
Japan Problem/国民の政治意識
「小泉内閣のお化け支持率」
4月30日付日経新聞朝刊1/2面は、26日発足した小泉純一郎新政権の評価などを探るため、同社が26日から29日まで実施した全国世論調査(日経リサーチが全国成人男女3千人を対象に電話で。有効回答率は58.7%)の結果を報道している。
これによれば、小泉内閣の支持率は80%で、これまでの最高だった細川政権発足時の支持率70%(93年8月実施)を10ポイント上回り、不支持率も調査開始以来はじめて10%を割り、過去最低の8%であった。与野党を問わず高い支持率を幅広く得ているのが特徴で、自民党支持者で90%、連立を組む公明党支持者で83%に達したほか、民社党支持者でも81%、共産党支持者でも63%を獲得した。自民党総裁選での圧勝に続いて、有権者が首相の掲げる「改革路線」に強い期待を寄せていることが鮮明になった、と同紙は伝えている。
小泉新内閣を「支持する」と回答した人の支持する理由(複数回答):
「人柄が信頼できる」 48%
「指導力がある」 32%
「清潔である」 27%
「政策が良い」 24%
「自民党の内閣だから」 11%
「国際感覚がある」 11%
優先的に処理して欲しい政策課題(複数回答):
「景気対策」 67%
「年金・福祉など社会保障改革」 48%
「財政再建」 38%
「行政改革」 29%
「雇用対策」 29%
「憲法問題」 11%
当面の対策として期待する経済政策(複数回答):
「財政再建」 44%
「社会保障改革の将来像明確化」 39%
「預貯金金利の引き上げ」 38%
「減税」 36%
「銀行の不良債権処理の促進」 34%
「公共事業の拡大など一段の財政出動」 14%
中長期の対策として期待する経済政策(複数回答):
「景気の回復・安定」 67%
「財政再建」 38%
「社会保障改革」 35%
「預貯金金利の引き上げ」 33%
「銀行の不良債権処理の促進」 27%
景気の先行き:
「当分、良くなるとは思えない」 71%
「次第に良くなる」 16%
「今後さらに悪化する」 11%
雇用の不安:
「今はないが将来は不安だ」 39%
「すでに不安を感じている」 36%
「不安はない」 23%
同紙は、今回の世論調査の特徴として、次の3点を指摘している。
@高支持率が首相の個人的人気に支えられていることが窺える。「政策」は1999年10月の小渕内閣発足時の19%を上回る過去最高の数字で、「指導力」は96年1月の橋本内閣発足時の33%に継ぐ歴代2位の高水準。有権者は首相の政策実行力に期待していると言え、総裁選での公約を実現できるかどうかが政権の浮沈に直結しそうだ。
A多くの有権者が景気浮揚を切実な課題と受け止め、景気を下支えする政策の継続を求めている。特に30代から50代では「景気対策」を優先処理課題に挙げた人が70%以上に達し、中高年層が景気の先行きや雇用に不安を抱えていることが窺える。また、優先処理課題で「景気対策」を挙げた人の49%も当面の対策で「財政再建」を求めていて、景気対策の重視を求める声が根強い中で、首相の掲げる構造改革路線が強い支持を得ていることが分かり、有権者の「景気対策と構造改革の両立・調和」を求める傾向が浮き彫りになった。
B首相は首相公選制の導入に絞った憲法改正を主張しているが、有権者の関心は経済運営など、暮らしにかかわる分野に集中している。
また、この世論調査の結果に対する政府、自民党関係者の”驚き”の感想を、同紙は次のように伝えている。
「高い支持率で本当にびっくりした。国民の政治、経済の現状に対する鬱積が、小泉首相と内閣への期待として表れたと思う」。福田康夫官房長官は本社の世論調査結果についてこう述べ、自民党総裁選で一貫して「改革」を訴えた首相への強い期待が支持率を大きく押し上げたとの認識を示した。
自民党の山崎拓幹事長も「閉塞状況にある政治、経済、社会情勢の中で、小泉新政権の現状打破への期待が表れた。必ず改革を断行しなければならない」と強調。
”この世論調査の結果を見て、誰が一番喜ぶか?”という観点に立つのも、また一つの分析方法ではなかろうか。答えはおそらく、先の自民党総裁選の予備選で小泉氏に投票した自民党員ではあるまいか?小泉氏は、そこでも驚異的な支持率を獲得した。彼ら大勢の自民党員がなぜ雪崩れを打って小泉氏に投票したか?という疑問に答える、これまた日経新聞社によるある調査結果に関する小さな記事が、4月19日の朝刊2面にひっそりと載っていた。
DATE・・・・2001/4/19(M-2)
TITLE ・・・党改革期待で小泉氏支持拡大 県連幹事長調査
自民党総裁選で予備選を実施する各都道府県連の幹事長を対象にした日本経済新聞社の調査で、政策面では「構造改革」より「景気対策」を求める声が根強いものの、参院選をにらんで党改革への期待から小泉純一郎氏を支持する声が広がっている実情が浮き彫りになった。
今回の総裁選で重視する点として「開かれた総裁選」「参院選に勝てる総裁選び」を挙げた幹事長が最も多く、「政策重視」の声を上回った。具体的に「党改革」(秋田)、「党再生」(千葉)と指摘する回答もあった。ただ小泉氏の政策面の主張が率直に受け入れられているとは言い難い。重点を置くべき政策で圧倒的に多かったのが橋本龍太郎、亀井静香、麻生太郎の3氏が主張する「景気回復策」。小泉氏の「財政構造改革」「銀行の不良債権処理などによる経済構造改革」を重視するとした回答はそれぞれ「景気対策」重視派の4分の1にとどまった。
今回の同社世論調査の結果と、驚くほど似ていると感じないであろうか?両者共、政策面では「景気対策」を重視するにもかかわらず、「構造改革」の小泉氏に票を投じている。彼ら自民党都道府県連の幹事長連中は、この世論調査の結果を見て、まさに”してやったり”と祝杯をあげたはずである。国民は、自民党内で劣勢であったはずの小泉氏が、なぜ自民党総裁選で圧倒的支持を集めたかを、よくよく考えるべきである。彼らは、小泉氏の政策がむしろ彼らが求めている「景気対策」重視とは相反するのを承知の上で、参院選に自民党が勝てる候補者として小泉氏を選んだのだ。
今回の世論調査における小泉首相の空前の支持率は、今後に大きなインパクトを与えるものである。この高支持率を背景に、7月の参院選において自民党は圧勝するのであろうか?そうなると日本という国は、長島ジャイアンツの日本野球界のように、オールドファッションな共産主義国家のように、とてつもなく面白くない国になってしまうのではなかろうか?一方、この高支持率にもかかわらず、参院選において、野党が勝利を収めるのであろうか?もしそのようなことが起きれば、いったい今回の世論調査は何であったんだろうか、という疑問が当然湧いてくる。
さらに今後、小泉首相は、世論調査の期待を裏切らずに「構造改革」を実現すると同時に、「景気回復」をも成し遂げられるのであろうか?それとも彼は他の政治家同様、国民の期待を見事に裏切ってくれるのであろうか?
それにしてもこの世論調査に回答した人々は、小泉首相が「構造改革なくして景気回復なし」「自分は自民党の中にあって、自民党を変えていく」と何度もコメントしているのを知らないのであろうか?よくまあそのような人物を、自民党以外の政党支持者が支持できるものかと感心する。どうにもこうにもこの日本国民のお手軽な政治意識には、疑問を禁じ得ない。国民のその政治意識を変えない限り、日本は”何処まで行っても、いつか来た道”のような気がする。
(2001/05/06)
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