the NIKKEI-watcher


Stock markets
the Japanese stock market



2001/03/03(SUN)
2001/03/25(SUN)
2002/10/08<ストラテジスト>



    


2001/03/03(SUN)

率直に言って、私は、日本の株式市場そのものを、信用していない。
株式とは、資本主義社会における資本の一形態であり、株式市場とは、より効率的で、より良い利益を求める莫大なMONEYの移動による株価の変動を通じて、業績の良い会社と、業績の悪い会社が選別されていく場である、というのが経済学の理屈である。
私は、日本の経済の仕組みは、資本主義経済というよりは、社会主義経済に近いものではないかと考えている。もしそうなら、日本の株式市場の本質も、他国の自由資本主義経済の下にある株式市場とは、異なったものとなって当然と考える。
また、より効率的で、より良い利益を求めるMONEYの移動があってはじめて、株価が、業績の良い会社と、業績の悪い会社を正しく選別できるのであって、そこに、日本の現状のように、”より効率的で、より良い利益”を求めない、ただ株価の下支えを目的としただけの莫大なMONEYの動きがあると、資本主義の理論を反映した正常な株価の変動など、望むべくもなかろう。

昨年の今頃の、IT関連といわれた株の暴騰とその後の暴落が、個人・法人を問わずあらゆる種類の投資家に、どれほど深刻な打撃を与えているかに関して、今現在、あまり表沙汰になっているとは思えないが、内実は、投資家は相当のダメッジを受けているはずと、私は推測する。
昨年のIT関連株の暴騰は、明らかにバブルであった。私は、チャートを読まずして株を売買するのは、海図なしに航海しているようなものである、と常に思っているが、昨年暴騰したIT関連株のチャートを眺めながら、これは一体何を物語っているのだろうと考えに耽る時がある。
それは正にバベルの塔のような姿である。そこには、業績を無視し、MONEYの正しい運用を無視した投資家連中の、”おごり”の跡が残されているのかもしれない。

バベルの塔(The Tower of Babel)

ノアの大洪水の後、バビロン(バベル)の人々が天に達するような高塔を築き始めたが、神は人間の僭越を憎み、人々の言葉を混乱させ、その工事を中止させたという。(創世記11章)
                          岩波書店”広辞苑”より
今、日経平均株価は、バブル後の安値を更新し、12000円台を割ろうかという水準であるが、私には、まったく驚きはない。
実は、日本の株式に関しては、一つの重大な問題が隠されている。
A hypothesis about the Japanese stock market

日本政府・財務省は、日本の株価が、ある一定水準を超えて、更にどんどん上昇して行くことを望んでいない。

”株価がどんどん上昇して行く”という状態は、景気がどんどん回復し、上昇しつつあることを意味する。従って、上記の仮説は、換言すれば、日本政府・財務省は、景気がどんどん回復するのを望んでいない、ということになる。そういえば、過去に何度も、政府は、景気がちょっと良くなりかけると、必ず水をさすようなことをしてくれたな、と同感してくれる読者も多々いるのではないだろうか。
彼らは、景気回復・株価上昇そのものを嫌がっている訳ではない。彼らが恐れているのは、景気回復・株価上昇に伴う、金利の上昇なのだ。しかし、金利の上昇を伴わない景気回復・株価上昇は、経済学の理論にはない。そして、さすがに財務省にも、景気回復・株価上昇時に、力づくで金利水準の上昇を抑える方法はない。

金利の上昇は、銀行の収益自体にマイナスの影響を及ぼすのみならず、累積債務を抱えた企業のキャッシュ・フロウに影響を及ぼし、引いては、銀行の不良債権の増加となって、金融不安再発の引き金にもなりかねない。国による、再度の資本注入が必要となる事態になれば、国債増発に拠らざるを得ない。更に、金利の上昇は、それ以降に発行する国債の利払費に直ぐに反映してくる。
現在2000年度末で、、国・地方を合わせて長期債務残高は642兆円あり、2000年度の国債利払費は、10兆円であったが、金利が上昇すれば、国債の残高を減額するどころか、残高が更に増え続ける事態になりかねない。この日本の財政赤字は、現状でも既に破綻状態という見方もあるが、事態が長く続けば続くほど、如何なる形を取ろうとも、税金の引き上げ先送りの限界に近づいてきてしまう。

日本政府・財務省の方針としては、現状の超低金利政策を出来るだけ長く続け、その間に、銀行の不良債権処理を終わらせたい、というのが本音であることは間違いない。
いずれにせよ、日本の株式市場の先行きに、明るいものは見あたらない、というのが私の結論である。

最近、宮沢財務相のコメントを読んで、多少気になることがある。何かとても評論家的なのだ。当事者の、しかも最高責任者の立場にある人のコメントとは思えないような、評論家的言い回しが気になる。ひょっとして、もう日本の財政・金融状況は、さすがの宮沢さんでも手の打ちようがないところまで来ているのでは、と勘繰りたくもなる。そうでなければ良いのだが。
Japan Problem/日本の財政赤字
  上記コメントを書いて僅か数日後に、杞憂が杞憂で済まないことを、宮沢財務相がポロッと喋ってくれた。




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