![]()
<Taka watches>
「すごい女(ひと)がいるもんだ!」
うかつにも、知りませんでした。こんな凄い女性がいることを。
タイトルの「川はどう書いても縦三本」。この言葉に目を惹かれた。なんと豪快な言葉であろう!この言葉を聞くだけで、胸がスカッとする・・・・・そんな気がした。ふん、そうだ、そうだ。だれが何と言おうと、だれがどう書こうと、川は縦三本。横に三本引いた川とか、斜めに三本引いた川など、見たこともないし、あり得ない。それでは川にならなくなってしまう。ふん、くもの巣のように絡み合った悩みとか、絡みついたしがらみとかを、一刀両断の下に斬り捨てるような、なんと豪快な言い方をする人であろうか!
その人が、なんと、ことし米寿(88歳)を迎えたおばあさんとは・・・・・!その人の名は、篠田桃紅さん。美術家ということだ。
![]()
DATE・・・・2001/11/26(E-1)
記者 ・・・・大島三緒
TITLE ・・・”知求人”篠田桃紅さん 美術家
評価 ・・・・A Recommend!
『1913年、旧満州生まれ』という。そんなところにも、豪快さの背景があるのであろうか?
『米寿を迎えた今も、宋端渓の巨大な硯(すずり)に毎朝二合の水を注ぎ、一日が始まる』という。なんという・・・・・!我が身に比較して。
『「川という字はどう書いても縦線を三本。でも、墨はもっと自由であってもいい」。ほとんど独学で書を会得しながら、そういう疑問を抱き続けていた桃紅さんの思いは募り、アメリカで力を試そうーーと、1956年単身乗り込んだニューヨークは、自由と活気と創造力にあふれていた』という。『「戦後」を引きずっていた東京との差に目を見張った。「地球上にこんな街があるのかってね」思ったそうだ。自己主張しあう無数のアーティストから刺激を受けて創作に没頭。滞在は2年におよび、「TOKO」の名が浸透していく。』
『水墨による独特の抽象画と書で国際的な評価を得て久しい。潔く引かれた一本の豪胆な線が、様々な表情を見せる。黒一色のはずの四角形が、鮮烈な印象を伴って胸に迫る。「墨は生きています。その日その日で色が異なり、天地万物を表現できる」』と桃紅さんは語る。
そんな桃紅さんに、この秋悲しい出来事があった。あの9月11日、「愛すべきニューヨーク」を襲った恐ろしい出来事。『崩壊した世界貿易センタービルには、自作を所蔵していた企業も多く入居、すべては灰になった。』
しかし88歳の桃紅さんは、そんなことには悲しまない。『絵はまた描けます。それよりも、人類がいつまでも普遍的な価値を持てない現実が悲しい』と嘆く。なんという奥の深い人であろうか!宗教の違いを超えて、同じ人間でありながらなぜ仲良く共存できないのであろうか?破壊や報復が、何らかの解決をもたらすとは思えない。にもかかわらず、現実に起こったことは、イスラム・テロリストによる何千人もの命を奪った破壊行為であり、米国によるそれに対する報復のこれまた破壊行為であった。
これらの悲しい現実を、少しでも良い方向に変えて行くために、おそらく88歳の桃紅さんは、『国境も思想も越えたアート』をこれからも実践して行くに違いない。
なんとすごい女(ひと)であろうか!
![]()
桃紅さんの時代はともかくとして、いまでは何かを求めてニューヨークへ乗り込んでいく若い女性が、あとを断たないのではなかろうか?語学留学で行く人、音楽やアートの勉強に行く人、ファッションの修行にあるいはビジネスを立ち上げに行く人。ニューヨークは、そういう人たちにとっていまでも、桃紅さんの原点となった1950年代と同じく、限りない魅力のある街である。そして9月11日の世界貿易センタービルの崩落は、ニューヨークを愛するすべての人々に、桃紅さんと同じ衝撃と悲しみを与えた。
桃紅さんが語るように、宗教の違いを超えて、「人類が普遍的価値を共有して」仲良く暮らせる時代が一刻も早く来たらんことを、心から願ってやみません。
(2001/12/17)