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【2002/09/07】
コレダケハイワセテ!
Today's Shot
もてあそぶ男「小泉純一郎」
(後編)
なぜ、いま、この時期に?
朝鮮半島をめぐる関係国の利害は複雑に絡み合う。
小泉首相は、朝鮮半島の安定を国際的に保証することにより日朝正常化交渉を円滑に進める狙いで、関係「六カ国協議」の創設を提案する方針という。
しかし、そもそも韓国と北朝鮮は2000年まで、米国、中国を加えた「四カ国協議」を開いていた。
1998年8月、あくまでも衛星打上げと主張した北朝鮮の弾道ミサイル「テポドン」が、日本列島の上空を横断して三陸沖に着弾し、日本人の心胆を寒からしめると同時に激しい憤りをもたらした。
この年の10月の日韓首脳会談で、当時の故小渕恵三首相は日本、ロシアを加えた六カ国の枠組みを提唱し、北朝鮮以外の関係国の了解を得た。今回の「六カ国協議」案は、外務省によるその焼き直し版である。
六カ国とは、日本、北朝鮮、韓国、米国、中国、ロシアである。
この六カ国の中で、今回の「小泉訪朝」によってマイナスのない国、すなわちプラスの影響面しか予想されない国が二カ国ある。
それが一方の当事者である北朝鮮と、その北朝鮮に拉致問題解決を促し日朝関係打開の橋渡し役を果たしたプーチン大統領のロシアである。
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<ロシア>
『「北朝鮮は窓を開けて玄関まで出て来ようとしている。とにかく玄関まで出させることが大事だ」。今年1月、プーチン大統領はロシアを訪れた森喜朗前首相に、日朝関係の打開を改めて強く進言した。大統領は日朝関係改善の橋渡し役を担うことで、北東アジアでの影響力の拡大を狙っているとみられ、小泉首相も大統領に拉致問題解決への協力を再三要請した。
8月23日にウラジオストクで行われたロ朝首脳会談では、プーチン大統領が金総書記に日米韓との対話を進めるよう促したとされ、それが平壌での外務省局長級協議での進展につながったという。』(8月31日付日経新聞朝刊3面)
「小泉訪朝」はプーチン外交の大成果となり、日本と北朝鮮に大きな貸しを作ったことになる。「六カ国協議」創設が決まれば、北東アジアでの影響力の拡大を狙うロシアにとって、大きな成果となる。
一方、ロシアが北東アジアでの影響力を拡大させることは、逆に中国にとっては影響力の減少を意味する。
<中国>
言うまでもなく北朝鮮は、ブッシュ米大統領の指弾する「悪の枢軸」の一角である。
経済苦境を抱え、「SEPT.11」以来「ミサイル商人」としてブッシュ米国から批判の矢面に立たされている最近の北朝鮮は、難民問題も抱える中国にとってやや重荷になってきている現状は、想像に難くない。
日朝関係が改善し北東アジアの軍事的緊張が緩むことは、中国にとっては大変望ましいことである。しかし、中国は金正日総書記の北朝鮮が一筋縄ではいかないことは、身に沁みて感じている。そうそう一本調子にコトが運ぶとは予想していないであろう。
それに北東アジアにおけるロシアのプレゼンス(存在感)の増大がある。中国にとっては、「小泉訪朝」は痛し痒しの両面を持つ「両刃の剣」であり、しかも転がりようによっては地政図を大きく塗り替える可能性が予測されるため、かなりの緊張感を持って今回の「小泉訪朝」を受けとめていると推測される。
<米国>
日朝関係の改善が中国にとって好ましいことである反面が、米国にとっては苦々しい一面ともなり得る。
日本政府は、小泉首相が田中均・アジア大洋州局長に金総書記への”親書”を託した8月25、26両日の日朝外務省局長級協議の結果を総括し、「小泉訪朝」を最終決断した。
9月3日の日経新聞朝刊2面が、『8月27日午後、首相官邸を訪れたアーミテージ米国務副長官とベーカー駐日大使を前に、小泉首相が「来月17日に平壌に行き、金正日総書記と会うことになりました」と伝え、ブッシュ大統領への伝達を要請した』との報道が伝えられた。
『日米外交筋によると日本政府は首相訪朝について「事前に米国に相談しなかった」。アーミテージ氏は日朝間の折衝がある程度進んでいたことは知っていたものの、訪朝については寝耳に水。突然の「通告」に驚きを隠さなかったという。』
そして翌28日、小泉首相は電話でブッシュ大統領に日朝首脳会談の開催について事前通告した。
米国がまったく事前相談なしに日本政府独断で決定された「小泉訪朝」に対し、何らかの期待を抱いていると考えるのは誤りだ。
米国の当初の立場は、次の報道がよく表わしている。
『加藤良三駐米大使は9月4日の記者会見で、小泉首相の訪朝について、「米政府関係者は、北朝鮮を国際社会に関与させようという首相の外交努力を歓迎している。日米は緊密に協力している」と強調した。
これに関連し、在米日本政府高官は4日、「米国が日本に小泉首相の早期訪朝を求めたという話はないし、逆に日本の決断を不満に思っていることもない」と語った。』(YomiuriOnLine9月6日10:58[ワシントン4日=柴田岳])
既述の如く、「小泉訪朝」は米国にとってそれほど好ましい話ではない。事と次第によっては、米国にとって苦々しい話となる可能性も高い。
「小泉訪朝」の電撃通告のあった当初、米国の立場は加藤駐米大使が指摘した如くの様子見姿勢であった。
しかし日本から流れてくる報道を分析しながら、小泉首相の真意と方向性を量りかねたブッシュ政権は5日、ワシントンでの記者会見でアーミテージ米国務副長官が次のような懸念を強調するに到った。
『小泉首相は、北朝鮮に対する米政府の懸念を熟知していると認識している。平壌訪問では(金総書記に対し)大量破壊兵器の脅威に対する日米の懸念を明確に指摘すると確信している。』(YomiuriOnLine9月6日10:58[ワシントン5日=柴田岳])
<韓国>
韓国もまた「小泉訪朝」と日朝首脳会談の結果を、緊張感を持って見守っている国の一つだ。
韓国の悲願は、「南北統一」以外ない。金大中・韓国大統領の「太陽政策」が曲がりなりにも韓国民に受け入れられてきたのも、悲願の「南北統一」を実現するために他に適切な政策がなかったからである。
日本政府が望む日朝国交正常化交渉が軌道に乗り、戦後補償に変わる経済援助が現実のものとなることは北朝鮮の金正日政権の基盤が強化されることと同義であり、これは逆に韓国民悲願の「南北統一」を遅らせる結果をもたらしてしまう。
韓国にとって「南北統一」実現のためには、韓国政権と金正日総書記との直接交渉がなにより重要であることは明白である。
今回の電撃的「小泉訪朝」の決定を受け、金正日政権の頑固さしぶとさを熟知する韓国は、日本の”勇み足”を警戒している。
<北朝鮮>
私は、”六カ国の中で、今回の「小泉訪朝」によってマイナスのない国、すなわちプラスの影響面しか予想されない国が二カ国ある」と述べた。北朝鮮とロシアである。
この二カ国の中でも、北朝鮮にとっては、「小泉訪朝」はどう転んでもプラス面の影響しか考えられない超ラッキーな外交成果と言える。俗な表現をすれば、”ウハウハ”とでも言おうか。
北朝鮮にとって”ウハウハ”な外交成果である理由については、特に私が何も言わなくても、読者の皆さんはわかっていただけることと思う。
「小泉訪朝」決定、そのこと一つとっても北朝鮮にとってどれほど価値があるニュースであろうか。
EEZ(排他的経済水域)内に入り込んだかどうかは知らないが、能登半島沖に現れた北朝鮮籍の不審船の扱いも、「小泉訪朝」がなければ、「聞いてない」「そういう事実はない」「断定できない」などナイナイづくしの政府説明に終わることはなかったであろう。
北朝鮮はいま止むに止まれず二つの賭けに出ようとしている。「経済改革」と「積極外交」である。
昨年10月、金正日総書記は低迷の続く国内経済を抜本改革するために、社会主義経済の転換を求め「平均(平等)主義を徹底排除」するための「基本方針」を指示した。
この一環が、今年7月の北朝鮮ウォンの切り下げとコメ価格と賃金の引き上げであった。
そして、その結果として予想される経済の混乱を回避し立て直す目的の下に「積極外交」へ転換を図り、”経済支援や外資導入を期待して”日本にシグナルを送ったのが「小泉訪朝」につながったものである。
ほんのわずかの譲歩で、植民地支配の補償に代わる経済協力を日本から引き出せれば、これは金正日政権の大勝利である。
<日本>
そして最後に日本である。日本の今後にとって「小泉訪朝」は、どのような影響を持つのであろうか?
自民党も他の与党も野党も、その影響を量りかねているのが現状ではなかろうか?考えれば考えるほどプラス面の予測がつきにくいーー皆そう思い始めている。
一方、マイナス面の予想は、次々に思い浮かぶ。訪朝成果が少ないことそのものが、大きなマイナス要素となり得る。
ただ日本にもはっきりプラスとなる人物が存在する。もちろん小泉純一郎その人である。
9月6日18:57、共同通信社が5、6両日に実施した小泉内閣支持率の全国電話世論調査の結果を流したが、支持率は53・9%(前回8月調査より8・7ポイント上昇)、不支持率は30・7%(前回より10・2ポイント下落)であった。
小泉首相が政治決断した訪朝と首脳会談実現は、明らかに小泉内閣支持率を大きく押し上げた。
それと外務省である。「小泉訪朝」を裏で根回しし仕組んだのは、田中均・アジア大洋州局長と言われる。
この人物は、先の中国瀋陽総領事館での不手際を巡って、7月に担当局長として訓戒処分を受けた。与党内で更迭論が浮上した際も、(陰の外相・福田官房長官のアドバイスを受けて)小泉首相が「日朝交渉への影響に配慮して更迭を見送った」(与党幹部)と言われ、今回の「小泉訪朝」決定で、更迭どころか今年末には次官レース最短の経済担当外務審議官昇格は確実などと言われる始末だ。(日経新聞8月31日朝刊3面および9月4日朝刊2面)
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というように、「小泉訪朝」が明白にプラスとなる国が北朝鮮とロシアで、日本でプラスとなるのが小泉首相と外務省だけという構図を見るとき、如何にもこの外務省が仕組んで小泉首相が独断で決定した「小泉訪朝」なるものの中味がウサンクサク、不安に思えてくる。
次にその「小泉訪朝」の実相を検討してみよう。
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日朝国交正常化交渉の歩み
(9月4日付日本経済新聞朝刊2面より)
1990年9月 金丸信元副総理を団長とする自民、社会両党の議員団が北朝鮮を訪
問し、国交正常化に向けた政府間交渉を開始することで合意。
1991年1月 平壌で第1回正常化交渉を開催。
1992年11月 第8回正常化交渉で、大韓航空機爆破事件の金賢姫元死刑囚の日本
人教育係「李恩恵」の存在を北朝鮮が否定し、交渉は中断。
1997年11月 北朝鮮から日本人妻里帰り第一陣が来日。
1998年8月 北朝鮮が弾道ミサイル「テポドン」を発射、三陸沖に着弾。
1999年3月 北朝鮮工作船が日本の領海を侵犯。政府初の海上警備行動発令。
2000年3月 日本10万トンのコメ支援決定。
2001年12月 東シナ海で不審船銃撃・沈没事件。
2002年4月 北京で日朝赤十字会談。「行方不明者」の本格調査などで合意。
〃 7月 ブルネイで2回目の日朝外相会談。
〃 8月 平壌で日朝赤十字会談と日朝外務省局長級協議。
8月30日午後、小泉首相は訪朝に関して記者団にこう語った。
「国交正常化交渉に入れるかどうか、その可能性を見いだしたい。首脳同士が話し合わないと、一歩も進まないという感じを持った。」
「小泉訪朝」の目的は、2000年10月以降中断している日朝国交正常化交渉再開を目指し、両国間に横たわる困難な諸問題の解決に向けて、日朝首脳会談を通じて両国関係を一歩進めることにある。
9月1日、ヨハネスブルクへ向かう政府専用機内での同行記者団との懇談で、小泉首相はこうも語った。
「実際に話をしてみないとわからない面がかなりある。」
翌2日、ヨハネスブルクのホテルではこう語った。
「日朝国交正常化交渉を再開できるか、その可能性を見極める。その結果、国交正常化交渉が再開できれば成果だ。」
「小泉訪朝」の目的および成果の目論みは、そういうことだ。両国間に横たわる困難な問題、それにはザッと次のようなものがある。
<日朝間に横たわる難題> @日本人拉致問題
A不審船問題
B植民地支配の精算(謝罪と補償)
C核・ミサイル開発問題
『9月3日の自民党外交関係合同部会で、拉致問題や不審船引き揚げ問題などの懸案解決を求める声が続出。外務省の田中均アジア大洋州局長が「単なる賭けではない」と説明すると、出席者から「首相が手ぶらのまま帰るなら国民は落胆し、不信感がますます募る」との意見が相次いだ』(9月4日付日経新聞朝刊2面)という。
一方政府は、日朝首脳会談に向けた事前折衝のため、田中アジア大洋州局長を北京に派遣し、8月31、9月1両日、北朝鮮政府関係者と事前協議を行った。
この結果、日本と北朝鮮両国政府は、小泉首相と金正日総書記との9月17日の首脳会談で、「共同文書」を策定する方向で調整に入った。
文書の形式は調整中だが、日ロ間で北方四島の帰属を解決した上で平和条約を締結するとし、交渉促進の契機になった1993年の「東京宣言」に似た位置付けになるとみられ、「地域の平和と安定を図るための国交正常化の実現」と「人道上の問題を含む懸案の解決」の重要性を明記する見通しという。
また北朝鮮と米韓両国など関係国との対話促進を明記するほか、正常化交渉の期限を具体的に区切り早期妥結を促す案も浮上しているようだ。(9月4日付日経新聞朝刊1面)
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8月30日の電撃「小泉訪朝」発表から約1週間が過ぎ、日朝両国間に横たわる難題の解決に向けた日本政府の落とし所が、9月7日の日経朝刊1面でかなり具体的に報道された。
@日本人拉致問題
北朝鮮工作員によって拉致された疑いが濃いと日本政府が認定した8件11人の日本人行方不明者に関しては、少なくとも安否が確認されることが最低条件。
従来、北朝鮮は「拉致は存在しない」との立場を貫いていたが、先の外務省局長級協議においては、「北朝鮮政府として、不明者の消息調査を精力的に支援していく」と軟化の姿勢を表明しており、外務省は「正確な消息を伝えてくれれば今後の解決にメドが立つ」(幹部)として、安否の情報提供を最低限の落とし所とするつもりのようだ。
A不審船問題
昨年12月、東シナ海で沈没し引き揚げ作業が続いている不審船に加え、4日に能登半島沖に現れた不審船も合わせて議題に取り上げ、今後の北朝鮮工作船の活動停止と再発防止を要求する方針。
B植民地支配の精算(謝罪)
「共同文書」には明記せず、1995年の村山富市元首相の談話に基づいて、小泉首相が口頭で「反省とおわび」を表明する方針。
C植民地支配の精算(補償)
過去、北朝鮮は日朝対話の場で、食糧支援や巨額の経済協力を引き出す狙いで、一貫して日本に植民地支配への補償を迫ってきた。ただ日本はこれまで通り、「北朝鮮とは交戦状態になかった」として補償要求には応じない方針。
代わりに、1965年の日韓国交正常化の際に採用した両国の財産請求権放棄に基づく経済協力方式による決着を狙う。金額については、韓国に供与した経済協力5億ドルを物価スライドさせた数十億〜百億ドルを想定している。
米国が警戒する軍事転用を防止するため、具体的なプロジェクトへのODA(政府開発援助)などの形で供与する方針。
ちなみに莫大な資金を要する南北縦断鉄道建設とそのシベリア鉄道への連結構想が一つの候補に浮かぶ。
D核・ミサイル開発問題
1998年の弾道ミサイル「テポドン」発射事件を取り上げ、2003年に期限切れとなるミサイル発射実験の凍結延長を求める。
米国がもっとも懸念を有する核開発とミサイル開発・輸出問題に関しては、外務省局長級協議で北朝鮮は、「米朝協議で扱う問題」との立場を変えなかった。外務省幹部は「すべての懸案にメドをつけるのは難しい」と語るが(8月31日付日経朝刊2面)、米国の懸念は無論のこと、日本の安全保障に直結する問題であり、なおざりにすることは許されない。
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何が問題か?
9月7日の日経夕刊2面が、同日ソウルで開かれた日米韓三カ国による北朝鮮政策に関する外務省局長級の政策調整会合における日本政府の方針を報じた。
『日本は、北朝鮮の金正日総書記との首脳会談にあたって、
@日本人拉致疑惑など懸案解決の方向を見極めて、国交正常化交渉再開を判断する。
A核開発やミサイル問題など北東アジアの安全保障に絡む問題も取り上げる。
B米朝協議、南北対話の進展を促す。
などの方針を説明する。』
記事は、『焦点は米国の反応だ』と強調する。
「小泉訪朝」の何が問題なのか?問題は、「当事者意識」だ。
率直に言わせてもらおう。日本の政治家・官僚は、「井の中の蛙」だ。
日本国内で権力を貪(むさぼ)り、物言わぬ従順な国民を相手に日本の資産を食い潰している間に(海外勤務する外務官僚を思い浮かべていただきたい)、自己中心的にしかものを考えられなくなり世界の真ん中に日本が存在すると思い込んでしまった国際社会の片輪な存在なのだ。
「小泉訪朝」を伝えた8月31日の日経朝刊1面の囲みの中に、『8月29日、米国のボルトン国務次官がソウルで、「北朝鮮は世界最大のミサイル商人」と批判した』との記事が見受けられた。
もうあとわずかで「SEPT.11」が巡ってくる。読者の皆さん、私のHPの”悪の枢軸”を読んでいただけたであろうか?
ブッシュ米国大統領には、いろいろ問題がある。問題があり、もちろん彼の主張を全面的に受け入れることはできないが、彼の主張の中にももっともだと思える部分も確かにある。
それが、彼が北朝鮮を「悪の枢軸」の一角にカウントした理由である、「北朝鮮は買う人には誰でも(弾道ミサイルを)輸出している」(ライス大統領補佐官)という事実だ。
昨年の米国によるアルカイダ・タリバン攻撃にあれほど協力的だった小泉首相は、一年経った今日、盟友ブッシュ米大統領が何ゆえ北朝鮮を「悪の枢軸」と呼んだのかをすっかり忘れてしまったのであろうか?
私は、ブッシュ米大統領が軍事攻撃をチラつかせて北朝鮮を脅すことに必ずしも賛成することはできないが、同時に、北朝鮮が優秀な弾道ミサイル「テポドン」を、世界の誰にでも売り渡す姿勢には断固反対する。
二度と世界にWTCの悲劇を繰り返させてはならない。
アーミテージ米国務副長官の『小泉首相は、北朝鮮に対する米政府の懸念を熟知していると認識している。平壌訪問では(金総書記に対し)大量破壊兵器の脅威に対する日米の懸念を明確に指摘すると確信している』というメッセージを、決して軽視してはいけない。
北朝鮮の弾道ミサイルがたった一台でも米国を憎む者の手に渡れば、いま米国が総力を挙げて取り組んでいるすべてが灰燼に帰すこともあり得るのだから、米国は本気だ。
ブッシュ大統領が、金正日総書記の核査察受け入れとミサイル輸出停止の言質なしに、北朝鮮に安易に妥協することはあり得ない。
いま米国は、「悪の枢軸」の一角である北朝鮮に圧力を掛けて、北朝鮮が圧力に耐え切れず米国の要求を飲まざるを得なくなるのを待っている段階である。
果たして小泉首相は、そのことをわかっているのであろうか?
少なくとも、北朝鮮の核・ミサイル開発問題に対して「すべての懸案にメドをつけるのは難しい」とほざく外務省幹部は、瀋陽総領事館事件で馬脚を現したように、「井の中の蛙」の発想しかない国際社会の半端者であることは明らかだ。
私は、日朝間に横たわる難題として、次の四つを取り上げた。
@日本人拉致問題
A不審船問題
B植民地支配の精算(謝罪と補償)
C核・ミサイル開発問題
この中で、@〜Bはすべて日朝二国間問題である。Cのみが、日本と世界に関係がある問題である。
そして、本日7日の日経が伝えた日米韓三カ国外務省局長級の政策調整会合における日本政府の方針は次のようであるという。
@日本人拉致疑惑など懸案解決の方向を見極めて、国交正常化交渉再開を判断する。
A核開発やミサイル問題など北東アジアの安全保障に絡む問題も取り上げる。
B米朝協議、南北対話の進展を促す。
果たしてこれで、『小泉首相は北朝鮮に対する米政府の懸念を熟知している』と言うアーミテージ米国務副長官の期待を満たしていると言えるのであろうか?
確かにAで「核開発やミサイル問題など北東アジアの安全保障に絡む問題も取り上げる」ことになっている。
しかしこの書き方でいくと、Aは「国交正常化交渉再開の判断」の項目には入っていないことになってしまう。
私が懸念してきたことは、このことだ。
9月2日付読売新聞朝刊2面に、当たり前のことであるが、次の言葉が載っていた。
『北朝鮮には日本の経済支援への期待がある。だが、巨額の経済支援がミサイルや核開発など軍事に転用されたのでは、かえって日本や地域の安全保障を損なうだけだ。』
金正日総書記は、小泉首相の提案に応じて、核査察の受け入れとミサイル輸出の停止に応ずるであろうか?
そればかりは難しかろう。しかし、その問題の解決なくして、植民地支配の補償に代わる経済協力の実行はあり得ない。
経済協力の実行なくして国交正常化交渉の進展は不可能だ。
結局、「小泉訪朝」とは、そもそも当初から、「日本人拉致行方不明者の安否が確認される」程度のパフォーマンス以上には進展し得ないものであると言えまいか?
それがわかっていて、点数稼ぎに振り付けする。それがこれまでも、そしてこれからも、外務官僚による「日本外交」なのだ。
旧ソ連、現ロシアとの間で、十年一日の如くやれ「四島一括返還」だ、「二島先行返還」だと旗が振られて「外交」だと称している経緯を思い起こせばよくわかる。
点数稼ぎの外務官僚の尻馬に乗ったのが、人気取り政治家のポピュリスト「小泉純一郎」である。
さらに言わせてもらえば、そのポピュリストの作戦にズバリはまって内閣支持率をアップさせたのが、我が日本の国民という構図だ。
私は、「小泉訪朝」の問題点は、「当事者意識」であると断言した。仕組んだ外務官僚にも、尻馬に乗った小泉首相にも、北朝鮮問題は六カ国を巻き込む国際的最重要問題の一つであるという、真摯な「当事者意識」に欠けている。
彼らが求めている成果は、「外務省の復権」であり、小泉内閣支持率のアップという、極めて私利私欲の動機なのだ。
さらに「不審船」の問題がある。小泉首相はなぜ、「不審船」の引き揚げを先送りしようとするのか?
福田官房長官はなぜ、能登半島沖に現れた「不審船」がEEZ海域内を航行したかについて無関心なのか?
「不審船」ひとつ取ってみても、日本の「外交」って、どうなってるのと言いたい。
小泉首相は「訪朝」発表後の記者会見で、「韓国と米国と緊密な連携を取りながら」と語った。それにしては、「訪朝」そのものの通知が両国に対して電撃的過ぎたのではなかろうか?
あいも変わらず言葉を「もてあそぶ」男、小泉純一郎。
あなたはなぜ、いま、この時期に「訪朝」を決意したのか?補欠選挙目当てか?それとも解散総選挙?
いずれにせよ日本国民を「もてあそぶ」ように、国際社会で火遊びをするのは止めてもらいたい。
世界は、日本国内のように甘くはないと思うから。
(2002/09/07)
<もてあそぶ男「小泉純一郎」>前編
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