the NIKKEI-watcher

Taka watches

DATE・・・・2001/04/12(M-1)
記者 ・・・・編集委員 実哲也
TITLE ・・・”どうする日本3 政策を質す”/財政改革 制度再構築の智恵競え
評価 ・・・・B




内容はいいのだが、読み終わってみると何を言わんとしているかよく分からないし、結局ただ読み捨てられてしまう、といった記事がある。実氏は、自民党総裁選の候補者の財政に関する考え方の違いが浮かび上がってきたこの段階をとらえ、次のように指摘する。

『ここ数年の財政論議は「財政再建か景気回復優先か」という二者択一に絞られすぎたきらいがある。』
『日本の財政は「制度疲労」をおこしつつあり、このままの仕組みでは経済の活力をそぎ、生活の安心感も得られないからだ。』
『日本の財政はいま三つの問題を抱えている。一つ目は将来的な健全性についての不安だ。(省略)もう一つは公平さへの疑念。(省略)三つ目は財政資金が効率的に使われていないという不信感の高まりだ。』

上記の部分はまさに同感で、スーパーAランクの評価としたい。しかしこれが、後半部分では、次のように曖昧模糊とした、余りにも日本的な世界に戻ってしまい、結果的に、読み終わった読者である国民には何も告げられず、批判の対象とした政治家からはそれみたことかと揚げ足を取られかねない結論となってしまっている。

『どの自民党総裁選候補も現時点で制度改革を前面に打ち出していない。(省略)森首相の後継者は社会保障、地方財政、公共投資の三つの分野で制度再構築の展望を示すべきだ。社会保障制度の中核を担う公的年金については、受益と負担の不均衡が目立ってきた点を考慮すると、現役世代から年金受給者への所得移転でまかなう現行方式は限界に近づいている。(省略)地方財政の制度改革は地方の自立促進に焦点を当てるべきだ。(省略)公共投資は中長期的な活力増進に役立つものに重点を絞ることが不可欠。道路建設などを公共投資の中心とみる発想から脱却する必要がある。(省略)制度改革の際は経済の活力を損なわないよう注意すべきだ。(省略)限られた財源を使い、経済の活性化や安心確保にどうつなげていくか。財政改革には幅広い視点に立った総合戦略が求められる。

考えてみれば、この記事はまさに、現代日本の置かれた”何処まで行っても、いつか来た道”という本質を象徴しているようだ。特に最後の結びは何だ。「財政改革には幅広い視点に立った総合戦略が求められる」この結びが、前半の適切な鋭い指摘の部分を全く無意味なものにしてしまっている。このような書き方では、物事は前に進まない。
私は言いたい。政治を、政治家を批判するのなら、実氏のこの記事は全く逆効果であると。この手の論点をあいまいにしてしまう類の記事が、国民の物事に対する正しい理解を妨げ、政治と政治家を甘やかす原動力の大きな一つの要素になっているのだと。
前中半部分の適切な指摘、提言を、フィニッシュ部分の国民に誤解を与えかねない記事の書き方で帳消しにしてしまった、まことにもったいない一文である。




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