイオワで勝利することは、さほど困難なことではないと予測しているが、オハイオは、2004年米大統領選を象徴する激戦州として、最後まで勝敗の行方は決しないであろうと思う。
この州にケリーが勝利を収めれば、選挙人総数の過半数(270ポイント)を制する可能性は高いものとなる。読者の皆さんも、米大統領選ウォッチの際は、是非オハイオ州にご注目願いたい。


勝敗の帰趨には関係してこないと思われる他の幾つかの州についても、コメントしておこう。

Florida

2000年の大統領選では、フロリダが主役・・・というか、悪役であった。
今回も激戦が予想されていたが、おそらくブッシュの経済政策が心地よいユダヤ票のかなりが、前回の民主党ゴア候補支持からブッシュ支持へ流れたことによる影響と思われるが、2004年大統領選は常にブッシュ支持率がケリー候補を上回り、最終的にもブッシュが選挙人27ポイントを獲得すると、私は予測している。


Pennsylvania

こちらも、選挙人数21ポイントの大票田である。ブッシュ陣営が切り崩しを狙っており、支持率の差も数ポイントの統計誤差範囲内にあるが、2000年の大統領選でゴア候補が50.6%の得票で圧勝した週でもあり、僅差とは言え常にケリーが支持率で上回っている状況から、今回の大統領選でケリーが選挙人を獲得するのは固いと予測している。


Wisconsin

ウィスコンシンも激戦州に加えられることが多い。2000年の大統領選では、ゴア47.8%ブッシュ47.6%、ネーダー3.6%と、民主党、共和党勢力が拮抗していた。
ただ支持率の流れを追っていて感じることは、10月7日のCNNニュースの記事においても、ブッシュ支持49%ケリー支持46%と、常にブッシュが僅差というには多少大きめのリードを保っているところから、今回の大統領選予測では、ブッシュに選挙人ポイントを割り当てた。

10月8日夜に実施された第2回テレビ討論会の勝敗に関して、メディアの大勢は、「ほぼ互角であった」と評価しているようだが、実は、この「ほぼ」という言葉が、かなり重要性を秘めているのではと感じている。
討論会直後に実施されたABCテレビが行った世論調査では、ケリー候補が勝ったとする人44%ブッシュ大統領が勝ったとする人41%であった。同じくCNNテレビの調査では、ケリー勝利47%ブッシュ勝利45%という結果であった。

第1回テレビ討論会は、ケリー圧勝であった。ブッシュが大差でリードしていた支持率も、これを期に僅差に接近することとなった。ブッシュは、その不利に傾く流れを、第2回テレビ討論会で食い止めることができたのか?
直後の世論調査の結果が明白に示すとおり、第2回テレビ討論会においてもケリー候補は、決してブッシュ大統領に負けはしなかった。それどころか、小差ではあるが、視聴者の印象はケリー勝利の見方が多かった。

これが意味するところは、明確である。第1回テレビ討論会で逆転した流れは、第2回テレビ討論会においても止まらなかったということである。従って、全米各州において、ケリー候補の支持率巻き返しが見られるであろう。
本日、私が書いたコメントは、本日までの情報に基づく予測となっている。流れは更にケリー候補に傾く可能性がある。ケリー候補が、焦点のオハイオ州を制する可能性も、より高まると言える。

もちろん、2004年米大統領選投票日の11月2日まで、今後約3週間の間に何が起きるかは誰にもわからない。ただ言えることは、現時点において、民主党ケリー候補が大統領選を制し、ブッシュ政権によって強引に作られた国際政治の澱みを解消してくれる希望が、かなりの確立で生まれてきたということである。
それでこそ、危機に目覚める「米国の良心」は健在であると言える。ブッシュを選んだとしたら、米国に明日はない。
(2004/10/10)


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