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【2002/09/03】
コレダケハイワセテ!
Today's Shot
もてあそぶ男「小泉純一郎」
(前編)
8月30日午後、小泉純一郎首相は、9月17日に金正日総書記と会談するため、北朝鮮を日帰り訪問すると発表した。
小泉首相は記者団に、「首脳同士の率直な対話を通じ、日朝間にある数多くの問題の解決の糸口を見いだしたい」「首脳同士が話し合わないと一歩も進まないという感じを持った」と語り、同日夜の自民党五役との会談では、「政治生命を賭けて臨む」と決意を表明した。
<首相訪朝に関する小泉首相の発言要旨> 首脳同士の率直な対話を通じ、日朝間にある数多くの問題の解決の糸口を見いだしたい。国交正常化交渉に入れるかどうか、その可能性を見いだしたい。日本人拉致問題は国民の安全にとって大変重要な問題。当然、話し合いのテーマになる。
金大中韓国大統領とブッシュ米大統領には電話で報告し、力強い支持をいただいた。朝鮮半島の平和と安全だけでなく、世界の平和と安全にかかわる問題だ。今後も韓国と米国と緊密に連携を取りながら、真剣に取り組んでいきたい。
一年くらい前から水面下で交渉していた。かねがね「日本は正常化交渉に向けて真剣に取り組んでいる。北朝鮮側も誠意ある対応を期待している」と言ってきた。そういう前提のもとに話し合いを続け、7月の外相会談、今月の赤十字会談、外務省局長級協議の経過を見て訪問を決断した。お互い誠意をもって真剣に話し合うためには、首脳同士が話し合わないと一歩も進まないという感じを持った。おそらく金総書記もそのような意向だと思った。
<首相訪朝に関する福田官房長官の発言要旨> 国交正常化交渉ができるかどうか見極める必要がある。日本人拉致問題はその中で包括的に考える。困難な問題の解決に向けて前進を図るために金総書記に会い、局面の打開を図る。容易でないことは首相も十分理解している。
一年間にわたり公式、非公式の会談を積み重ねている。そういう中で北朝鮮の理解も深まっている。人道上の問題や安全保障上の問題を解決しようということは一年前から変わらない。
(北朝鮮の核疑惑やミサイル問題は)日本にとって看過しえない。(首脳会談で)当然、テーマになる。不審船の引き揚げは予定通りやる。
(ブッシュ大統領は北朝鮮を”悪の枢軸”と呼んだが)これはブッシュ大統領の言ったこと。日本政府としてそういう表現をしたことはない。
中国とロシアには外交ルートを通じて説明した。両国も賛意を示した。
(政権浮揚のためとの見方があるが)失礼なことを言わない方がいい。外交の問題だ。勝負に出たとかそういうことじゃない。
(上記いずれも8月31日付日経新聞朝刊2面より)
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田中真紀子前外相を国会から蹴落として、いまや日本の劇場型政治は小泉首相の独壇場となった。
官邸記者クラブを牛耳る飯島勲・首相政務秘書官のマスメディア戦略の下に、田中前外相の劇場型政治を批判する者はいても、小泉首相のパフォーマンスと詭弁を批判するマスメディア報道は実に少ない。
今回の突然の小泉首相訪朝と金正日総書記との会談決定。その性急さに遠慮がちに懸念を表明する記事はあっても、そんな小さな声では国民に聞こえるわけがない。
この小泉首相のパフォーマンスは、内閣支持率を再びアップさせるに違いない。率直に言って、彼の第一の目的はそこにあるのではなかろうか?福田官房長官が「勝負に出たとかそういうことじゃない」と否定すればするほど、逆になるほどそういうことなのかと思ってしまう。
小泉首相は、こう考えているかもしれない。・・・どう転んだって自分に悪いように行くはずがない。うまくすれば、一気に”長期独裁政権”への道が開けるかもしれない。失敗したって、自分が総理大臣を辞めれば済むことだ・・・。
果たしてそうであろうか?小泉首相が辞めるだけで、すべては原状回帰し、元のさやへ収まるのであろうか?
今回の「小泉訪朝」は、日本の首相としては初の北朝鮮訪問で、同国首脳との会談も史上初となる。
この発表を聞いて私の脳裏に浮かんだことは、今年4月21日に決行された小泉首相による「靖国春季例大祭電撃参拝」であった。このときも小泉首相は誰にも相談することなく独断で行動した。
その結果、昨年、ろ溝橋まで出向いて頭を下げて収束せざるを得なかった「靖国参拝」を、国際会議アジア・フォーラム第一回年次総会出席の際に会談した中国の朱よう基首相に一言も言及することなくその9日後に強行した事実を、江沢民国家主席に「私は絶対に許すことができない」としてその政治家として信義にもとる行為を厳しく批判され、小泉首相は日中国交正常化30周年記念行事の行われるこの年の10月に予定されている中国訪問を延期せざるを得ない状況に追い込まれている。
日中国交正常化30周年記念行事の年に中国訪問を拒絶されている小泉首相が、国交のない北朝鮮へ日本外交史上前例のない首相訪問と首脳会談の実施を決断するという、この矛盾を我われ日本国民はどのように消化すればよいのであろうか?
北朝鮮は、ブッシュ米大統領により「悪の枢軸」の一角と指弾されて以来、現在、世界の三大超大国ーー米国、ロシア、中国ーーが踝(くびす)を接する最も危険な火薬庫の一つとなっている。
4月の小泉首相の「靖国電撃参拝」では、日本は自国の首相が中国を訪問できない国となってしまった。小泉首相、中国いずれに非があるかは論外である。現実外交として、いま日本の首相は中国を訪問することを拒絶されている。その現実をもたらしたものは、小泉首相の独断の「「靖国春季例大祭電撃参拝」であった。
4月29日、江沢民・中国国家主席は、小泉首相の信書を携えて中国を訪問した公明党の神崎代表に、こうも語った。
「政治家としては必ず言ったことを信義で守らねばならない。国際社会で発言したことについて、それを信じるか信じないかということになる。これは家族内のことではない。」
9月17日、北朝鮮平壌で小泉首相と金正日総書記が日朝首脳会談を行なう。ここで何が話し合われるのであろうか?そしてどのような発言が飛び出してくるのであろうか?
言うまでもなく二人はそれぞれ国家を代表する政治家である。そしてそこで公式に語られた言葉は、国際社会の中で政治家としての信義を賭して守られなければならない。国際社会は、両政治家の発言を息を詰めて見守るであろう。
国民のすべてが、小泉首相に靖国を参拝してくれと頼んだわけではない。かなりの国民(世論調査等の結果で推測すれば、おそらく賛否半々ではなかろうか?)が望んでもいない「靖国参拝」を強行して、国の外交に摩擦を生ぜしめた責任は、偏に小泉首相その人にある。
今回の首相訪朝に対しても、『追い詰められているのは金正日政権であって、我が国ではない』(日経新聞8月31日社説)との声に代表されるように、「なぜいまこの時期に?」という疑問は拭いようがない。
国民は、いまこの時期の小泉首相の訪朝と首脳会談を望んでいるのか?
9月2日の日経新聞朝刊”春秋”が『最近の小泉政権も、ライトのつけすぎでは、と気に掛かる』と、小泉訪朝に疑問符を投げ掛けている。
『郵政民営化、道路公団の民営化、税制改革などのライトが輝く中、日朝国交正常化交渉という新しいライトがついた。首相訪朝を発表した福田官房長官も、記者団にコメントする首相も気負って見えたが、日中国交回復の時と違い世間は冷めている。あの国との国交を急がねば、と思う人は多くないのではないか?
「政治生命を賭ける」案件だろうか。それよりも光が鈍いというか、そもそもついているのか怪しいライトがある。日本経済のデフレからの脱出の前提になる金融の再生だ。ペイオフ完全実施が事実上先送りされそうなのは金融の闇の深さを物語る。政治生命を賭け、ライトを明々とつけてほしいのは、ここである。』
そして国民が望みもしないパフォーマンスを実行した結果は、どうなるのであろうか?
小泉首相本人は、「政治生命を賭けて」と言い、失敗したら辞めれば済むと思っているのかもしれない。しかし、もし「靖国参拝」のときのように、後で重大な外交失態が表面化したら、そしてその外交失態が日本のみならず世界にとって原状回復が困難な深刻なものであったら、このミレニアムのお騒がせ男は、どう責任を取ってくれるのであろうか?
日本国内では、小泉首相のパフォーマンスと詭弁に関して、国民、マスメディアの間で、残念ながら表立ってとは言えないまでも内にこもったところで、一応の認知が得られてきたと最近私は感じている。
逆にそのような内々に拡がってきた認知に対して危機感を抱いた小泉首相が、再度国民とマスメディアを自分サイドへ誘導しようと先手を打ったのが、作家・猪瀬直樹氏の道路関係四公団民営化推進委員会委員への押し込みと生田正治・商船三井会長の日本郵政公社初代総裁指名であった。
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(9月2日付日経新聞朝刊2面より)
<9月1日、小泉首相の同行記者団との機中懇談要旨> 今まで1年間にわたる水面下の折衝で、トップ同士の話し合いをしないと一歩も進まないと感じた。国際情勢、日朝関係をどう考えているのか、日本もできれば首脳と会談したい、北朝鮮も私と会談したいという雰囲気ができたと思ったから、訪朝を決断した。
実際に話をしてみないとわからない面がかなりある。しかし、話さないと一歩も進まない。そういう考えをもとに日朝関係を一歩でも進めたい。日朝関係の友好発展、国交正常化という問題にとどまらない。地域の安全保障、国民の安全にかかわる問題であり、世界の平和と安定にも資するということで決断した。
(9月3日付日経新聞朝刊2面より)
<9月2日、小泉首相の同行記者団との懇談要旨> 日朝国交正常化交渉を再開できるか、その可能性を見極めるのだから日帰りの会談で十分だ。歴代首相はだれも挑戦民主主義人民共和国(北朝鮮)の首脳と会談していない。会わないと一歩も進まない。その結果、国交正常化交渉が再開できれば成果だ。
(過去の植民地支配の清算については)会ってから考える。お互い話し合いだ。拉致問題を棚上げにして正常化はあり得ない。いろんな懸案を包括的に考えて、国交正常化交渉を早期に再開すればいいと判断すればそういう展開になっていく。この訪朝は韓国、米国と緊密な連携をしないといけない。弾道ミサイル問題、核問題、安全保障上の問題も話し合いのテーマになる。
9月1日、環境開発サミット出席のためヨハネスブルクへ向かう政府専用機内での同行記者団との懇談、翌2日の同地ホテルでの懇談にて、小泉首相の訪朝理由とその目的が徐々に明らかとなってきた。
小泉首相は何度も繰り返した。「トップ同士の話し合いをしないと一歩も進まないと感じた」「話さないと一歩も進まない」「日朝関係を一歩でも進めたい」「会わないと一歩も進まない」のだと。
そして何に対して「一歩も進まない」のか?すなわち小泉首相の訪朝の目的は、「日朝国交正常化交渉を再開できるか、その可能性を見極める」ことであり、その成果は「国交正常化交渉が再開できるか」どうかであるらしい。
しかし、例えそうであっても、小泉首相が「なぜ、いま、この時期に?」という疑問は、どうしても拭い去ることはできない。
「小泉純一郎」という男は、何を考えてこの時期の訪朝と首脳会談を決断したのであろうか?
私の見るところ、この男は危険な匂いがする。日本という国と日本人にとって、危険な男であると私は感じる。
日本と日本人を賭けのチップにして、世界の三大超大国相手にお得意のパフォーマンスと詭弁で勝負しようというのであろうか?
マスメディアの懸念の声はあまりにも小さい。そんな小さな声では日本の国民にも、世界の国民の耳にも届かない。
8月31、9月1両日実施された朝日新聞社の全国世論調査(電話)における小泉内閣の支持率の結果を、9月2日23:05のアサヒ・コムが伝えた。
『小泉内閣の支持率は、今回の世論調査で51%となり、前回(8月24,25両日)の43%から、大きく上昇した。田中真紀子前外相更迭後に急落した2月調査(49%)以降では初めて5割台にのせた。不支持は32%(前回42%)だった。
調査前日に首相の訪朝が電撃的に発表された。日朝関係改善への期待度と合わせてみると、期待度が高い人ほど支持率も高く、「大いに期待する」人では支持率が7割に達した。訪朝決定が支持率アップの要因になっているとみられる。』
ただし同時に報道された日本人拉致問題についての調査では、「解明が進む」と答えたのは28%で、「そうは思わない」という慎重な見方が64%あったそうだ。
この点をみると、小泉内閣支持と答えた人々の性向は変わらないな、と感じる。
小泉首相は、「拉致問題を棚上げにして正常化交渉に入るわけにはいかない」と明言しており、当然のことながら拉致問題の「解明が進むと思わない」64%の人々は小泉首相は成果なしで帰国すると予想すべきで、にもかかわらずそう答えた人々の多数が小泉首相の訪朝を好感し小泉内閣支持と答えていることになり、要するにこれらの人々は、小泉首相の単なるパフォーマンスに率直に反応している人々と言わざるを得ない。
これはまさに昨年小泉氏が首相になって以来、各種の世論調査で「景気回復」が常に要望する政策のトップにありながら、現実には株価の下落に象徴的に表れているように、小泉内閣は景気回復に積極的な手を打たないばかりか景気を悪化させる諸施策をとってきたにもかかわらず、前回の調査(8月24,25両日)ですら43%の支持率をキープしたという事実と、実によく符合している。パフォーマンスを率直に信じて反応してしまいやすい”国民性”とでも言うべきか。
この「小泉純一郎」という男は、「言葉」をもてあそぶ。人はそれを「詭弁家」と言う。
稀代の詭弁家「小泉純一郎」に、世界の火薬庫の一つ「北朝鮮」で火遊びをさせてはダメだ。
最悪、日本と世界は、取り返しがつかないことになりかねない。
民主党の鳩山由紀夫代表は、「率直に歓迎したい」と語ったそうだ。この男は、小泉内閣の官房長官が最もお似合いの職責ではなかろうか?
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ここまで書き綴ってきて、本日3日、各紙夕刊にとんでもない報道が流れた。
『自民党は3日の役員連絡会で、小泉首相が8月30日夜の党五役との会談で北朝鮮訪問に関し「政治生命を賭けて行ってくる」と発言した事実はないと確認した。
町村信孝幹事長代理が「自分のブリーフでその種の発言をし、ミスリードしたことをおわびする」と陳謝した。』
困ったもんだぜ、ウソツキ自民党役員さんには。
バレタから表沙汰になったが、この種の作り話は過去にも山ほどあったに違いない。
ほんとにバカにされナメられている国民だよ、我われは!
ただこれではっきりしたことは、小泉首相は「政治生命まで賭けて」訪朝する積もりがなかったことだ。
では、どんな積もりで小泉首相は、国交もなく「一歩も進んでいない」両国間の状況下で、史上初の首相訪朝と首脳会談に臨もうと決断したのであろうか?
本日3日22:19のアサヒ・コムに、興味深いかつ笑わせる記事が流された。タイトルは、”日朝首脳「K・J」多々共通点 60才、A型、芸術好き”とあった。
図らずも小泉首相の「独裁者タイプ」の素顔を、表に引っ張り出してくれた良い記事であった。
結局のところ、”血が血を呼んだ”というのが正解かもしれない。
劇場型政治を独演するミレニアムのお騒がせ男「小泉純一郎」。
私がなぜ上述の如く「小泉訪朝」に否定的なのか。「小泉訪朝」の意味するところについて、そろそろ語るべき時が来たようだ。
章を変えて解説したい。
(2002/09/03)
<もてあそぶ男「小泉純一郎」>後編
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