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<Taka watches>
日経の吉野源太郎論説委員と言えば、私は直ぐに、2001年5月6日の同じ”中外時評”に掲載された「二重基準社会の終わり」と題する名記事を思い出す。
そして今日再び、同記者のそれに優るとも劣らないコメントを読む機会を得て、私が彼に抱いてきた評価が誤りではなかったことを確認でき、自己満足に浸っている。
吉野論説委員は、たいへん優れた”ジャーナリスト”だ。
the NIKKEI-watcherは、ここに読者の皆さんに宮本明彦編集委員に続いて、吉野源太郎論説委員の記事をRECOMMENDします。今後とも、日経新聞紙上にて、同氏の記事に是非ご注目下さい。
(2003/09/28 TAKA)
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ー猿芝居 主役はコズルイ 狐面ー
「小泉”のりしろ”政治」
小泉首相の公約(抜粋)
改革を推進していくため内閣改造を行った。新しい体制の下、構造改革路線を堅持し、改革の芽を大きな木に育てていく。
【道路公団民営化】 道路四公団は年内に具体案をまとめ、2005年度から民営化する。
【郵政事業民営化】 2007年から郵政事業の民営化を実現。来年秋頃までに法案をまとめ、2005年に法案を提出する。
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DATE・・・・2003/09/28(M-18)
記者 ・・・・論説委員吉野源太郎
TITLE ・・・”中外時評”/「改革」に具体的内容を/原則なき政治は衰退招く
評価 ・・・・A
自民党総裁選は、小泉首相の圧勝に終わった。
一般に予想されている如く、来るべき衆院総選挙においても、自民党中心の与党3党が多数を占めることになれば、国民は日本の今後3年間のかじ取りを、小泉首相に委ねる結果となる。
その小泉首相の公約から「道路公団民営化」と「郵政事業民営化」を除くなら、いったい「小泉改革」には何が残るのであろうか?
それが、本文における吉野記者のテーマである。
<道路公団民営化>
『昨年末の道路関係四公団民営化推進委員会の報告を受け、国交省は現在、民営化法案を作成中だ。驚いたことに、そこでは国主導の高速道路建設続行が検討されているという。債務返済を優先させる民営化委報告の原則を否定、改ざんしようというのだ。
国交省幹部によると、その場合も株式会社組織にするのだから「民営化」を指示した首相に背いたわけではないと言う。この言い分を認めれば、民営化には「むだな道路を造るやり方」と「むだはさせないやり方」の二通りあることになる。首相が「民営化」と言っただけでは、何も指示していないに等しいわけだ。
だが、この期に及んでも混乱を横目に首相は、「民営化」の具体的中身について決して言及しようとはしない。』
<郵政事業民営化>
『対立する意見をまとめられなかった「郵政三事業の在り方について考える懇談会」は、その見本だ。結局、昨年秋、各論併記の報告書を提出しただけで、肝心の事業は今年、なし崩し的に郵政公社へ移行した。
報告書には特殊会社方式、三事業一体の完全民営化方式、郵貯・簡保を廃止する方式と、やはり中身のまるで違う「民営化」メニューが並んでいる。
総裁選を終え、首相は再び郵政公社の「民営化」を言い出した。が、具体的な内容は今回も分からない。懇談会で議論は尽くされ、後は首相の裁断を仰ぐだけにもかかわらず、である。』
この小泉二大公約の具体例を引いて吉野記者は、小泉首相の言う「改革」について、『実は極めて曖昧な言葉』であり、『響きのよさとは裏腹に、首相の言葉には多くの場合、実体がなく』、『「小泉改革」とは常に、何をどのように変えるのかがはっきりしない改革である』と言い切る。
『首相の指示は、聞き手の解釈次第で白にも黒にもとれる。のりしろがやたらに大きいのだ。聞くものに解釈をまかせて決断を先送りする。丸投げと言われるゆえんだ。のりしろが大きいだけ、成り行きを見ながら落としどころを探す余地も多い。』
吉野記者は、一足先に「民営化」に踏み切った日本電信電話(NTT)を取り上げて、『通信の分野は、中途半端な民営化がどんな結末を招くかを象徴的に物語る』という。
『99年の日本電信電話(NTT)再編は、グループ各社の競争体質強化が目的だった。だが、改革は全うできなかった。NTTが完全分離・分割に猛烈に抵抗したからである。妥協の結果、持ち株会社方式でスタートせざるを得なくなり案の定、日本の通信の競争環境は後退した。
東西地域会社は苦戦を続け、NTT各社は結束を強めた。小泉政権になって逆流は決定的になった。東西地域会社間の収益補填制度が新設され、今年夏には、反NTTの旗手と言われた新興事業者インターネットイニシアティブ(IIJ)が、NTTグループの傘下に入った。
国が保証する特殊会社が、新興企業を買収する光景は不健全そのものだ。「次にKDDIが買収されれば、国営通信の完成だ」と悪い冗談もささやかれる。』
『郵政公社発足の際は、郵便事業の新規参入事業者にポストの設置を義務づけた。同じ総務省は通信分野では全く違うことを言う。末端の集配ポストに相当する地域回線は既存業者の回線を使わせる。その際の解放ルールが行政の重要な役割だと強調するのだ。支離滅裂である。』
ちなみにこの支離滅裂な政策を推進した総務省の所轄大臣は、片山虎之助前総務相である。片山氏は、青木自民党参院幹事長率いる橋本派の参議院議員で、何を隠そう青木氏とともに小泉首相総裁選立候補時には推薦人に名を連ねた。
9月9日の日経新聞夕刊2面の報道。同日、片山総務相はこう語った。
「構造改革はそれなりに進んでおり、この機会に進めないと今後はなかなかできない。小泉首相のように幅広い国民の支持がある方が、党の代表にふさわしいと考えた。(郵政民営化の公約について)総裁選立候補者としての公約だ。党の公約にキるときに何らかの調整が加えられることもあるかもしれない。色んな意見がある中で集約していくのが正しい方向だ。」
何と言おうか?・・・まさに腐った自民党に巣食う「同じ穴のムジナ」同士ということか。
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吉野記者は、こう結論づける。
『この国には、明快な競争政策が存在しない。政治家が、改革の原則について明確な思想と言葉を持っていないからだ。』
『改革が成り行きまかせで進むから、それぞれのルールは場当たり的でルールの体をなしていない。きちんとしたルールがなければまともな競争は成立しない。競争が進まなければ改革も進まない。』
そして「小泉”のりしろ”政治」について、こう明言する。
『考えてみれば、これは平均点を良しとする日本の伝統的政治手法にほかならない。既存の枠組みを壊そうとする改革の手法として限界があるのは当然だ。この手法に頼り続ければ、首相の指導力は疑問視されるようになり不信感も生まれる。』
『のりしろ政治の行き着く先は、衰退するもたれ合い社会である。「改革」や「民営化」を標榜しようがしまいが、原理原則を軽視し言葉に責任を持たない政治が続く限り、世の中は変わらない。
首相がのりしろを弄ぶほど、本当の改革は遠のいていく。』
いま、マスメディアの「公正」が問われている。飯島勲・首相政務秘書官に率いられた官邸からのメディア・コントロールを狙う小泉政権「メディア総合戦略」によって、国民の目に曝(さら)される大半のメディアが、臆面もなく小泉政権支持の偏向報道を続けているのが実態である。
小泉批判を重ねる武骨な某政治評論家はテレビ出演に先立ってテレビ局側から、「わが社は小泉批判はしない方針です」と告げられたそうである。
小泉首相に千切れんばかりにシッポを振る”エセ”ジャーナリズムが跋扈する現状を、深い憤りの思いで見詰めてきた私の目から見て、吉野源太郎論説委員による当記事の内容は、他に比類ない勇気ある快作と断言できる。
私は、自信を持ってこう言おう。「ここに、真の”ジャーナリスト”がいる」と。
(2003/09/28)
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