the NIKKEI-watcher

Japan Problem/日本はどこへ向かっているか?


プルサーマル計画


DATE・・・・2001/03/29(E-3)
記者 ・・・・編集委員 塩谷喜雄
TITLE ・・・”ニュース複眼”/始まる日本型リサイクル/循環型社会実現へ一歩

評価 ・・・・C



4月に施行される、家電をはじめ食品やパソコンのいわゆる家電リサイクル法は、循環型社会を目指す日本型リサイクルの始まりだというのが、このコラムの主題である。そして最後に、プルサーマルに関して、次のように書かれている。

『同じ国策のリサイクルでも、核燃料リサイクルのプルサーマルは当初予定の4月開始が難しくなっている。国や電力会社に対する地元の不信が複雑に絡み合って、膠着状態という。原発の使用済み燃料から取り出したプルトニウムをまた原発で燃やすプルサーマルも、核兵器の材料になるプルトニウムを使い切るという意味合いと、エネルギー資源の有効活用という側面を持つ。リサイクルは資源小国の宿命でもある。』

家電リサイクルに関しては、なるほどという感じである。ただ、何なんだ、このプルサーマルについてのあまりに軽すぎる扱いは。確かにプルサーマルが、エネルギー資源リサイクルの一環であることは正しい。問題の一は、それは家電のリサイクルと並べて考えられるようなものかどうか、という点である。そして問題の二は、塩谷氏がいうように、プルサーマルは@核兵器の材料になるプルトニウムを使い切るAエネルギー資源の有効利用、という良いことずくめの二点しかないのかという点である。

再処理で取り出されたプルトニウムは、軽水炉で燃やされるまでは核爆弾の原料になり得るという事実を、塩谷氏が知らぬわけがあるまい。日本は、世界で唯一の被爆国ではなかったか?毎年8月には、再び世界に日本のような被爆国がでないことを、国民こぞって祈っている国ではなかったか?確かにエネルギー資源のリサイクルではあるが、プルサーマルを家電リサイクルと同列に扱うのは拙いのではないか。それに、良いことずくめの二点しか取り上げないと、この記事を読んだ読者はプルサーマルに関し、実態と違う誤った印象を受けるのではないか?それが塩谷氏の目的であれば別だが、そうでないならば、読者である国民に正しい情報を提供すべきジャーナリストとしては、チト拙かったのではなかろうか。


ちょっと古くなるが、次のような記事もある。
DATE・・・・2000/10/16(M-15) 科学技術部 豊川博圭
TITLE ・・・”サイエンス・アイ”/本音と離れる原子力計画


『本音と建前が多少異なるのは世の常だが、度が過ぎると滑稽で信頼の置けないものになる。原子力委員会の策定会議がまとめた次期原子力長期計画案は、もしかするとその一線を越えてしまったのかもしれない。策定会議が東京、青森、福井で開いた「ご意見を聞く会」を傍聴して、その懸念を強く抱いた。
計画案 「再処理で取り出したプルトニウムはウラン資源の消費を節約するため、軽水炉でのプルサーマルなどで活用する」。
市民側からの指摘 「プルサーマルの本当の目的は資源問題の解決ではなく、核兵器に転用できる余剰プルトニウムを消費することではないか。本音を書けないのは再処理の意義が失われるからでは」。
計画案 「原子力発電の経済性は、他の電源との比較においてそん色ない」。
市民側からの指摘 「電力市場を自由化した国では原発の新設は止まっている。再処理も止まっている。経済性に劣るからではないか」。
いずれも市民側の指摘に説得力があるように思う。東海村臨海事故で日本の原子力開発は国民からの信頼感を喪失した。さらに電力自由化で電力市場における原子力の経済優位も崩れ、これまでとは全く違った局面を迎えている。原子力委員会は原子力の実情を率直に国民に示すべきだ。』


6月27日付朝刊9面に、ロンドン大西康之記者による『英政府が25日、エネルギー政策の全面的見直しに着手した』との報道記事が掲載された。『日本の関西電力向けウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の検査データ捏造問題で核燃料再処理事業が頓挫、株式の上場計画も宙に浮き、経営危機に瀕しているBNFL(英核燃料会社)の再建という、やむにやまれぬ事情もあり、原発に消極的だったブレア政権も、二期目に入り原発振興に政策転換する』というもの。
もっともここでこの記事を取り上げる理由は、別のところにある。同記事は、最後に次のような言葉で終わっている。
『欧州ではドイツ、スウェーデンなどが脱原発政策を推し進めるが、フランスに次いで英国も原発推進派に加わった。核兵器の保有国である仏、英は軍事用プルトニウムを確保する意味でも原発を手放せない。』

核兵器保有国である仏、英が原発を有することで、結果的に軍事用プルトニウムの確保という側面を持つのは理解できなくもないが、核兵器を持たない、しかも世界で唯一の被爆国というフレイズがつく日本が、原爆1500発分の原料に転用可能なプルトニウムのストックを織り込んだ六ヶ所村核燃料再処理工場と「プルサーマル計画」に異常に固執するのは、まったく理解の外である。

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