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<Taka remarks>
小泉純一郎氏
「信なくば立たず/やってから考える/急いてはことを仕損じる」
小泉首相の「傲慢・欺瞞」(その1)
ーー田中外相更迭ーー
1月29日深夜、小泉純一郎首相は、田中真紀子外相と野上義二外務次官の更迭を決断した。
そして後任の切り札として期待していた緒方貞子アフガニスタン支援首相特別代表(74)から固持の電話が入った2月1日午前、小泉首相は、後任の外務大臣に川口順子現環境相を横滑り起用することを決定した。
2月1日の日経新聞夕刊2面は、既に田中外相、野上外務次官、鈴木議運委員長の更迭が決定した1月29日夜、川口環境相が首相官邸を訪れ、福田官房長官から緒方氏が万一辞退した場合に備えて(外務大臣就任の)心の準備を要請されていたと伝えた。
これに先立つ同日同紙朝刊2面は、こう伝えていた。
『首相周辺によると「緒方氏自身は受諾に傾いているものの、家族ら周辺が強く反対している」という。』首相自身は何といっているか?31日夜首相官邸で記者団に、『できるだけ早く決めたいと思っている。経過は言わない方がいい』と述べたそうだ。
1月31日付日経朝刊1面には、小泉首相が30日、世界の人権問題などを話し合う「人間の安全保障委員会」の共同議長就任を首相時代に熱心に緒方氏に要請した縁のある『自民党有力者(森喜朗前首相)を通じて、ニューヨークに滞在する緒方氏に外相就任への説得を続けたが、同氏は回答を保留している』との記事があった。
同日の同紙夕刊2面には、『緒方氏は@74歳という高齢A国会対応への不安B家族や仕事との兼ね合いーーなどを理由に、回答をなお保留している』との記事があったが、本件に関しては、2月1日付読売新聞夕刊1面がより詳しくコトの経緯を掲載しているので、以下参考にしてみたい。
緒方氏は30日、森前首相から電話で外相就任を要請された際、『@「国連や大学での仕事や家族のこともありますから」と述べ、主に生活している米ニューヨークでの仕事の事情をあげ、難色を示した。緒方氏はハーバード大学でも教鞭を取っており、米国での仕事をすぐに取りやめることが不可能だった』という。
『政府関係者はA「家族が外相就任に慎重だったようだ」とも語っている。』
『また緒方氏は森氏に対し、B「国会で野党から質問攻めにあうのが心配」C「田中前外相と比較されるのはうれしくない」などと漏らしていた』という。
『緒方氏は最終的に1日午前7時半、福田官房長官の自宅に電話し、「身辺に仕事を抱えている。仕事を放棄できない」と述べ、就任辞退を伝えた。首相は緒方氏が辞退した場合に備え、川口環境相に29日深夜の段階で横滑りを伝えており、「緒方氏の受諾は難しい」との感触もあったようだ』と同読売新聞は伝えている。
30日の日経夕刊1面には、『小泉首相が30日午前の持ち回り閣議で、田中外相の辞任を承認するとともに、自ら外相を兼務した。週内には後任外相を決定する方針で、同日朝までに緒方アフガニスタン支援首相特別代表に就任を打診した』との記事が掲載された。
並んで[NY29日=時事]として、『緒方氏が29日(日本時間30日)、田中外相の後任への起用が取りざたされていることについて「何も申し上げることはない」と述べた』という記事もあった。
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先に引用した読売新聞の記事によれば、緒方氏は1日午前7時半、福田官房長官の自宅に電話してきたとのことである。ということは、29日深夜更迭劇があった翌日朝に緒方氏に外相就任要請をしたのは、福田官房長官であったに違いない。これはもちろん私の推測でしか過ぎないが、この時点でおそらく緒方氏からは、年令、仕事、家族などを理由に、否定的な返事を受けたであろう。福田官房長官はそこで、返事はまわりの方々ともゆっくり相談されて2月1日に頂きたいと、こう言ったのではなかろうか?
2月1日という日は、2月2日に東京で開かれる日ロ外相会談までに後任外相を任命するためのギリギリの期日であった。
だから、緒方氏は2月1日に電話してきた。
30日朝福田官房長官が電話したその日の午後、こんどは小泉首相の森派の親分であり、かつ緒方氏に縁のある森前首相が緒方氏に電話している。小泉首相、福田官房長官から緒方氏の否定的な感触を聞かされた森氏が、ひと肌脱いだかっこうではなかろうか。読売新聞が語っているように、29日深夜の更迭劇の段階から、「緒方氏の受諾は難しい」との感触が官邸サイドにはあったはずである。
さかのぼれば、昨年4月26日発足した小泉新内閣の外務大臣に、小泉首相は当初、緒方氏を目論んでいた。昨年の4月26日付日経朝刊1面が、次のように報道している。
『小泉氏は派閥にとらわれずに女性や民間人を起用する考えだ。緒方貞子前国連難民高等弁務官に外相を打診する意向だが、緒方氏は「多忙であり難しい。小泉氏の政策もわからない」として固持する考えを示している。』
昨年4月の時点で入閣を断った緒方氏が、いまこの真紀子対外務省、真紀子対宗男バトルで揺れ、不祥事で泥まみれの外務省にわざわざやってくるであろうか?いくら自己中心的にものを考える小泉首相であっても、そのくらいの常識はお持ちだと思わねば、失礼にあたるのではないか?
だから、緒方氏は午前7時半に電話してきた。NY時間午後5時半である。10時でもなく正午でもない、日本時間午前7時半に緒方氏が電話してきた理由は、この期限の日の出来るだけ早い時間に「固持」の意思表示を済ませたかったのではなかろうか?そもそも緒方氏は、初めから固持していたのではなかろうか?もしそうであれば、首相官邸はなぜ、2月1日までさも脈が五分五分程度にありそうなことを流してきたのであろうか?
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私はしばしばYAHOO!JAPANの「政治」掲示板に投稿する。次の文は、1月31日に投稿したものの抜粋である。
<緒方外相は実現するか?>
皆さん、緒方外相は実現するのでしょうか?
もし実現すれば、小泉政権は息を吹き返し、支持率も60〜70%くらいに戻る可能性がありますね。
緒方さん、どうするでしょうね?私は、100%受けないと思っています。
しかしもし彼女が受けたら、がっかりですね。74歳ですよ。その年で激務の外相を引き受ける理由が見当たりませんね。
外務省改革?それは出来ませんね、望んでも。皆さん、なんか他に理由見つけられますか?
小泉政権の改革を支援するため?どだい改革なんてもともとないじゃないですか。
小泉さんの支持率をアップさせるため?あり得ません。権力欲?名誉欲?
一番考えられるのは、お国のために外交に身を捧げるというやつですが、実は、緒方さん以上に、日本外交の内と外の乖離と醜さを知り尽くしている人はいないのではないでしょうか?今回のNGO問題だってそうじゃないですか。外務省の醜さ、エゴ丸出しだったでしょう。
私は彼女は、絶対固持すると思います。
にもかかわらず、はっきり言えば最初からダメと分かりながら、緒方外相に固執する首相官邸の思惑はなんだと思いますか?
もちろんパフォーマンスです。小泉首相お得意の。例のやつ。
人気取り、支持率稼ぎ、票稼ぎのためのパフォーマンスですよ。
これで断られて、次に大した外相が任命出来なくても、立派な口実が立つじゃないですか。「緒方さんに断られなければ・・・」という。首相官邸の深謀遠慮の一環です。
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今回の「田中外相更迭」騒動の一連の流れの中で、何としても許せない小泉首相の「傲慢」のパフォーマンスを取り上げてみたい。
1月30日の日経夕刊19面に、次の記事が載った。
『「結果として外務省は判断を間違わなかったからそれでいい。横路の話で国会封鎖をしようとするのは情けない」。30日午前の参院予算委員会に出席した小泉首相。内閣の看板である前外相の更迭やNGO出席問題を執拗に追及する民主党員に時折気色ばんで反論した。野党側は真相解明のためと何度も田中前外相の参考人招致を要求。そのたびに与野党の議員が委員長席の周りに集まるが、野党側の追求に対する首相は「外務省は最終的にNGOと協力すると決めた」などと繰り返し、議論は真相解明とはほど遠い堂々巡りの様相だった。』
これは、1月30日に開かれた参議院予算委員会での補正予算案審議において、民主党斎藤勁議員が、田中外相、野上外務事務次官、鈴木衆議院議運委員長の更迭に関して、小泉首相の責任を厳しく追及した際のひとコマである。
民主党のウェブサイトから、その解説記事を抜粋した。
齋藤議員は、3人それぞれの責任と首相の責任を追及。首相は、「外務省内部の問題だと思っていたが、政府、国会全体の問題となってきたので、私の責任と重く受けとめた」と答え、3人の責任には触れなかった。
この答弁に対して齋藤議員は、「NGOをどう認識するのか、どう位置付けるのかは、一外務省の問題ではない」と、さらに厳しく追及した。首相は、「結果として外務省もNGOと協力していくと言っている」などと、外相兼務を忘れたかのような答弁。齋藤議員は、「この間の真相、すなわちなぜNGOが拒否されたのか、3人の発言がなぜ食い違うのかを明らかにすることが、首相の責任ではないか。クビをとっただけで済ませようとするのは無責任だ」と迫った。
これに対しても首相は明確に答えず、「結果としてNGOと協力していくことになったからいいではないか」と開き直りの答弁を繰り返した。齋藤議員はこれでは真相解明にならないとして、田中前外相の参考人招致を要求した。
この要求が受け入れられなかったため、さらに齋藤議員は、28日に出された政府見解の文言について田中前外相が「自分が了解したものではない」と言っていることを取り上げて追及。福田康夫官房長官は「了解してもらっている」と回答したが、齋藤議員は納得せず、再度田中前外相の参考人招致を求めた。予算委員長は「最大限の努力をすることで、理事会で一致した」と回答した。
外務省は当初、アフガニスタン復興支援国際会議への非政府組織(NGO)2団体の参加を拒否していた。これを強く野上次官に咎めたのが、田中外相であった。その結果として、最終日の会議へのNGO2団体の参加を、外務省は認めたのである。「結果として」とは、そういうことだ。田中外相が何も言わなければ、そのNGO2団体は、会議に参加できずに終わっていただろう。
にもかかわらず、田中外相は小泉首相によって「更迭」された。その小泉首相が、「結果として外務省は判断を間違わなかったからそれでいい」という理屈はなかろう。実に小泉首相らしい、常に人の褌で相撲を取り、詭弁を弄し、常に自分一人イイコになっていたがる、彼お得意のお言葉である。外務省は間違っていた。それを正したのは田中外相であった。ならば、なぜ田中外相は、小泉首相によって「更迭」されねばならないのか?
国会で混乱を引き起こしたから?それは野上次官が、田中外相とまったく逆のことを答弁したからである。田中外相の言うことが正しくて、野上次官の言うことが「うそ」であったとすれば、なぜ田中外相は、小泉首相によって「更迭」されねばならないのか?どちらが「うそ」を言っているのかわからないというのであれば、国会ではっきりさせればいいではないか。どちらかが「うそ」をついていることは間違いないのであれば、それを明らかにせずして、NGO参加問題で外務省のミスを救って正しい方向に戻した田中外相を「更迭」することの理不尽さは、明白である。
小泉首相は、自分の責任の遂行として、3人の処分を決めたという。田中外相の「更迭」に、正当な理由はない。大多数の国民は、それに気がついている。国民は同時に、国民はそれに気づかないだろうと思った小泉首相の「傲慢」さにも気づき始めた。その表れである内閣支持率の低下を、小泉首相は「まったく関係がない」という。過去に国会答弁でなんども「国民は私の改革に賛同している。だから支持率がこんなに高いんじゃないか」とミエを切った人物が、今度は「まったく関係がない」と言うその「傲慢」さ。
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1月29日の日経夕刊1面に、こんな記事が載っていた。
『塩川正十郎財務相は29日の閣議後の記者会見で「NGOの参加を決めるときに、なんで外務次官が外相に相談しなかったのか。そんな大事なこと外務省の事務当局が、外相に相談するのは当たり前だ」と厳しく批判。28日の衆院予算委員会の際に、津島雄二衆院予算委員長に野上次官の更迭を提案したとされることについて「提案ではなく、話をした」と述べ、野上次官の更迭に言及したことを認めた。』
塩川財務相といえば、小泉首相の属した森派の重鎮でかつ大学の先輩にあたり、福田官房長官と並んで小泉政権のナンバー2の位置にある大物閣僚である。その塩爺が、29日の閣議後の時点で、上記のことを喋っているということは、その時点においては未だ、野上次官単独辞任が大勢であったのであろう。
一方、鈴木宗男議員に関しては、彼が議運委員長の立場にあることもあり、同氏の所属する橋本派の中で、これ以上同氏をかばうとそれでなくても抵抗勢力の汚名を被せられてきた橋本派全体が、世論の批難の好餌にされてしまうという危機感があったに相違ない。そこで鈴木議員の議運委員長辞任は已む無いものとし、それと引き換えになんとか同氏の仇敵である田中外相を道連れにする策を弄したのであろう。
これに乗ったのが、昨夏同外相から靖国公式参拝を非難され、機密費の絡む外務省内の聖域に手を突っ込もうとされていい加減うんざりしていた小泉首相と福田官房長官の首相官邸コンビであった。
1月31日の日経朝刊2面「検証 外相更迭」には、こう書かれていた。
『29日昼、森前首相と中川秀直前官房長官(皆さん、まだ覚えておいでであろうか?スキャンダルで官房長官を辞任したこの人物を)が官邸を訪ねた。「首相官邸の第三者的な対応に批判が強まっている」。中川氏が水を向けると、首相は国会答弁でもしばしば見せる強い口調で、反論した。「自分でやろうと思ったが、周りが触れるなと言うから遠慮していたんだ。触ろうと思えば今でもできる。」』
この男は、こういう風にものを言うのだ。前半部の「自分でやろうと思ったが、周りが触れるなと言うから遠慮していたんだ」は、この男の「無責任」さを象徴している。後半部の「触ろうと思えば今でもできる」は、この男の「傲慢」さを象徴している。かようにこの小泉首相という男は、「無責任」で「傲慢」な男なのだ。
小泉首相が触った結果が、鈴木議運委員長辞任と田中外相更迭の刺し違いの図式であった。ここに田中外相更迭、野上次官辞任、鈴木議運委員長辞任の「三方一両損」が成立したのである。小泉首相は、内閣支持率を失った。彼が、どの程度の支持率下落を覚悟していたか、誰にもわからない。彼の好きな、古来の諺で言えば、「奢る平家は、久しからず」といったところであろうか。
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一連の「田中外相更迭」騒動に絡んで、付け加えておきたい報道を以下にいくつか取り上げておきたい。
1月31日付日経朝刊2面。
『29日深夜、首相が外相に更迭を伝える直前、首相官邸の官房長官室で待機していた野上氏は「非常に無念だ。やるべき仕事はたくさんあるし、ああいう方とのセットで辞めさせられるのは無念だが、責任をとる」と思いを語っていた。一夜明けて野上氏は、辞任すべきでないと主張してくれた森前首相に電話を入れ、謝意を伝えた。「私はこれでいいのです。これで外務省も守れた。」』
外務省の何を「守った」のか、気になるところである。
2月2日の毎日新聞より。
『田中前外相の後任人事は、経過を検証すると、当初から緒方氏に受諾してもらえるかどうか不安を抱えたままの要請劇だった。29日深夜、福田官房長官は森前首相に「緒方さんを説得してください」と要請したという。官邸側は、緒方氏が受諾するかどうか確たる自信がなかったことが窺える。
緒方氏はニューヨークで夫の元日銀理事・四十郎氏と相談した上、1日朝、福田官房長官に国際電話で正式に固持する考えを伝えた。だが、実は緒方氏は30日、関係者に固持する意向をすでに伝えていた。「家族の反対が非常に強い」「残された仕事をやり遂げたい」。そして、こうも語ったと言う。「何よりもNGO参加排除問題で更迭騒動になる日本政治の現状には、失望感がある。政権が一夜にして高支持率から低支持率に引っくり返るような状況でしょう。」』
(2002/02/02)
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