目覚し時計のTAKA



コレダケハイワセテ!
Today's 目覚まし Shot


2003/5/25】 

「勝ち組」*「価値組」





空に向かってそびえ立つ新東京名所「六本木ヒルズ」
そのオープンの4月25日には、32万人が訪れたという。
煌(きら)びやかな外面に覆われたその真実の「価値」は、
本物か?それとも幻想か?
それは、成功者「勝ち組」のシンボルなのか?
驕り昂ぶった彼らの「バベルの塔」か?






5月24日の日経新聞夕刊1面。コラム”明日への話題”に、登山家・今井通子さんが登場した。
私は、今井さんについて何も知らなかった。今井さんの文の内容に久びさ執筆意欲を掻き立てられた私は、さっそくヤフーでそのプロフィルを検索してみた。


<今井通子さんのPROFILE>
1942年2月、東京に生まれる。(ということは、61才ということか)
1966年、東京女子医科大学卒業。医学博士。
現在、東京女子医科大学付属病院腎総合医療センター泌尿器科非常勤講師。
日本泌尿器科学会専門医。東京農業大学客員教授。株式会社ル・ベルソー代表取締役社長。株式会社アプローズ取締役会長。


上記プロフィルに続いて、同氏の主な登山歴が記載されていた。それは圧倒的なキャリアであった。

1960年に東京女子医科大学山岳部入部を皮切りに、1967年、女性パーティー遠征隊長として世界で初めてヨーロッパアルプス・マッターホル ン北壁登攀成功(女子パーティー初登攀)。69年、ヨーロッパアルプス・アイガー北壁初登攀(日本ルートを開拓)。71年、ヨーロッパアルプス・グランドジョラス北壁登攀(女性として世界初の欧州三大北壁完登者となる)。79年、ネパールヒマラヤ・ダウラギリU・V・X峰縦走登山隊長として、男性16人を率 いてクロス縦走を成功させる。7,500m以上の三山の登頂は世界で初めて。85年、隊長として再度チョモランマ峰へ向かうが、登山隊は8,450mにて断念する。しかし、冬期世界最高到達点を記録する。圧巻は89年である。アフリカ最高峰のキリマンジャロ(5,895m)登頂後、山頂よりパラグライダー飛行に成功する。
世界初が連なっている。特に、キリマンジャロの頂上から、パラグライダーで降りてきたのには度肝を抜かれてしまった。


さらに続いて、同氏が現在就任中の主な委員歴が記載されていた。
1989年からの国立那須甲子少年自然の家運営委員会委員をはじめとして、2001年からの総理府宇宙開発委員会専門委員、文部科学省科学技術・学術審議会委員、(財)日本体育協会倫理委員会委員に至るまで、キラ星の如くリストアップされていた。
泌尿器の専門医でありながら、世界トップランクの女性登山家で、各種行政の審議会委員を務めておられるそのキャリアには、恐れ入谷の鬼子母神と言うしかない。


世の中には、いくらでも凄い人がいるもんだ。なんでこう立派な人がいて、行政にも審議会委員として関わっているにもかかわらず、世の中こんなに悪くなってしまうんだ?
いや、そんなことはない。日本は実際はそんなに景気が悪いわけではない・・・という人もいる。

実は、作者の今井さんが意図して書かれたことではないと思うが、今回、人気の「六本木ヒルズ」を取り上げた今井さんの文章に、上述した疑問の答えが書かれていたと言ったら当の今井さんも驚くであろうか?
タイトルは、「空へ向かう都市を見て」であった。


「六本木ヒルズ」を訪れた今井さんは、そのごった返す圧倒的人出に、『庶民は新し物好きだな』と感ずると同時に、諸外国から日本のどこが不況なのだと聞かれることもしばしばと、国際人らしい率直な感想を書かれている。
ここである。諸外国から日本を訪れた人々は、噂で聞いていた日本経済の混迷ぶりと目で見た実態との余りの乖離に愕然として、「日本のどこが不況なのだ」と頭を抱える。「これが不況なら、私の国も不況になってほしい」とさえ言う外国人も出てくる。
この外国人に羨ましがられる日本型不況を、国際社会は
「Golden Recession」と呼ぶ。これに関して、私は、ヤフーの政治掲示板に次のような投稿をしたことがあった。(一部修正あり)
Golden Recession
2003/ 5/10
メッセージ: 41223
投稿者: メッセージを送信comtaka1
日本の現状は、諸外国から「Golden Recession」と呼ばれている。理由は簡単だ。私のHPのJapan Problem「どこが危機なんだ」に書いてあるが、一言でいえば、「国債発行」だ。
世界のどこの国に、毎年40兆円近くの国債を発行して予算を組んでいる国があるってか?年間予算が40兆円を超える国は、世界の中で数えるほどしかないに違いない。
要は簡単に言えば、日本は毎年幾つかの国家を建設できる規模の国債発行をして、金を市中にばら撒いているということだ。
国債発行を続ける限り、日本は表面的には所得も大して落ち込まないし、消費も雇用も極端に落ち込むことはない。だから、「どこに危機があるんだ」となる。
だが、いつまで国債を発行し続けられるのか?幾つかの国家が運営できそうな規模の借金を毎年背負って、そのかなりの部分が既得権益層の個人金融資産に化けて外貨に振り替わっている現状を、いったいいつまで続けられるというのか?
近い将来、誰がその国家の債務を返済もしくは負担することになるんだ?

そういう現実に目を瞑って、米国の景気回復期待を早くも虎視眈々と狙うコバンザメ日本の株式市場。
国内ではやるべき正当な政策を何一つやらないくせに、7600円台が8100円台に乗せてきただけでもう頭の中は花見酒気分か?
日本の社会が、「無責任」と「ハッタリ」と「口先だけ」でまかり通る腐りきった社会であることが証明されることになりそうなので大喜びしている多数の日本人というのは、ほんまもんのアホなのか?コズルイ人種なのか?

私はブッシュという男には当初から懐疑的で危険性を感じていたが、大統領選で米国民の約半数が強力に彼を支援したことから、「なぜ」という疑問に思考をこらしてきた。彼の主張の少なくとも二点には理解できる部分もある。
一つは、米国同時多発テロを仕掛けたビンラディン率いるイスラム原理主義者に対する報復の先制攻撃容認である。長年のイスラエル、パレスチナ紛争を見ても、米国がSEPT.11に対してアフガニスタン攻撃だけで終わらせていたら、必ずや近い将来に第二の9.11が起きたであろうと思う。
しかしイラク先制攻撃に踏み切ったことで、今後もし第二の9.11を起こそうとする連中とそれを支援する連中は、相当の覚悟を必要とするはずである。要するにテロリストを支援する組織または国は、地理的その存在を賭けない限り支援できないということだ。ブッシュの先制攻撃ドクトリンにより、テロリスト側に地政学上のリスクが生まれたのである。

この先制攻撃ドクトリンに対して、それが許されるならばロシアだって中国だって米国への先制攻撃が許されることになるなどというアホ評論家がよく「朝まで生テレビ」あたりに登場するが、米国が先制攻撃を認めるのは、対テロリスト戦争の場合だけである。それも「禁断の行為」SEPT.11が引き起こした結果である。
どだい日本人のSEPT.11の理解などは、手榴弾を土産と称して飛行機に持ち込もうとした毎日カメラマン程度の幼稚さであるから、そんなアホ評論家が出てきても驚きはしないのだが。

ブッシュのもう一つの理解できる主張は、世界経済が米国民の消費に頼り過ぎだと苛立ちを見せている点である。
日本がもっとも好例だ。自国の市民にはウサギ小屋に住まわせて、日本で製造した自動車の約半分を米国へ輸出して米国の労働者の雇用を奪っている。
バブル絶頂期にはその輸出で得た金で、NYのシンボルロックフェラーセンターまで手に入れた。
日本はなぜ内需を拡大して労働者の所得を増やし、さらに内需を拡大するような政策をとらないのか?
労働者の所得が増大すれば、円高により適正な為替レートに収斂されて自動車輸出も減少するはずだ。それを内需を拡大せず常に米国民の消費に依存する政策を取り、過剰な自動車輸出が結果として円高を招き、せっかく自動車輸出で得た富を外貨へ投資して為替損でむざむざ失う日本人とは、ほんとはアホなのか?ズルイのか?と米国人から不思議に思われている。

私は小泉自民党がどんなにクサイモノニフタをしても、隠し切れないものが二つあると思う。
一つは、「国債発行残高」
もう一つは、「株価」である。
小泉が首相でいる限り、日本の株価の回復はあり得ないと断言しておこう。それは、太陽が東から昇るが如き、「自然の摂理」なのであるから。


上記投稿内容はかなり話が横路にそれているが、その外国人も不思議がる「Golden Recession」の話題が、今井さんの文章に出てきたというわけだ。

先輩の医者は、政府をはじめ社会全体が勝ち組、負け組をすみ分けさせてる時代なんだと思うよ、今の日本は、と言う。

さらにマーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏が語った言葉として、次のように言っている。
新勝ち組は生活者に価値を提供できる「価値組」であり、生き残れるのは変化についていける人間だ。地価や環境の変化によって、ドーナツ化現象も今は昔、都心回帰、中心に餡のつまった「あんパン化現象」を起こしているという。

その「価値組」が、自らが属する新「勝ち組」のために高層生活空間を造りだしているのが進行中の都市再開発であり、そのシンボルが「六本木ヒルズ」というわけだ。
これで今井さんの話が終わってしまったのであれば、私が最近すっかり落ち込んでしまっている執筆意欲を掻き立てられることもなかったであろう。
さすがに世界一級の登山家である。
元来、ホンモノの人は、意図して書かなくとも、その文章が世の中の真実を鋭く突いていることが多い。

「六本木ヒルズ」を訪れた帰途、今井さんは山手線外にある自宅近くで新緑を目にしホッとしながら、こう考えたという。
今なお農業に取り組む私は、生活スタイルを変化させない別の価値組なのかも。』と。

メディアの報道を見る限り、今や世の中、不満だらけの様相である。にもかかわらず、小泉首相の支持率が50%を上回るという。
この支持率に関しては、様々な意見があり、捏造だとか、調査のやり方が偏っているとかの非難もあるが、私はその程度の数字はいくかなという印象を持っている。
何と言っても、大きな声を上げるのは常に現状に不満な人々であり、現状に満足している連中は、「負け犬には吠えさせておけ」とばかりに表には現われず、裏で同じ仲間と高笑いしているのだろうと読んでいた。

その連中の本音が、今井さんの文章に一瞬顔を出した。
先輩の医者は、政府をはじめ社会全体が勝ち組、負け組をすみ分けさせてる時代なんだと思うよ、今の日本は、と言う。
間違いなく、それを語った先輩の医者は、「勝ち組」の一人なのであろう。そう語った人間が医者であったと言う点も、まことに興味深い。

西川りゅうじん氏は、「生活者に価値を提供できる価値組」こそが「勝ち組」であり、「生き残れるのは変化についていける人間だと断言する。
ホントにそうであろうか?件の「勝ち組」と思われる今井さんの先輩の医者は、生活者に価値を提供できる価値組」で、「変化についていける人間」なのだろうか?だから、「勝ち組」になれたのであろうか?

いま日本の社会で、自分たちは「勝ち組」だと思っているある業界の人々がいるはずだ。彼らは給料も退職金も大して減額されず、リストラもなければ厚生年金や国民年金のように年金資産も痛んでいない。悪いこと、間違ったことをしても「公務員法」で保護されている。
日本の公務員連中は、自分たちは「勝ち組」であると内心確信しているはずだ。彼らは、生活者に価値を提供できる価値組」で、「変化についていける人間」なのだろうか?だから、「勝ち組」になれたのであろうか?
「負け組」の連中は、生活者に価値を提供できない」から、「変化についていけない人間」だから「負け組」なのか?それは違うだろう。


いま日本で、「政府をはじめ社会全体が勝ち組、負け組をすみ分けさせてる時代なんだ」とする先輩の医者の言は、私も正解だと思う。
その「勝ち組」「負け組」を決める基準が、西川りゅうじん氏が言うようなカッコのいいものであるケースもあるではあろうが、実は、大半はそうではないところに大きな問題が存在するということだ。
結局のところ、政治家・官僚、宗教・闇組織に癒着した既得権益層とそれにすり寄ることのできる人間が「勝ち組」で、そうではない人間が「負け組」だということではないのか?


泌尿器の専門医であり、世界第一級の女性登山家である今井通子さんは、直感的に西川りゅうじん氏の「価値組」なる定義に疑問を感じたのであろう。
彼女は文末を、こう語って締めた。『私は、生活スタイルを変化させない別の価値組なのかも』と。
彼女のように、自分自身に価値を見出せる人間でありたいものである。

(2003/05/25)
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