the NIKKEI-watcher



コレダケハイワセテ!
Today's Shot



2002/04/20】 

「永田町の常識は、国民の非常識」



2002年4月3日、日経新聞夕刊14面


『前外相の田中真紀子衆院議員が、公設秘書に対する国からの給与を一部しか渡していなかったとの疑惑を4日発売の一部週刊誌が報じることが分かった。
田中事務所は「秘書給与は全額本人が受け取っていた」などと疑惑を否定している。
「週刊文春」と「週刊新潮」の記事によると、田中氏の公設秘書には同議員と関係の深い企業の社員が出向、この企業から引き続き給与が支払われていた。
秘書としての給与は田中氏や事務所職員が衆院事務局から直接現金で受け取って企業側に届け、このうち月5万円だけが公設秘書に「秘書手当」として渡されていたという。』

4月4日、日経朝刊16面「広告」


この日、すでに前日に記事内容が出回っていた「週刊文春」と「週刊新潮」の発売広告が、どういうわけか仲良く16面に並んで掲載された。
すなわち前日の記事は、発売前に永田町周辺に出回っていた両誌のゲラ刷りの内容を取り上げたものであった。
まあ、しかし、計ったように同日に同一テーマの記事が、二つの週刊誌から発行されるもんだと感心する。
その週刊誌二誌の田中前外相がらみの広告内容は、次のとおり。
「週刊新潮」4月11日号: 暴露された「田中真紀子」公設秘書「給与」疑惑

「週刊文春」4月11日号: 田中真紀子 公設秘書給与ピンハネ 元秘書衝撃の告発
                 議員辞職勧告!これは辻元清美と同じ犯罪だ。その手口の詳細を明かす。

同日、日経夕刊2面「ダイジェスト」


『福田康夫官房長官は4日午前の記者会見で、田中真紀子前外相が公設秘書の給与を不正受給していたとの報道に関して、「秘書の給与といえども本来の趣旨に沿った処理をしなければいけない。国民の不信を買うようなことになってはいけない」と指摘した。
事実関係については、「この際、明確にしないといけない」と述べ、自民党が調査すべきだとの認識を示した。』


早い!なんて早いんだ!
国民の常識からかけ離れた永田町住人でない一般国民のうち、この日の朝刊に発売広告が載って販売開始となった「週刊新潮」あるいは「週刊文春」の田中前外相「秘書疑惑」に関する記事を、何人が読んでいたであろうか?
福ちゃん!いや、すんません、馴れなれし過ぎて。
福田官房長官、あなたの記者会見は午前中に行われましたね。
週刊誌の新聞広告が出たのは、この日の朝刊ですよね。
あまりにも早すぎませんか!
大半の国民がその記事を読んでもいない段階で、天下の官房長官が、記者会見で週刊誌の記事を取り上げて「国民の不信を買うようなことになってはいけない」と、国民が不信に思うイトマも与えず、しかも直ぐに「自民党が調査すべきだ」などと言うもんですかね?
当然なんですか?「永田町の常識」としては・・・?!

4月5日、日経朝刊2面


『「だれが話しているのか状況が全くわからない。藪から棒が出てきたようだ」−−田中真紀子前外相は4日、公設秘書の給与を不正受給していたとする週刊誌の報道に関し、歯切れの悪い発言に終始した。
報道は同氏がファミリー企業の社員を公設秘書に出向させ、国からの給与の一部しか払っていないなどと指摘している。
同氏は4日の衆院本会議後に記者団に取り囲まれ、か細い声で質問に答えたものの、事実関係については「今の段階でコメントすることはできない」と述べるにとどめた。
自民党は週明けにも田中氏を呼んで、事情聴取する方向だ。』


芥川龍之介の著作に、「藪の中」という小説がある。
藪の中で死んでいた一人の男の死因を巡って、関係者の話が食い違っていて、話を聞けば聞くほど誰がその男を殺したのかがわからなくなってしまう、というのが小説の内容です。
政界あるいは政界の中の出来事を指して、しばしば「藪の中」という言葉が使われます。
誰が本当のことを言っているのか、わからない。誰も真実を喋っていないのかもしれない。
永田町とは、「藪の中」。すなわち真相のわからない世界。あるいは誰かが故意に真相をわからなくさせている世界、とも言えるかもしれません。

その永田町の薄暗い「藪の中」から、突然何者かによって自分目掛けて「棒」が突き出されてきた、と田中真紀子さんは語っているのである。

同日、日経夕刊2面


『自民党は5日午前の役員連絡会で、田中真紀子前外相が公設秘書の給与を不正受給していたとする週刊誌報道を受け、週明けにも田中氏から事情聴取する方針を決めた。
聴取は党政治倫理審査会(林義郎会長)の委員が担当し、田中氏のファミリー企業社員である当該秘書からの聴取も検討している。』


早い!なんて早いんだ!
にわとりだったら一羽鳴いたら朝が来るのかもしれないが、自然の中では、鳥が一羽さえずっただけでは朝は来ない。
さえずり始めた鳥の数が徐々に増していって、そして明るい朝が来る。
永田町と言うところは、自然の論理は通用しない場所のようだ。
4月3日に、新聞が週刊誌の田中真紀子前外相の「秘書疑惑」を伝えた。
4日には、福田官房長官が記者会見で、「自民党は調査すべきだ」との認識を示した。
5日には、自民党役員連絡会が、党政治倫理審査会において田中真紀子さんの事情聴取をする方針を決めた。

二羽の鳥がさえずっただけで、自民党には煌煌たる朝が来るという。
「永田町の常識」は、自然界の摂理を超えてしまっている。

4月6日、日経朝刊2面


『自民党の田中前外相は5日、公設秘書の給与を不正受給していたとする週刊誌報道について国会内で記者団の質問に答え、「名義貸しや、私的流用だとか、そういうことはない」と強く否定した。
同党は党政倫審で田中氏から事情聴取することを決めている。
田中氏は「政倫審は、週刊誌に出たらすぐ開かれるものなのか」と執行部を批判。
この直後、ばったりと顔を合わせた林氏には「今の自民党のやり方はおかしい」とぶちまけた。
この後、同氏はコメントを発表し@秘書給与は袋のまま開封することなく、本人たちから会社に渡していた。A会社が秘書給与の肩代わりをしたなどの事実はなく、ここ数年来の公設秘書は出向ではないので、給与は本人が直接受け取っている−−などと反論した。』


この期に至って田中真紀子さんも、コトの進行のあまりの早さに疑念が湧いてきたようだ。
今の自民党のやり方はおかしい」この言葉が、もっともマキコさんの心を率直に表わしていよう。

4月7日


4月7日は、少なくとも日経新聞紙上では、田中真紀子さんに関し何事もなく過ぎた。
私はしばしば、ヤフーの「政治」掲示板に投稿する。
この日私は、田中マキコさんの「秘書疑惑」を巡る首相官邸と自民党の「早過ぎる」対応と、そのことに対する大部分の投稿者の「木を見て森を見ない」余りに日本的国民性に深く落胆と憤りを感じ、次のような意見を投稿した(一部手直しあり)。
真紀子「秘書疑惑」の疑惑
2002年4月07日
メッセージ: 5849
 真紀子「秘書疑惑」を取り上げて投稿される人に、この問題が表面化した経緯に関する「疑惑」についてのコメントがまったく出てこないことに大きな疑問を感じる。

@週刊誌がまず取り上げた。(これはいい)
A翌日には福田官房長官が記者会見で「やぶから棒に」これを取り上げ、自民党で調査すべきだと話した。(これがおかしい)
B直ぐ自民党が、党政倫審を開き真紀子を呼び調査することを決定した。(これもおかしい)

週刊誌が書いた記事を、天下の官房長官が記者会見で取り上げて、しかも自民党に調査をすべきだと言うもんだろうか?
山崎幹事長が、統一教会の女性と寝たとか寝ないとかいう週刊誌記事もある。
この統一教会は、北朝鮮と関係があるとかないとかいう話もある。
小泉政権を支える人物が、小泉政権が問題視している「不審船」と「拉致事件」の張本人である北朝鮮と関係があるとかないとかいう統一教会と関係があるとかないとかいう女性と不倫したとかしないとかとなると、単なる「下半身」の問題として済ませるわけにはいかないはずだ。

福田官房長官は、なぜこの問題を党政倫審で取り上げるよう、記者会見で言わないのか?
本人がただ謝って済む問題かどうか、調査しないでわかるんだろうか?
辻元「政策秘書疑惑」に関してコメントした私の「ええかげんにせ〜よ」で、当初自民党関係者がこのネタを週刊誌に流したと推測した私は、これを「政治的テロ行為」と呼び、危険なものと警鐘を鳴らした。
週刊誌が取り上げた記事のあるものは問題にし、あるものは問題にしないという「恣意的な」やり方が通用することそのものが、記事の内容よりよほど重要な「疑惑」の対象である。
それがまかり通れば、週刊誌にネタを売り、特定の議員・政党・組織を自由に刺し殺す「政治的テロ行為」がまかり通ることになる。

この問題に目をつぶって議論する一部の投稿者の「木を見て森を見ない日本的国民性」には、まったくがっかりさせられる。

4月8日、日経朝刊2面


8日になると、日経紙上では、野党側の反応が取り上げられてきた。
そういう意味では、野党がさえずり始める前に、すでに自民党の朝はとっくに来ていたということになる。
自民党の常識は、野党の常識をも超えているのか?

『田中前外相が公設秘書給与を不正に受給したとの一部週刊誌の報道を巡って7日、与野党の幹部から自民党による事実関係の調査を求める声が相次いだ。
民主党の鳩山由紀夫代表はフジテレビ番組で、「給与が必ずしも全部本人に行っていなかったという部分が、説明し尽くされているとは思わない。もっと正確に調べてほしい」と表明。
辻元前政審会長の給与不正受給疑惑を抱える社民党の福島瑞穂幹事長は、「社民党は関係者のヒアリングを行って中間報告、最終報告を作ったので(自民党も)ぜひきちっとやってほしい」と強調した。
与党側でも公明党の神崎武法代表が、「田中氏はしっかり国民に説明する義務がある。自民党としても調査結果を公表してほしい」と要求。
保守党の野田毅党首も「事実関係をできるだけ早い機会に国民に明らかにしてほしい」と語った。
一方、自民党の山崎拓幹事長は「時間が大事だ。直ちにやれる方法でやる」と述べ、電話による聴取なども含めて早期調査を行う意向を示した。』


同紙25面には、「週刊現代」4月20日号の広告が掲載されていた。目次の中に、
『永田町ドミノ倒し!そして小泉が消える
 スクープ あの佐々木憲昭が追求へ 小泉「口利き」疑惑
 小泉が「答弁も記者会見もやりたくない!」』
との内容があり、目を引いた。
福田官房長官は、記者会見で、これを取り上げるのであろうか?

同日、日経夕刊2面


『小泉首相は8日、首相の私設秘書が公共工事に絡む口利きをしたとの一部週刊誌の報道について、「まったくありません。疑惑がないんだから説明のしようがない」と否定した。
首相官邸で記者団の質問に答えた。』


なんともはやご立派なお答えで、下々の者が疑惑をはさむ余地がないという、・・・ほんとにそうか?
そこで引っ込むなよ、記者団は。突っ込め、突っ込め!
それとも、あんまり突っ込むと今後、官邸側からことある毎に冷たい仕打ちを受けるとか、インタビューに応じてもらえなくなるとか、それで深く突っ込む記者がいないという訳じゃないんだろうね?

4月9日、日経夕刊2面「ダイジェスト」


『自民党の山崎幹事長は9日午前の記者会見で、田中前外相が公設秘書給与を不正受給したとの一部週刊誌の報道に関して、党政倫審の林義郎会長名で10日にも田中氏に質問書を送ることを明らかにした。
当初は政倫審のメンバーによる事情聴取を行う方針だったが、幹部で協議した結果「まず質問書から始め、必要があれば聴取する」ことにした。
山崎氏は事情聴取を先送りした理由について「田中氏本人が”お会いできない”と言ったからだ」と説明したが、その直後に町村信孝幹事長代理が記者会見して「まだ山崎幹事長も林会長も田中氏とは接触を試みていない。幹事長は勘違いしたようだ」と訂正する一幕があった。』


『民主党の熊谷弘国会対策委員長は9日午前の記者会見で、小泉首相の私設秘書が公共工事に絡む口利きをしたとの一部週刊誌の報道に関して、「首相自身のファミリー企業にかかわる色々な問題が指摘されている。
国対レベルでもきちんとした担当者を決めて精査したい」と述べ、党として独自に調査する考えを表明した。』

4月10日、日経朝刊2面


『当初、党政倫審の委員が本人から事情聴取する方針だったが、田中氏が猛反発。「聴取役」を誰にするかを巡って林会長、亀井久興事務局長、町村幹事長代理の三者で押しつけあったすえ、林会長名で質問状を送付し、田中氏に回答してもらう方式にトーンダウンした。
田中氏は9日、国会内でこの問題を質問するために集まった報道陣を前に、早口でまくし立てながら早々と国会を去った。
「すぐ党の政倫審だなんて、何と早い手回しだろうと思ってびっくりしましたっ。」』

4月11日、日経朝刊2面


『自民党政倫審は10日夕、田中前外相の公設秘書の給与流用疑惑を巡って、事実関係を確認するための質問書を同氏の議員会館の事務所に届けた。
質問書は「事情説明のお願い」と題し、一週間以内に文書で回答するよう求めている。
質問内容は「林会長から田中氏への書状のため、公表できない」としているが、秘書給与額、雇用実態、田中氏の認識などをただしているとみられる。』


ついに党として、田中氏宛て公式に書面が出された。
これに対して田中氏が、どんな内容の回答を出してくるかが、次のポイントとなった。

4月16日、日経朝刊2面


小泉首相は11日、国際会議出席のため中国海南島へ向かい、13日帰国した。
そのためかどうかは知らないが、15日は新聞休刊日であったこともあり、11日夕刊から以降、日経紙上には田中真紀子さん絡みの記事は見あたらなかった。
そしてこの日、「マキコの逆襲」が伝えられた。

『党政倫審から事実関係を糺す質問状を送られた田中前外相は15日、「どうして質問を受けなくてはならないのか」などと反論する文書を党に提出した。
田中氏が調査に非協力的な姿勢を鮮明にしたことで、山崎幹事長ら執行部は対応に苦慮しそうだ。』

4月16日、日経夕刊2面「ダイジェスト」


『自民党の町村幹事長代理は16日の記者会見で、秘書給与の流用疑惑を巡り事実関係を確認する質問状を送った田中前外相が、反論文書を党に提出したことを明らかにした。
田中氏は「週刊誌の記事に動かされて党の政倫審が活動するのに問題はないか」と党執行部の対応を批判する一方、質問状には一切回答しなかったという。
同党は週内に回答するよう引き続き求める方針だ。』


読者のみなさんがどう思われるかわからないが、田中真紀子さんのこの反論文書は、まさに巨大な自民党そのものを相手に戦いを仕掛ける行為であることを、私は強調したい。
良い悪いは別にして、自民党が党として正式に決定し、林政倫審会長の名前で出した質問状に対し、返事をする代わりに田中真紀子さんは、「党のやり方は、間違っているんではないですか?」と反論したわけである。
自民党員の中で、マキコさん以外にこのような行動がとれる人物は何人いるであろうか?
そこらの党員が同じことをしたら、「おまえ、党の決定に反抗するのか」の一言で終わりである。

私が、マキコさんが「得がたい」政治家であると感じるのは、その秀でた政治的直観力と同時に、この巨大なものを相手にして一歩も退かない「粘り腰」にある。
外務大臣時代のマキコさんは、省内からの陰湿な嫌がらせリーク攻撃に耐えながら、アフガン復興支援国際会議へのNGOニ団体参加排除の撤回を勝ち取り、鈴木宗男議員を自民党離党にまで追い込んだ。
さらには、外相時代に鋭意取り組んだ外交機密費の官邸上納問題がここにきて、共産党による官邸機密費メモの公表により小泉政権を揺るがす大きな問題として、再び田中真紀子さんの存在の重みを浮かび上がらせている。


今月10日に国会で行われた党首討論において、民主党の鳩山由紀夫代表がこの問題を取り上げた。

鳩山代表: 田中前外相が辞任後に「外務省と首相官邸はおカネの問題でつながっている。杜撰(ずさん)でいいかげんだ」と発言している。「官邸への機密費上納問題を調べる」と明言すべきだ。

小泉首相: 田中前外相は外相時代に「問題ない」と答弁している。機密費について直すべきことは直すということで改革を進めているし、整理して削減すべきは削減し、正すべきは正すということで既に予算編成にも生かしている。

鳩山代表: 田中前外相を参考人として国会に招致し、事情を聞くべきだ。

小泉首相: 必要なら委員会に要求してほしい。田中前外相は外相時代に「問題ない」と答弁しており、私が責任をもって答える立場にはない。

ほんとかよ?おまえは「責任もって答える立場にはない」だと?
おまえが責任持ってるのは、なんかあるのか?
もしあなたが、外交機密費の官邸上納問題に「責任をもって答える立場にはない」のであれば、もう日本国の首相を辞めたらどうですか?
鳩山代表も、もう少し突っ込みを入れるとか、「言質」を取るような質問の仕方をしないと、それでなくとも「すり替え」「詭弁」の天才・小泉純一郎に、いつになっても言い逃れされて、ヘラヘラ薄ら笑いされるだけの引き立て役に終わってしまいますよ。

4月17日、日経朝刊2面


『田中前外相は16日、党政倫審の林会長と衆院議員会館内で会議し、一部週刊誌が報じた自らの公設秘書給与流用疑惑について、「疑惑には当たらない」との見解を伝えた。
林氏は会談後、田中氏の説明を踏まえて、党執行部と今後の対応を協議する意向を示した。
これに先立ち、田中氏は国会内で記者団に「匿名の中傷記事が出たら”待ってました”とばかりに動いたことをどう感じているか伺いたい」と述べ、田中氏の秘書給与疑惑を政倫審で調査する方針を打ち出した執行部の対応を厳しく批判。
15日には小泉首相と山崎幹事長に見解を求める「逆質問書」を提出しており、首相は16日、記者団に「疑惑に対してしっかり説明するよう協力して下さいとの手紙をあした(17日)送る」と述べた。』


田中真紀子さんは、苦心しながらも必ず「本丸」を見つけ出す。
そして、少人数ではあっても、そこへ手勢を一気に向ける。
私はしばしばマキコさんを、「反面教師」に例える。
マキコさんに、優れた政策立案能力とか、外交交渉能力とかがあるとは、みなさん同様、私も思っていない。
しかし、政治家とはそれだけではないはずだ。
それだけで良ければ、いまもそうであるように、政治家はほとんど官僚出身者ばかりになってしまう。
マキコさんを通じて、マキコさんの目を通して、国民は政界という「藪の中」の「真実」の姿を垣間見ることが可能となる。
だから鈴木宗男議員は、自民党を離党することになった。
マキコさんの目を通して、なぜ国民は「藪の中」の「真実」を見ることができるのであろうか?
それは、マキコさんが、”苦心しながらも必ず「本丸」を見つけ出し、少人数ではあっても、そこへ手勢を一気に向ける”からである。
だから、隠されていたものが、表に浮かび上がる。
日本の政界にとって、それよりなにより国民にとって、得がたい必要な政治家であると、私は考える。

4月18日、日経朝刊2面


『「事実無根なら否定して下さい」。小泉首相は17日、田中前外相に公設秘書給与流用疑惑について自民党政倫審の調査に応じるよう(飯島勲首相政務秘書官を通じて)書簡を手渡し、趣旨を記者団に説明した。
山崎幹事長も具体的な資料を添付した文書で説明するよう、手紙を田中氏に送ることを決めた。
首相と幹事長が直々に田中氏の説得に乗り出した格好だが、同氏は「ご自分たちも週刊誌に疑念をもたれている。まず”隗(かい)より始めよ”で責任ある方がまず自分から始めるべきだ」と記者団に強調。
これを聞いた首相は、「人のせいにしないでね。自分のことをやるべきですね、まずね」と田中氏の発言を批判した。』


どういうわけか、この日経の記事には、そこの「重要な」言葉が抜け落ちている。
もっとも聞く人によっては、それは記事に入れる必要もないほど、意味のない言葉と思われたかもしれない。
私はテレビの報道で見たので、それを聞いた。
小泉首相は、こう言った。「事実無根なら否定して下さい。」
このあと、彼は記者団にこう問いかけた。「当然でしょ?


ほんとうにそうであろうか?ほんとうに「当然」のことなのであろうか?
田中前外相は、小泉首相にこう質問した。
匿名の中傷記事が出たら”待ってました”とばかりに動いたことをどう感じているか伺いたい」と。
それに対する小泉首相の返答が、「事実無根なら否定して下さい」である。
これは、マキコさんの質問に対する「返答」になっているのであろうか?
実は、小泉首相が記者団に付け加えた「当然でしょう?」の意味は、自分でもわかっているマキコさんの質問に対する「返答」の体を成していない自分の言葉の不正確さを取り繕うために、記者団に対し、自分の言っていることは「当然でしょう?」と機先を制したわけなのである。
彼はこの言葉の前に、「事実無根なら否定して下さい」と言っている。
この後に「当然でしょう?」と言われれば、記者たちはみな、それは当然だわねと思ってしまう。

もし小泉首相が、この言葉を付け加えなかったらどうだったであろう?
ひょっとしたら記者の一人が、「田中真紀子さんは、匿名の中傷記事が出たら”待ってました”とばかりに(官邸や党が)動いた
ことに疑問を感じているようなんですが、それについて一言」とか、質問していたかもしれない。
小泉首相にとって、この返事は難問である。
難問だからこそ、マキコさんが不審に思い、「逆質問書」まで送ったわけである。


小泉首相は、「詭弁」の達人である。
10日の「党首討論」の翌日の日経新聞は、『四カ月ふりの「党首討論」ながら、論議は深まらず空回り。「党首討論」ならぬ「党首空論」が続いた』と書いていた。
これは偏に、野党側党首の質問に「まともに」答えず、「すり替え」あるいは「詭弁」を弄してヘラヘラ薄笑いしている、小泉純一郎首相にその責任がある。

4月19日、日経朝刊2面


『山崎幹事長は18日、田中前外相の秘書給与流用疑惑について、給与明細など具体的資料を添付した文書での説明を求める書簡を、党職員を通じて田中氏の事務所に届けた。
田中氏は同日、記者団に「まず隗より始めよ。あちらは党のナンバー2.こっちはヒラよ」などと述べ、週刊誌が報じた山崎氏の女性問題の経緯を説明するよう求め、党執行部を批判した。』


小泉首相は18日夜、首相官邸で記者団の質問に答え、田中前外相の秘書給与流用疑惑について、自民党としての対応をただす田中氏からの「逆質問書」に対して首相が出した手紙に、田中氏が応じる姿勢を示さなかったことについて「私に質問が来たから丁寧に質問に答えただけ。それだけだ」と語った。
田中氏の今後の対応については「本人が疑惑に対してきちんと説明する。それでいいのではないか」と述べ、これまでの考えを繰り返した。
(NIKKEI NET 2002/04/18)

孤立無援の田中真紀子さんに、民主党の菅直人幹事長の一言が助けになったかもしれない。
菅氏は、同氏のホームページの「菅直人の今日の一言」で、次のように語った。

Date: 2002-04-18 (Thu)
小泉総理の地元の横須賀市は、公共事業の発注に全国でいち早く電子入札を導入したことで注目されている。
電子入札は誰が入札に応じるかお互いに分からないため談合が出来なくなる。
しかし予定価格が一部の業者に漏れていれば、その業者は圧倒的に有利になる。
その横須賀市の発注工事に関して、小泉総理の実弟が社長、公設秘書が役員をしていたと登記簿に記載のある、コンサルタント会社「コンステレーション」の口利き疑惑が週刊誌に報道されている。
公設秘書の給与問題と公共事業の口利きとはともに税金の使途に関わることではあるが、やはり何十兆円という公共事業費が「族議員」政治家の金儲けと「族官僚」の天下りのために使われている現状は、日本経済にも計り知れないマイナス。
総理は田中真紀子議員に秘書給与の説明を求めるだけでなく、自らも実弟や公設秘書が役員をしていたこの会社について説明する義務がある。
政治資金と天下りポストの確保を目的とする族議員と族官僚が政治・行政の実権を握っている限り、この国は良くならない。
10数年前のイタリアのように、腐敗議員と官僚を一掃して政治に活力を回復することが必要。


田中真紀子前外相と小泉首相の政界バトルの行き着く先は、何処?
「永田町の常識」で、「当然でしょう?」という小泉首相へ、私はこう言いたい。
「永田町の常識は、国民の非常識」ーー当然でしょう!
(2002/04/20)

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