目覚し時計のTAKA




Taka notes

2005年3月



◇2005年3月26日(土)◇


ライブドアが、議決権ベースでニッポン放送株の過半数を獲得したようだ。
同社は、リーマン・ブラザーズ証券を引き受け先とする800億円の転換社債型新株予約権付社債(MSCB)を発行することで、ニッポン放送株の取得資金を調達した。
昨日20:37配信のYomiuri On−Lineによれば、リーマンは引き受けたMSCBのうち550億円相当を普通株に転換し市場で売却すると共に、ライブドア堀江社長からの借り株4700万株余りも市場で売却済みで、既にMSCB引き受け資金800億円の大半を回収したとみられているそうだ。

結局、ライブドアは、自社の転換社債(転換後は普通株)という紙切れを印刷し、これをニッポン放送の株券に変えたということになる。すべてが転換して普通株となれば、ライブドアは極論すれば、コストゼロでニッポン放送の株式を取得したことになる。
一方、リーマン・ブラザーズ証券は、既にライブドアに支払った800億円の資金の大半を市場から回収済みである。ということは何を意味するのか?読者の皆さん、よ〜く考えて戴きたい。
ライブドアによるニッポン放送株買占めドラマを戦場に例えるなら、リーマンは既に戦利品を持って戦場から離れてしまった。ライブドアは一切身銭を切ることなく、戦場でかっさらった金品で戦をしている。そもそも印刷した紙切れを銭に変えたもので、すべてを失っても元は紙切れに過ぎない。
ではいったい、誰がこのドラマの戦場でリスクを負っているのだろうか?資金の流れ(矢印)を辿れば、一目瞭然である。

ニッポン放送株売却者←ライブドア(ニッポン放送株購入/MSCB発行)←リーマン・ブラザーズ証券(MSCB引き受け/普通株転換後売却)←ライブドア株購入者

上記一連の取引完了後の状況は、
ニッポン放送株売却者・・・・・@ニッポン放送株式譲渡A資金流入
ライブドア・・・・・・・・・・・・ @ニッポン放送株式取得A自社発行済株式数の増加
ライブドア株購入者・・・・・@資金流出Aライブドア株式取得
となる。
この中で、ニッポン放送株売却者に売却代金が入り、ライブドア株購入者が購入代金を支払うのは当たり前と言えば当たり前。問題はこのドラマの主役ライブドアの状況である。
細部にこだわれば多少のフィーの部分はあろうが、極論すればライブドアは、MSCBという名の有価証券を印刷し発行するだけで資金的には一切のリスクを負わず、議決権ベースでニッポン放送株の過半数を獲得し乗っ取りに成功したということだ。
この一連のトランズアクションによってライブドアに残された唯一の痕跡が、自社発行済株式数の増加である。

リーマンが関東財務局に提出した大量報告書によって、当初リーマンが引き受けたライブドアのMSCB800億円のうち、550億円相当が普通株に転換され既に市場で売却済みであることが判明している。
本年1月末現在において6億4,325万株であった発行済み株式総数は、リーマンによるMSCBの普通株約1億8,352万株への転換によって現在約8億2,677万株となった。
リーマンはなお250億円相当のMSCBを保有し、これも近々に約8千万株の普通株に転換されることとなる。現実は更に奥が深い。
ライブドアがMSCBを発行したすなわちリーマンがMSCBを引き受けた2月24日に先立って、リーマンは堀江社長から約4,672万株を借り受けており、ライブドアがニッポン放送株大量取得を発表した9日終値で469円まで急上昇したライブドア株の、既に大半を空売りしたと推測されている。
もしそれが事実なら、現時点で普通株に転換されていない約8千万株相当の約6割弱は、事実上売却済みということだ。

MSCBのすべてが普通株に転換されると、ライブドアの発行済み株式総数は、約2億6千万株増加し約9億6百万株となろう。これは、今回のニッポン放送株買収劇がスタートする以前の1月末現在の発行済み株式総数6億4,325万株と比較して、単純計算で約4割の発行済み株式の増加である。
株式会社が発行済み株式総数を増やすということは、簡単に言えば、資本を増強して金利を支払う必要のないCASHを手に入れるということだ。
こんなうまい話がそこらにゴロゴロしていれば、企業はこぞって増資に踏み切るであろう。
経済学の教科書では、発行済み株式総数が増加すれば、企業の株価はそれに反比例して下落すると教える。
そもそもニッポン放送によるフジテレビに対する158億円の新株予約権発行差し止め仮処分申請を行ったライブドア側の申し立てを認めた東京高裁の判決は、「今回の予約権発行はフジテレビの経営支配権の確保を主な目的としており、株主一般の利益を害する」と述べている。
この背景には、特定の相手に新株予約権を発行することが、発行済み株式総数の増加を通じて既存株主に不利益をもたらすとの認識があると思われる。
東京地裁は、「予約権発行は株式の敵対的買収者が会社を食い物にしようとしている場合などに許されるが、今回はその確たる証拠がない」あるいは「ライブドアによるニッポン放送の経営支配が企業価値を損ねるかどうかは経営判断の問題で、裁判所の判断には適さない」などと逃げを打つ一方で、現ニッポン放送経営陣の経営判断による予約権発行に対しては、「フジテレビの経営支配権の確保を主な目的」と明快に断じている。
ライブドアが「敵対的買収者」であることは明白ではないか。ライブドアによるニッポン放送経営支配に対して、中島みゆきやタモリが堀江社長に買収されたニッポン放送には出ないと出演拒否を宣言している書面を、ニッポン放送は東京高裁へ提出していた。またニッポン放送の従業員全体がライブドアによる買収に反対している。これらの事実は、企業価値を損なうことにならないのか?
今回の東京高裁の判決は、余りに恣意的で原理主義的な解釈であると言わざるを得ない。

新株予約権を通じた発行済み株式総数の増加が「株主一般の利益を害する」とのたまうなら、ライブドアによるMSCBを通じた発行済み株式総数の約4割の増加が、ライブドアの株価にどう反映しリーマン以外の一般株主の利益をどう損なったか、東京高裁の鬼頭季郎裁判長の意見を聞いて見たいものだ。
もっとも東京高裁もどうかと思うが、発行済み株式総数が約4割も増加することが実現しているさ中に、リーマン・ブラザーズ証券が売却したライブドアの株に飛びついて株価を吊り上げた一般投資家もどうかと思う。今回の狂乱劇における唯一の(当人はこれっぱかりも気づいてない)リスクテーカーが、この連中である。

それにしても、「改革なくして成長なし」と唱える小泉純一郎首相と、「メディアとITの融合」を唱えるホリエモンの類似性を痛感する。両者共に、それ以上がない。中身がない。
ホリエモンがニッポン放送を買収して何をしたいのか、誰も説明できない。確かに解説らしきことを述べるメディア関係者や学者もいるが、彼らは自分の考えを語っているだけで、ホリエモンが現実にニッポン放送を買収した後に何をしたいのか、語れる者はいない。
小泉首相にせよホリエモンにせよ、耳当たりの良いキャッチフレーズはあっても、何故か中身についてそれ以上のことを語らない。
だが、私に言わせれば、ホリエモンのニッポン放送株買い占めの目的は明白だ。
ニッポン放送という会社を食い物にしたいだけだが、そんなことは口に出せやしない。
ついでに小泉純一郎の目的も明白だ。
ニッポンという国を食い物にしたいだけだが、そんなことは口が裂けても言えるもんじゃない。
だから、2人ともキャッチフレーズ以上のことを多く語らない。語れないというより、本心を語りたくないだけだ。



◇2005年3月12日(土)◇


書きたい題材は山ほどあるのだが、理解に苦しむことばかりで筆が進まない。
たとえば、BSE。二つの重要問題が発生した。一つは昨年12月、日本人で初の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病による死者が発生したこと。
もう一つは、日米両政府が昨年10月に生後20ヵ月以下の若い牛の肉を対象に輸入再開に合意したにもかかわらず、科学者ら専門家を中心に内閣府に構成された食品安全委員会が、未だに結論を出さないことに対して米国議会、政府が圧力を強めてきたことだ。
あまり関わりがあると考えにくい二つの出来事。しかし3月7日、厚労省の専門委員会が変異型クロイツフェルト・ヤコブ病で死亡した男性は、24日間滞在した英国でハンバーガー等を食べていたことから、「英国での感染が有力とされる」との結論を出した。
ところが一方で、委員長の北本哲之東北大教授は、患者が「(3日間滞在した)フランスや、国内での感染を否定するものではない」と語った。(2005年3月11日付読売新聞長官15面”解説”より)
読者の皆さん、この発言をご承知ですか?メディアが強調しないので、おそらく知らない方がほとんどでしょう。厚生労働省クロイツフェルト・ヤコブ病等委員会の委員長が、患者が日本国内で感染した可能性を否定していないんですよ。

上記読売新聞の記事は、『日本は2001年10月以降、すべての食用牛から特定危険部位を除いている。「世界で最も厳しい」とされる対策だが、こんな懸案もある。牛の解体処理の際、暴れないように頭にあけた穴からワイヤを通し、脳や脊髄を壊す「ピッシング」という工程がある。これは、脳組織が枝肉に飛び散り、仮に異常プリオンがあれば、枝肉を汚染する可能性が指摘されている。この工程は今も7割の処理場で行われている。国の食品安全委員会は「廃止を含め検討すべき」と提言したが徹底されていない。消費者の安心を得るため対策を急ぎたい』と解説している。

私が、コメント「一頭の乳牛の哀しい旅」を書いた時点で、英国におけるBSE感染牛は約18万頭。これに対し、BSEに感染した人間は102人という数字であった。しかも当時の農水省のHP”BSE関係Q&A”には、潜伏期間は2〜8年(通常2〜5年)と記載してあった。現時点の農水省HPでは、標準で8〜10年と書き換えられている。
昨年12月死亡した患者は、1990年に英国で感染したとされ、2002年12月に発症したとされる。潜伏期間は12年超となる。
ハンバーガーがゴロゴロしていた当時の英国で、感染牛18万頭に対し感染した英国人はわずか102人。日本から渡英してわずか24日間しか滞在せず、しかも標準の2〜8年を大幅に超える12年超の潜伏期間の後にBSEに人が発症する確率は、どのくらいであろうか?
他方、潜伏期間2年(=24ヶ月)内の若い牛は、いくら検査しても発症前であるから、異常が見つかるはずがない。島村農水相が、「日本の常識は世界の非常識」と語ったのは、そういう意味だ。ではなぜ日本の行政は、そのような無駄をやるのか?
理由は、二つある。一つは、何事につけても日本の行政は、国民の税金を無駄遣いすることに何の抵抗もないからである。米国で行政が同様のことをやれば、まず専門科学者が反対の狼煙を上げ、次いで民間が税金の無駄遣いとして訴訟を起こすであろう。二つ目の理由は、必ずや裏には行政と民間との癒着があり、甘い蜜を生む利権の温床があるのであろう。

生後20ヵ月以下の若い牛の中からBSE感染牛が見つかる確率は、少なくとも、英国に24日間滞在して帰国後12年超経過して人がBSEに発症する確率よりは遥かに少ないはずであり、いずれにせよ両者とも、ナノテク世界並みのミクロの確率であるに違いない。
米国から圧力がかかっている折も折、日本国内でBSE感染した患者が現れたら、政府としてもバツが悪かろう。しかし科学者としての一寸の魂があるなら、余りにも低い確率の御伽噺で国民を幻想に巻き込むのは、チト問題ではなかろうか?日本にゴロゴロいる御用ナントカならしょうがないのだろうが・・・。
ほんとに日本という国は、一口に言って、「恥知らず」な情けない国になったもんだよな!

もう時間がなくて書けないが、ライブドアの堀江社長がエラク評判が良くて人気者のようだが、若けりゃ誰でもイイ人間か?って考える思考回路は、一般大衆にはないのだろうか?
若くたって良い(マジメナ)経営者もいれば、悪い(アクドイ)経営者もいるだろう。年配でも、良い経営者もいれば悪い経営者もいるはずである。なんで日本人は、そういうものの考え方ができないのだろうか?ホリエモンの表情と喋り方を見て、ヤツが良い経営者か悪い経営者かくらい勘を働かせてくれよな、わが同胞よ!
底流には、小泉首相のように一見自民党の旧態依然たる抵抗勢力と戦う正義の月光仮面風に見えるが、実は中身はアクドイ、ポピュリスト政治屋を、単に面白がって支持している醜い一般大衆の姿が、私にはダブって見えるのだが・・・。



◇2005年3月3日(木)◇

NYマーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物相場(WTI)が、1バレル53ドルを超えてきた。
米国ブッシュ政権による「大義なき」イラク攻撃がもたらした、二つの明確な現実がある。
一つは、上記の原油高騰である。二つめは、軍事支出の増大である。ブッシュのイラク攻撃によって潤ったところは、米国の石油産業軍需産業が突出している。
最近のブッシュ政権は、イラク先制攻撃の目的を「民主化」に絞って広報しているようであるが、他国を「民主化」するために先制攻撃を仕掛けて政権を奪取することが、「民主的」国家のやっていいこととは誰も思っていない。
現に、フセインが「大量破壊兵器」を隠し持っているというのが、ブッシュ政権によるイラク先制攻撃の最終的口実であった。
イラクを「民主化」する・・・そのような理由で当時、米国がイラクを先制攻撃することはできなかったし、現在もそのような理由で米国が他の如何なる独立国家に先制攻撃を仕掛けることは、国際社会が許さない。
米国CIAは、イラクが大量破壊兵器を所有している如何なる証拠もつかんでいなかった。にもかかわらず、呆れたことに「証拠」をでっち上げてまで、チェイニー副大統領が陰で操るブッシュ政権は、イラク先制攻撃に踏み切った。
その真の理由を、その後の世界がたどった二つの明確な現実が示唆している。
原油高騰と軍事支出の増大ーーそれがもたらした石油産業と軍需産業の大もうけである。サウジアラビアやクエートのようなアラブ地域の石油産出国もまた大もうけをした。
米国石油産業の中心テキサス出身でサウジアラビヤ王室とも石油を通じ親密な関係にあるブッシュ一族と、特異な軍需企業であるハリバートン前CEOチェイニー副大統領が、なぜ強引な「大義なき」イラク先制攻撃に踏み切ったのか?
今日も世界の経済は、「原油高騰」と軍事支出の増大がもたらした深刻な「米国財政赤字」という重荷を抱えて動いている。



◇2005年3月1日(火)◇

ライブドアの堀江社長をテレビで見ていると、なぜか小泉首相に似ているなあと感じる。
一つに、顔である。細面の小泉首相と、肉のたっぷりついた丸顔の堀江社長とは、外観的に似ているとは言い難い。にもかかわらず、私が二人に共通するものとして感じるのは、その表情から窺われる内面的人間性の貧しさの予感である。
いま一つは、喋り方である。両者に共通するのは、その実に傲慢な喋り方である。こういう喋り方をする人間は、決して自分の身の回りに居てほしくない・・・二人はそういうタイプの人物である。
テレビ報道等によると、最近の世論調査では、フジテレビの日枝会長より、ライブドアの堀江社長を支持する人々が多いそうだ。これも未だにこのわが祖国日本で、「稀代の詭弁家」小泉首相が40%を超えて支持されている事実と共通性を感じる。
日本人の中に、こういう二人のようなタイプが好みの人々が、数多くいるということであろう。人間は、社会生活の中で沢山の人々と交わり様々な経験を積んで生きて行く過程で、相手のちょっとした表情を含めた「人相」によって、ある程度その人物の人となり(信頼性と言ってもいいかもしれない)を感じ取れるようになるものではなかろうか?
その意味で、小泉首相や堀江社長の如き人物がチヤホヤされる日本という国が、ほんとのことを言って最近、私にはよくわからなくなってしまった。


次にBSE(狂牛病)を取り上げる。
厚生労働省は2月4日、日本国内で初めて「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」の患者が確認されたと発表した。
患者の男性は、平成13年12月に40才代で発症し、昨年12月に死亡した。平成元年頃1ヵ月間の英国渡航歴があり、この間に感染した可能性が現時点では有力とされている。
狂牛病に関しては、私はこのHPで次の二つのコメントを取り上げている。
 JapanProblem/「行政」の責任を問う/「狂牛病」
 JapanProblem/「行政」の責任を問う/「一頭の乳牛の哀しい旅」
BSEは恐ろしい「死に至る病」であるにもかかわらず国民の間に不安が拡がらない大きな理由に、最初に発症が確認された英国においてさえ、約18万頭の牛が狂牛病で死に追いやられたのに比し、発症した人間は102人(記事記載当時)しかいなかったという現実がある。
人への感染の確率は、相当に低いと言える。まして過去の欧州外の感染者は、英国に数年滞在した例が大部分であり、今回の日本人患者のようにわずか1ヵ月の英国滞在で感染した例は、過去に皆無である。
狂牛病の潜伏期間は、2〜8年と言われている。平成元年に英国に滞在し、平成13年に発症したとなると、潜伏期間が12年という例外的な長期間となる。
英国に1ヵ月滞在し、その12年後にBSEが発症する確率は、天文学的な数字になるものと推量される。
折りしも2月26日、北海道本別町でわが国で15例目のBSEによる死亡牛が確認された。感染牛は、月齢102ヵ月(8.5年)の乳牛で、「酪農家が牛を出荷するためにトラックに積み込もうとしたところ転倒。出荷を中止して農場で飼育していたが起立不能になり、22日に廃用牛として処分されたという。獣医の診断では”関節炎”だったという」。(asahi.com 02/26 11:35)

私は、「一頭の乳牛の哀しい旅」の最後に、BSEの過去の発生経緯とその潜伏期間を考慮し、次のように記した。2002年1月のことである。
『一頭の乳牛の哀しい旅は終わったが、行政の「怠慢」と「無責任」により狂牛病を抱え込んでしまった我われ日本の国民の旅は、これから始まる。狂牛病先進国である英国においても、狂牛病に罹った102人(うち96人死亡)という人数は、確率的にはそう高いものではない。しかしその哀しい旅をした一頭の乳牛のように、ある日突然真っ直ぐ歩くことができなくなり、立っていることすらできなくなって、やがて死んでしまう・・・そんな「人間」が数年後に、あなたの周りに必ず表れることだけは、間違いない。』

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