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◇2003年1月3日◇
読者の皆さま、新年明けましておめでとうございます。
今年が皆さまにとって、私たちにとって、良き年になりますよう、心より願わざるを得ません。
たとえ日本そして世界の政治、経済状況がどうなろうとも、せめて我われの身の回りだけは、しっかり守る心構えを怠らないでおきたいものです。
私は常々、この疑問を持ち続けております。
日本という国、そこに生きる日本人。この四方を海に囲まれ、山、川、緑、花の豊かな自然に恵まれた国土に生きて、高い教育水準、農耕民族特有の我慢強さと協調性、その結果として世界最先端を行くハイテクノロジーを有するに至ったこの日本と日本人が、なぜ現状のような惨たる経済・政治状況に陥ってしまったのか?
一人ひとりの国民は、皆とは言わないまでも大多数が、心温かく真っ直ぐな考えを持ち真面目に生きている人々であることは、疑いありません。
なぜ、こうなってしまったのか?
私は、ひと口に言えば、日本を蝕むものは、「政官業+闇」の癒着構造であると考えます。
この日本を支配する「政官業+闇」の癒着構造が、大多数を占める真面目な日本国民が納めてきた税金と、税金とは呼ばれないが内容的には同等の意味を持つ変形税金を、長年に渡って食い潰してきたのが、この世界第二位の経済大国の実態ではなかったでしょうか?
その癒着構造を維持するために、彼らは「MEDIA]を取り込んで、数々の「幻想(イリュージョン)」を一般の国民に信じ込ませてきました。
2003年の年頭に当たり、「政官業+闇」の癒着構造の「政」の代表者である小泉首相が”年頭所感”を、「業」の代表者である奥田碩日本経団連会長が”奥田ビジョン”を公表しました。
新年にあたり、皆さまには是非、その所感、ビジョンなるものから、本年も「政官業+闇」の癒着構造堅持を目指すお二人の「幻想」溢れるその内容を味わっていただきたいと思います。
なお、「政官業+闇」の「官」と「闇」の代表者からは、何の所感もしくはビジョンの公表がありませんでしたが、元来、「官」も「闇」も、裏で密かに蠢(うごめ)くことを本領としているところから、当然と言えば当然のことであります。
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小泉首相の”年頭所感”
新年明けましておめでとうございます。 小泉内閣が誕生して一年八ヵ月。この間、「改革なくして成長なし」の信念のもと、私は一貫して構造改革に取り組んでまいりました。本年は、不良債権処理の加速と産業の再生、デフレの抑制など政策強化を通じて改革路線を確固たる軌道に乗せてまいります。
昨年、史上初めて日本人によるノーベル賞の同時受賞という快挙を成し遂げた小柴昌俊さんと田中耕一さんは、「ノーベル賞級の研究者は日本にたくさんいる。」と話しておりました。
日本には大きな潜在力があります。改革こそが潜在力を発揮させるための途です。厳しい情勢が続きますが、自信と希望を持って、改革に全力を尽くし、国政に邁進する決意です。
外交政策では、国際協調を基本に国益を踏まえ主体的な役割を果たすとの姿勢を貫いてまいりました。
北朝鮮との関係については、拉致事件の被害者ならびにご家族の皆様の立場を踏まえ、支援と真相解明に努めるとともに、米韓両国とも連携しつつ、核開発問題の解決など北東アジアの平和に向けた努力を粘り強く積み重ねてまいります。
今後とも、国際社会の一員として、世界の平和と安定に貢献する積極的な外交を展開していくとともに、国民の安全と安心の確保に万全を期してまいります。
国家の発展のために不可欠なものは、自らを助ける精神と、自らを律する精神です。経済を再生し、自信と誇りに満ちた日本社会を築いていくために、本年も揺るぎない決意で改革を進めてまいります。
国民の皆様の一層のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、本年が皆様一人ひとりにとって実り多い素晴らしい一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
短い文章の中に、「改革」という言葉が6回も出てくる。
もしも私が信じるように、日本の構造問題が、「政官業+闇」の癒着構造であるならば、小泉首相の「改革」という言葉は、果たしてその癒着構造に対する改革を意味しているのであろうか?
もしも小泉首相の「改革」が、「政官業+闇」の癒着構造に対する「改革」を意味しないなら、小泉首相とは、中身のない「改革」という言葉だけの「幻想」を、念仏のように唱えることで一般国民を惑わす現代の「幻術使い」と言えまいか?
狂牛病の農水官僚、プール金、瀋陽総領事館事件の外務官僚、調活費疑惑の検察官僚を庇い立てし、官僚の庇護者を気取る小泉首相。
北朝鮮の工作船である”不審船”への領海外における先制銃撃には熱心だが、その不審船の侵入目的たる覚醒剤・銃器取引の相方である国内の暴力団取締りには無関心で、得体の知れない朝銀への莫大な公的資金投入には熱心な小泉首相。
この男の口にする構造改革は、「政官業+闇」の癒着構造の改革には縁遠いものであることは明らかである。
小泉内閣が誕生して1年8カ月の間、「改革なくして成長なし」の”チラシ”ワンフレーズ・スローガンを唱え続け、「私は一貫して構造改革に取り組んでまいりました」と言う。実は、この言葉にもマヤカシがある。
「取り組む」という言葉には、「実行する」という意味は含まれない。小泉首相に言わせれば、「私は一度も、”実行する”とは言ってない。私は、”取り組む”と言ったんだ。大胆に柔軟に”取り組む”とね」ということだろう。
小泉政治のプライオリティーとは、真の改革を実行することではなく、国民に改革という「幻想」を振りまき、支持率を高めることだけではないのであろうか?
「不良債権処理の加速と産業の再生、デフレの抑制など政策強化を通じて」というが、小泉「丸投げ」首相は、この三つの課題すなわち「不良債権処理の加速」と「産業の再生」と「デフレの抑制」との相互に複雑に絡み合った経済的因果関係など、考えたこともなかろう。
しかも、つい昨年末まで唱えていた「新規国債発行30兆円枠」など、いずこへかすっ飛んでしまった。
2002年度補正予算案における81兆円の国家予算に占める36兆円の国債発行の、どこに改革の精神があるというのだろうか?
そして、「改革路線を確固たる軌道に乗せてまいります」という国民への「改革幻想」振りまきの言葉が続く。更には、国民受けするノーベル賞同時受賞者のお二人、小柴昌俊さんと田中耕一さんの名前を取り挙げて、「日本には大きな潜在力があります。改革こそが潜在力を発揮させるための途です」と、更なる「改革幻想」振りまきダメ押しを狙う。
次に外交問題については、なんと言っても、北朝鮮問題に尽きる。
私は、今でも、この疑問を持ち続けている。小泉首相は、何しに北朝鮮へ行ったのか?
この疑問の答えが、「金正日を騙して、拉致被害者の何名かを連れ戻すことが目的であった」というなら、それはまさに、現状を正確に表わしていると思う。しかし、いくら何でもそれが真実ではあるまい。
では、いったい小泉首相は、何を目的に北朝鮮を訪問し、金正日と首脳会談を行い、不平等「日朝平壌宣言」に署名してきたのか?
小泉首相は訪朝を前にしてブッシュ米大統領と会談し、その場で、北朝鮮による秘密裏の核開発継続と数個の核兵器保有の可能性を示唆された。にもかかわらず、核開発継続、拉致、不審船など北朝鮮による国際的違法行為を咎める文言は何一つないくせに、戦後補償に代わる経済協力支援については事細かく既述された「日朝平壌宣言」とは、いったい何であったのか?
小泉首相は、「ブッシュ大統領から知らされた情報は、真実かどうかわからなかった」ことを、金正日との首脳会談で深く追求しなかった理由に挙げていた。これに対し米国政府が、「日本は、米国と北朝鮮とどっちを向いているんだ」と怒ったのは当然だと思う。
小泉首相は、「外交政策では、国際協調を基本に国益を踏まえ主体的な役割を果たすとの姿勢を貫いてまいりました」と語る。
日本国民の半数が求めていない首相の「靖国参拝」に拘泥し、日中国交回復30周年記念の年に中国訪問を拒否され、ブッシュ大統領が示唆した北朝鮮の核開発継続情報隠しによってブッシュ政権からは見限られ、拉致被害者5人を騙し取られたとあの北朝鮮の犯罪人独裁者・金正日から拒否反応を受けている小泉外交のどこに、国際協調と国益優先の主体的路線があるというのであろうか?少なくとも、小泉訪朝がなければ、北朝鮮によるIAEA査察官の追放はなかったであろう。
私の考えでは、小泉訪朝の最大の目的は、内閣支持率のアップにあったと見る。拉致問題も、核・ミサイル問題も、国交正常化も、経済協力支援も、すべては支持率アップという主目的に対する下位目的に過ぎなかった。
北東アジアの火薬庫・北朝鮮を弄び、国際的火遊びをしてパンドラの箱を開けてしまった小泉首相のパフォーマンスの”ツケ”は大きい。
「今後とも、国際社会の一員として、世界の平和と安定に貢献する積極的な外交を展開していく」とのセリフが如何にも白々しく感じられると同時に、狂牛病責任を官僚、大臣にとらせない小泉首相の口から出る「国民の安全と安心の確保に万全を期してまいります」との「幻想」振りまきにも、ほとほと嫌気がさしてくる。
「改革」という言葉を弄び、「改革」という言葉の持つイメージの「幻想」だけを国民に売り込むことに熱心な男・小泉純一郎は、「本年も揺るぎない決意で改革を進めてまいります」そうだ。
小泉首相大得意の「幻想」に幻惑される国民の方が、悪いわけではない。すでに多くの人々が、小泉首相に擦り寄った挙句に傷ついてきたのを見てきた。最近では、道路公団民営化委員会委員長を務めた新日鉄会長の今井敬氏が好例だ。
小泉純一郎という男は、天才的「幻術使い」なのである。
日本経団連”奥田ビジョン”
日本経団連は1日付で、日本の将来像を示した「奥田ビジョン」を公表した。
○社会保障改革の柱として、消費税率引き上げにより財源確保。2004−2014年度の間、税率を毎年1%ずつ引き上げ16%に。
○納税者番号制を導入、税と社会保険料を一括徴収。
○少子高齢化による就業者減を補うため、永住を含め外国人の移民を受け入れ。
○行政権限を国から地方に移管、全国5−10ブロックの州制を導入。税源含め移譲。
○日本、中国、韓国と東南アジア自由経済圏の創設。
○企業の政治献金のための指針を策定。構想への貢献度で与野党の政策を評価。
小泉首相の”年頭所感”と同様、もしも日本を蝕むものが「政官業+闇」の癒着構造であるならば、この”奥田ブジョン”なるものが、その「政官業+闇」の癒着構造を改革するものなのかどうか、その点にご注目いただきたいと思います。
元日の新聞発表に先立ち、奥田碩・日本経団連会長は各紙とのインタビューに応じ、2025年までの日本の望ましい姿を展望した同構想について、次のように語った。
○消費税率引き上げ
年金や医療などの社会保障の維持と経済活力の確保を両立させるには、給付の抑制と併せ消費税率上げが不可避と判断。経済財政諮問会議の議員を務める奥田会長は、(政府が)早く検討を始めるよう提言したい」と言う。
構想通り進めば、2004年度中に消費税率の毎年1%引き上げが開始となる可能性がある。
これはいったい、「政官業+闇」の癒着構造の改革に資するものであろうか?
日本のお金の流れを簡単に言えば、国民から集めた税金および変形税金と、国債を発行して得た資金約81兆円が、財務省主計局の予算案によって配分されて行く仕組みと言える。
この財務省主計局の予算の分捕り合戦が、族議員、族官僚を生む温床となっている。
消費税率引き上げは、過去、ある意味で、政治家にとってタブーの話題であった。その一つの理由は、消費税が累進性を持たないため、相対的に低所得層に不利な税金であるためだ。
そのため記者団から、小泉首相が在任中は消費税率を上げないと発言している点を突かれて、「(首相が)もう少し踏み込んだ発言をしていることもある。完全にないというはなしでもない」と、奥田会長は答えている。
「政官業+闇」の癒着構造が食い物にしているのは、簡単に言えば、一般国民の所得となるべき利益と言える。従って、一般国民に不利となる消費税の増税が、「政官業+闇」の癒着構造に対する改革でないことは、明白だ。
そして、「政」が言い難いことを、「業」の代表者である日経連会長が”奥田ビジョン”と名づけて、「政」に提言するという。絶妙の「政官業+闇」の癒着構造のチームワークと言わざるを得ない。
元旦の「NHKスペシャル」で、21世紀・日本の課題「語り合おう再生への道」と題して、奥田・日経連会長と建築家の安東忠雄氏の対談があった。
番組の中で、”奥田ビジョン”による消費税率引き上げに関して、視聴者から奥田会長に一つの質問が投じられた。
それは、消費税率引き上げの前に、「官」の人員削減、給与・退職金水準の引き下げや、無駄遣いの削減など、やるべきことがあるんではないでしょうか、という内容であった。
これに対して、奥田会長の回答は、見事な「無視」であった。
日本を代表する国際企業「トヨタ」の会長でもある奥田氏は、政治家に対してもこれまで結構ズケズケものを言っており、庶民感覚のある異色の経営者かなという印象を、私は持っていた。
しかし、このNHKの番組における視聴者の質問への完全無視には、呆れかえった。この男の素顔は、単なる「政官業+闇」の癒着構造における「業」の代表者に過ぎなかったのかという思いだ。
○納税者番号制の導入
何のことはない、例の小泉首相が、故小渕首相の国会発言を詭弁を弄して無視強行した「住基ネット」の徴税への活用に他ならない。
○外国人移民の受け入れ
時代のやむない流れではあるが、「業」にとっては好都合でも、一般国民にとっては職場を奪われることを意味しよう。
○地方分権と州制の導入
今でこそ押しも押されもしない国際企業だが、元はと言えば、愛知の殿様企業であったトヨタ出身者ならではの発想である。
悪いことではないと思うが、目先ままならない日本の政治・経済状況に、どの程度の好影響があるものであろうか?
○日中韓と東南アジア自由経済圏の創設
これは簡単に決まる話ではない。
○企業政治献金の指針策定
端的に言えば、「政官業+闇」の癒着構造における「業」の取り分を増やせ、という話であろう。一般国民には、何のメリットもない話だ。
ということで”奥田ビジョン”とは、「政官業+闇」の癒着構造を、「業」にとって都合の良いように改革しようという構想であった、という結論となる。
消費税増税の前に、なんかやることはありませんか?という思いは、「政官業+闇」の癒着構造の外にいる一般国民誰しもが持っている
疑問である。この疑問に答えることのできない人物は、いくらズケズケものを言ったところで、今後は「幻想」を振りまく猿芝居の役者の一人としか見られまい。
元来、トヨタがここまで国際的大企業にのし上がってきた大きな理由の一つに、これまでの経営者が、過剰に政治にかかずり合うことを避けてきたことが取り上げられている。
最近、奥田・日経連会長の名前が、政治の世界で頻繁に登場するようになった。これはトヨタにとっては、決して明るい話ではなかろうと、私は考えている。
ご参考
小泉総理「年頭所感」
日本経団連の新ビジョン「活力と魅力溢れる日本をめざして」
(2003/01/03)
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