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Bush Problem
an Axis of evil
「悪の枢軸」
ママハナントイッテイルダロウカ?
ブッシュ大統領一般教書演説より 「これら(北朝鮮、イラン、イラク)の国はテロリストと結託し、世界の平和を脅かす為に武装して『悪の枢軸(an Axis of evil)』を構成している。大量破壊兵器を追い求め、これらの政府は重大な脅威となっている。彼らは兵器をテロリストに提供し、彼らの憎しみを実行に移す手段を与えている。彼らは米国の同盟国を攻撃し、米国に恐喝を試みるかもしれない。」
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2月12日の日経朝刊4面に、ワシントンの春原剛特派員11日発として、ブッシュ大統領が1月29日に行なった一般教書演説の中で、北朝鮮、イラン、イラクの三カ国を「悪の枢軸」と断定し国内外に大きな反響を巻き起こした問題を解説した記事が掲載された。
「SEP11」この日を境に、それ以前と以後とでアメリカはすっかり変わった、と言われる。旧ソ連崩壊そして冷戦終了後、世界の唯一の超大国として、クリントン時代の8年間に繁栄を謳歌したアメリカにおいて、少なくともアメリカ国内で、国外の敵からの武力攻撃の脅威を感じた人々はほとんどいなかったであろう。
だからこそ、「SEP11」に起きた、多数の一般乗客を道連れにしたイスラム テロリストによるWTCへの航空機突入(しかも2機の)そして炎上、崩壊の生の映像をテレビで見ながらも、多数の米国人は、恐怖にまさる驚愕を感ずることを禁じ得なかったのであった。
9月14日の日経朝刊43面は、テレビで全米に中継された映像の衝撃は大きく、「SEP11]の悲劇は、米国民の心の奥底にトラウマとなって一生の心の傷を残すことになるだろう、というトラウマ治療専門の米精神科医の言葉を伝えている。
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それでなくともナイーブなブッシュ大統領の心には、さぞかし深いトラウマが刻み込まれたであろうことは、想像に難くない。
大統領に就任して初の一般教書演説を行なうこととなったブッシュ大統領は、その中で北朝鮮、イラン、イラクの三カ国を「悪の枢軸」と呼んだ。
アフガンは、かなりうまくやった。民主党ゴア副大統領(当時)と争った一昨年11月の米国大統領選挙において、共和党員の支持者たちが口をそろえて語ったことは、「ブッシュ氏は未熟だが、父親の元大統領オールド・ブッシュから引き継いだ有能な補佐役連中がいるから、心配ない」というものであったが、確かにチェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、パウエル国務長官らのチームは、見事に国際世論をまとめて、アフガンにおけるアルカイーダとタリバン勢力の一掃にとりあえず成功したように見える。相変わらずビン・ラディンとオマル氏の捕捉には到ってはいないが、アルカイーダの戦力を大幅に削ぐに到ったことは、作戦的にはまずまずの成功と言えよう。
アフガンに関しては、ブッシュ大統領は、当初我われが懸念していたよりは、かなりうまくやったと言えるのではなかろうか。
そして1月29日、「悪の枢軸」発言があった。
この発言には、どのような狙いや意味が込められているのであろうか?
春原記者は、ブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言の裏には、「こわもて」路線から「柔軟」外交につなげるレーガン元大統領の外交・安保政策をモデルとした、ブッシュ政権の戦略が浮かび上がってくるという。
「最初に最大級の強硬姿勢を見せつけ、その後段階的に柔軟になっていくレーガン外交と基軸が同じである」と、ジョージタウン大学のカシミル・ヨスト教授の発言を引用する。
レーガンは、ソ連を「悪の帝国」と呼んだ。
ブッシュは、三カ国を「悪の枢軸」と呼んだ。
レーガンはその後、ゴルバチョフソ連元大統領との核軍縮交渉に段階的に応じた。
ブッシュは、昨年3月、台湾問題で中国を恫喝したが、「SEP11」以降、段階的により友好的関係に踏み出している。今回の東アジア訪問においても、21日に江沢民中国国家主席と首脳会談を行ない、@人権問題A大量破壊兵器の拡散問題B米国によるミサイル防衛計画C台湾問題など両国の間に横たわる基本的問題をめぐり、意見交換することになっている。
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また春原記者は、米国の一部メディアが「パウエル国務長官が追い込まれている証しではないか」と書きたて、政権内の現実派とされるパウエル長官が、ブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言で一層苦しい立場になるとする分析を、発言が予想外の反応を生んだ一例として疑念を表わしているが、実際その後の新聞報道からみても、ブッシュチームの結束とチームワークに乱れはないと、私も推測する。
『米世論調査機関、ギャラップが8日に発表した最新調査によると、北朝鮮については回答者の65%、イランは84%、イラクは88%が「好ましくない国」と指摘したそうだ。』
これらブッシュ口撃の標的にされた三カ国は、当然のことながらブッシュ発言に反発した。
<北朝鮮>
2月1日の日経朝刊8面が、「これは事実上、我われに対する宣戦布告と変わらない」と強く反発する北朝鮮外務省スポークスマンの公式見解を表明する声明を伝えた。
<イラン>
「米国に死を!」1979年のイスラム革命記念日の2月11日、各地で数十万人規模の反米デモが発生した。ハタミ大統領は演説で、「米国は力で他国を従わせようとする」と批判した。
<イラク>
米国の本格攻撃への懸念の高まるイラク政府内では、攻撃回避へ向け周辺国との関係改善を急ぐ構えだ。2月5日の日経夕刊2面は、『イラクのフセイン大統領が4日、アラブ連盟のムーサ事務局長を通じ「国連との対話を前提条件なしで再開する用意がある」との考えを表明した。アナン事務総長も「安全保障理事会の対イラク決議履行について話し合うため」イラク代表団を受け入れると述べ、協議の日程調整に入った』との記事を報道した。
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ここで1月30日日経夕刊2面に記載されたブッシュ大統領の「一般教書演説要旨」の中から、対テロ戦の部分を下記に引用する。
ブッシュ大統領「一般教書演説」要旨 米国は戦争状態にあり、経済も景気後退に陥り、文明世界は前例のない危険に直面している。しかし我われの結束はこれ以上ないほど強まっている。
米国とアフガニスタンは今やテロに反対している同盟国であり、国家再建に向けてパートナーとなるだろう。
「SEP11}の19人のテロ実行犯は訓練されていたが、その他何万人ものテロリストが世界各国に散らばっている。我われは彼らがどこにいようと追求しなければならない。テロ組織を支援する国家が米国や友好国、同盟国を大量破壊兵器で脅かすことも防がなければならない。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は国民が植えている状況でも、ミサイルと大量破壊兵器で武装するような政権だ。イランでは選挙で選ばれていない勢力が人民の自由への希望を抑圧し、積極的に大量破壊兵器の購入を試みてテロを輸出している。イラクは依然として米国への敵意を誇らしげに示している。
これらの国へ無関心を装うことの代償は計り知れない。我われは同盟国と協力してテロ組織やテロ支援国家が大量破壊兵器に関する物質、技術、専門知識を手に入れることを防ぐ。我われは米国と同盟国を突然の攻撃から守る目的で、効果的なミサイル防衛システムを開発、配備する。
テロに対する戦いは我われの任期中には終わらないかもしれないが、総力を注ぐ。一般教書(State of the Union)
米大統領合衆国憲法第二条の規定に基づき、上下両院に内外の情勢を報告し、今後1年間の全般的な施政方針を表明する。2月に発表される予算教書、大統領経済報告とともに「三大教書」と呼ばれる。大統領の演説の中で最も注目され、主要テレビ局が生中継する。議会で演説する形式になったのは、1790年1月にジョージ・ワシントン大統領が年頭演説を行なったのが由来といわれる。
大統領就任の年は同時期に就任演説があるため、行なわれず、ブッシュ大統領にとって今回が始めての一般教書演説。
ブッシュ大統領の懸念は、「大量破壊兵器」とそれを運ぶ「ミサイル」の拡散に集中している。彼は、それらを手に入れたテロリストが、米国を脅迫したり、再び「SEP11]あるいはそれを上回る悲劇を繰り返すことを憂慮している。彼が「悪の枢軸」三カ国に要求していることは、次のとおりだ。
<北朝鮮>
2月2日の日経夕刊2面は、ブッシュ大統領が1日ホワイトハウスで記者団の質問に答え、『特に北朝鮮に言及し@朝鮮半島の平和構築への意図を明確にするため、通常兵力の一部を韓国との軍事境界線沿いから撤退させるAミサイルなどの武器輸出をやめるーーことが重要との認識を表明。北朝鮮がこうした姿勢を示せば「喜んで対話に応じる」と語った』と報じた。
14日の日経夕刊2面は、パウエル米国務長官が13日、下院予算委員会の公聴会で北朝鮮の核開発疑惑について、『「彼らが必要とされる時期に査察団を受け入れない場合、すべての(軽水炉建設の)プロジェクトは止まるだろう。北朝鮮が示してきた情報の透明性や(疑惑施設への)アクセスに満足していない」と述べ、国際原子力機関(IAEA)の査察を拒んでいる北朝鮮を批判。査察を拒否し続ければ、1994年の米朝核合意に基づく朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の軽水炉建設計画全体が中断し、北朝鮮は「絶望的な状態になるだろう」と語った』と報じ、『一方ギルマン前米下院外交委員長(共和党)ら超党派の下院議員が同日記者会見し、北朝鮮が今年5月までにIAEAの核査察を受け入れない場合、米政府は重油支援を停止すべきだと主張した』ことも伝えた。
15日の日経夕刊2面は、ライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が2月14日、『北朝鮮の弾道ミサイル技術の輸出行動について「朝鮮半島に限らずアジア地域、全地球規模の危険」と指摘し、強い警告を発した。さらに「北朝鮮は(ミサイルを)買う人には誰でも輸出している」と述べ、現在も北朝鮮製のミサイル技術が第三国に拡散していると言明した。』と報道した。ライス大統領補佐官は1月31日にも、北朝鮮は「弾道ミサイルでは世界一の商人」と断言している。
<イラン>
2月1日の日経夕刊2面は、ライス大統領補佐官が1月31日、イランについて、『「@地域的および地球規模でのテロを支援し、A大量破壊兵器の獲得に積極的に動いている」と指摘した』と報道した。
2月12日の日経夕刊2面は、バウチャー米国務省報道官が11日の記者会見で、『今後、イランが米国との関係を改善するためには、@大量破壊兵器の購入や開発を放棄し、Aテロ組織への支援をやめるべきだと要求』したと報道。
<イラク>
2月6日の日経夕刊2面は、パウエル米国務長官が5日の米上院外交委員会の証言で、『大量破壊兵器の開発を巡る査察問題でイラクが国連に再開に向けた協議を提案したことに触れ、イラクへの新たな経済措置を導入する考えも改めて示し、イラクの核、生物兵器開発を阻止する決意を表明した。長官は「(国連の)査察官はほかの誰でもなく、我われの条件に従って、(イラク国内に)戻らなければならない」と述べ、イラクのサダム・フセイン政権による国連との協議要請をけん制した。同時に「国連安全保障理事会の決議に基づき、この邪悪な政権は我われが疑っていることを行なっていないと世界に示す責務を負っている」と述べ、国連査察の無条件受け入れをイラクに求めた』と報道した。
14日の日経夕刊2面は、ブッシュ大統領が13日、訪米中のムシャラク・パキスタン大統領と会談後の共同会見で、次のように語ったことを伝えた。『サダム・フセインは私が国を守ることに真剣であることを理解すべきだ。自由世界は、(兵器開発を断念するか続行するかの)選択を迫らなければならない」と言明。フセイン政権が国連による査察受け入れを拒否し続ける場合、「あらゆる選択肢を保持する」と、将来の可能性として大規模軍事行動も除外しないとの姿勢を強調した。』
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2月7日の日経夕刊2面が、テネット米中央情報局(CIA)長官の6日の上院情報特別委員会での証言を、次のように報道した。
『2015年までにはブッシュ大統領が「悪の枢軸」と呼んだ北朝鮮、イラン、イラクが大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発し、米国の脅威となるとの見通しを示した。
長官は北朝鮮は、ミサイルの完成品や部品、原材料、開発技術の拡散を続けており、エジプト、リビア、シリア、イランを主要な取引相手にしていると指摘。そのうえで「北朝鮮支配による朝鮮半島統一という目標を放棄したという証拠はない」と語った。
イラクについては「サダム・フセインは核開発を諦めていないと思う」と言明。
イランに関しても数年で兵器に転用可能な核物質を自力で開発する可能性があるとして、これら三カ国による大量破壊兵器の開発・製造に強い懸念を示した。
なた長官は「テロ組織アルカイダは壊滅していない」と、新たなテロの危険は依然として消えないことも力説、引き続き警戒を呼び掛けた。』
ブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言の出た一般教書演説に対する、ある識者の見方を取り上げたい。1月31日の日経朝刊8面が、英王立国際問題研究所のビクター・バルマーt−マス理事長の見方を報じた。
同氏は、ブッシュ大統領の演説の中で、「ユニラテラリズム(単独主義)」が鮮明となった点を強調した。
その一点は、テロや「ならずもの国家」との長期戦を遂行する強い意志を打ち出したくだりで、北朝鮮やイランに言及した部分。日欧が対話と関与を政策の柱にすえて両国からの脅威を減らそうとしているのに対し、ブッシュ演説は対決姿勢を示した。
もう一点は、対テロ戦争の第二段階で日本や英仏独など同盟国の支持を重視する表現がなかった点。米国が方針を決め、同盟国の支持の有無にかかわらずそれを貫くとの意思表示だ。
バルマートーマス理事長は最後に、テロ訓練施設をたたくだけではなく、イスラム諸国の若者の意識を変えない限り、アメリカがテロの標的になる危険性はなくならないと語り、ブッシュ演説はこの点にほとんど触れず、逆にイスラエル寄りの姿勢を強めている、と指摘している。
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2月5日の日経夕刊2面に、バイデン米上院外交委員長(民主党)が4日の講演で、『ブッシュ政権が対イラク政策の選択肢として検討している武力行使を条件付で容認する姿勢を示した。国連安全保障理事会による経済制裁の継続を柱とした現在の対イラク政策を、「状況改善が期待できない」と批判。フセイン政権が大量破壊兵器などで適切に対処しない場合は、ロシアなど関係国の理解を得たうえで攻撃すべきだと主張した』との記事を報道した。
同氏は一方、『ブッシュ大統領がイラク、イラン、北朝鮮をひとまとめに「悪の枢軸」と発言したことは支持できないと表明。「これらの国にはそれぞれ違うやり方で接しなければならない」と述べた』ことも報じた。
10日の日経朝刊5面は、スペインのカセレスで9日開かれた欧州連合(EU)の外相理事会終了後の記者会見で、『EUのパッテン欧州委員(外交担当、英国出身)が米国の外交政策を「多数国参加主義を脅かす」と痛烈に批判。議長国スペインのピケ外相も、米がテロ支援国家と位置づけるイランをEUが支援していることについて「改革を後押ししている」とし、米とは考えが異なることを強調した。自国の考えに合わない政策を否定する米の姿勢に対する不満が一気に噴き出した形だ』と報道した。
同面には、8日パリで開かれた欧州連合(EU)各国議員の会合で、イラン、イラク、北朝鮮を名指ししたブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言を、フランスのジョスパン首相が厳しく批判した次の記事が載った。
『ジョスパン首相は、「国際社会は様々な問題に、ともに取り組むことができる。一カ国で解決しようなどと思うべきではない。世界は協調の枠組みの中で社会安定を探るもの」としたうえで、「軍事力の優位を背景に、”テロとの対決”ですべてを単純化することはできない。一方的外交という誘惑に米国が負けないことを望む」と軌道修正を促した。ベドリヌ外相も「超大国が独走する」と米の姿勢に懸念を表明した。』
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2月1日の日経夕刊2面は、一般教書演説の翌々日となる1月31日、ブッシュ大統領がジョージア、フロリダ州などを歴訪し演説したことを報じた。
『ジョージア州アトランタでは、「米国と同盟国を脅迫すれば、この国(米国)による裁きが下る」と言明。フロリダ州デイトナビーチでは、「邪悪な存在によって、米国および自由を愛する国々を恫喝させるわけにはいかない」と述べ、北朝鮮、イラン、イラク三カ国による大量破壊兵器、弾道ミサイル開発を阻止する強い決意を示すとともに、「残る世界も我われと共にいる必要がある」と各国に同調するように求めた。』
ブッシュ政権の外交戦略について、「最初に最大級の強硬姿勢を見せつけ、その後段階的に柔軟になっていくレーガン外交と基軸が同じである」とするカシミル・ヨスト教授の分析を取り上げて、春原記者が解説していることは既述の通りである。
ブッシュ大統領が1月29日の一般教書演説で「悪の枢軸」発言をした翌30日には、早やフライシャー米報道官が「悪の枢軸」発言は、「(米国の)軍事行動が差し迫っているというシグナルを送るものではない」と軌道修正を図っていることを、1月31日の日経夕刊2面が報じている。次の記事もあった。
『バウチャー米国務省報道官は同日の定例会見で、北朝鮮とイランについて、核・ミサイル問題の解決に向け、二国間対話に応じる用意があると表明した。』
ブッシュ戦略は、まずイラクに向けられているようである。
2月6日の日経朝刊8面は、『米紙ロサンジェルス・タイムズが5日、イラクに対する軍事行動を支持する米市民が77%に達したとの世論調査を発表した』と報じた。
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アメリカとイラクの関係は、周知の事実である。ブッシュ大統領に「悪の枢軸」呼ばわりされても、サダム・フセインに驚きのかけらもなかったであろう。しかし北朝鮮、イランの二国は、ブッシュ大統領による突然の「悪の枢軸」呼ばわりに、はじめ驚愕を感じ、大きなショックを受けたに違いない。それは直ぐに最大限の怒りと同時に怖れに変わっていった。
「SEP11」は、米国にとって信じがたい悲劇であった。ブッシュ大統領の発言の片隅には、明らかにそのトラウマが見受けられる。彼は「米国はいま戦争状態にある」と言う。二度とテロリストに米国内を荒らされてなるものか、というブッシュ大統領の悲痛な心の叫びが聞こえる気がする。私も二度と米国で「SEP11]が繰り返されてほしくはない。誰もが同じ気持ちであろう。
テロリストが核兵器を保有して米国の大統領に恫喝を仕掛けてきたら・・・。それは今や決して単なる悪夢ではなく、近未来に現実世界で起りうることなのである。なぜならソ連崩壊後のロシアからは、核技術が拡散したと推測され、北朝鮮からは、弾道ミサイルが世界に拡散されている。ブッシュ大統領の言うことは、正論である。
しかし、何かが違う。フランスのジョスパン首相の言葉は、ブッシュ大統領の言葉よりも我われの胸を打つ。
ブッシュ大統領の心にある「戦争」ではない現実世界の「戦争」が起らず、米国も段階的に譲歩をしていくことで「悪の枢軸」の特に北朝鮮とイランにテロリストに渡るような核とミサイルの拡散とテロ支援を思いとどまらせることができたなら、これはブッシュ戦略の大勝利といえよう。もしそれに失敗したら、取り返しがつかないことになるかもしれない。
春原記者は、ブッシュ大統領は、外交で「最初はソフトな姿勢で臨み、途中で強硬姿勢を取り、また突然譲歩した」(カシミル・ヨスト教授)ために場当たり的とも言われたクリントン前大統領を、反面教師としているようだ、と解説する。
クリントンとブッシュ。民主党員と共和党員。正反対といってもいいくらいの二人の違い。クリントン外交からブッシュ外交へ。同じ米国を相手にしていながら、大統領が代わることでほとんど正反対の方向へ米国の外交が変わってしまったことに、中国をはじめ、特に今回の北朝鮮、イランは頭を抱えてしまっていることであろう。
私は決して米国に対するテロリストの脅威を過小評価しない。テロリストに核・生物兵器やミサイル技術を与える国も、許すわけにはいかない。米国に二度と再び「SEP11」を起こしてはならない。にもかかわらず、私はブッシュ外交、ブッシュ戦略、ブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言は、間違っていると感じる。フランスのやっていることは必ずしも正しくないが、ジョスパン首相の言っていることは正しい。
いまソルトレークシチーで、冬季オリンピックが開催されている。これほどまでに警戒してオリンピックを開催しなければならない、ということそのものが、ブッシュ戦略の誤りを象徴しているのではなかろうか?ブッシュ大統領は、いま米国は「戦争状態」にあるという。いったいいつまで「戦争状態」を続けるつもりであろうか?2年?5年?10年?永遠に?
永遠に続けることはできない。やはりブッシュ外交、ブッシュ戦略は間違っている。
ブッシュ大統領には、ジョスパン首相の言った言葉をよく考えていただきたい。
「国際社会は様々な問題に、ともに取り組むことができる。
一カ国で解決しようなどと思うべきではない。
世界は協調の枠組みの中で社会安定を探るもの。
軍事力の優位を背景に、”テロとの対決”ですべてを単純化することはできない。
一方的外交という誘惑に米国が負けないことを望む。」
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1月15日の日経朝刊7面に、ワシントンの安藤淳特派員から面白いニュースが届けられた。
『ブッシュ米大統領は13日(日)夕、ホワイトハウスでごく一時、軽い失神を起こした。
フットボールをテレビで観戦中、食べていた菓子がのどに詰まったのがきっかけという。
ソファから落ちた際に軽い傷を負ったが、数秒で意識が戻った。
専門家などによると、スナック菓子のプレッツェルが機関紙に入り神経を刺激。
これが脳への酸素の供給を一時的に減らし、失神につながったとみられる。
意識回復後の検査の結果、脈拍などは正常。
14日朝に報道陣の前に姿を見せた大統領は、左の頬の擦り傷とあざがはっきりと見えるものの元気な様子。
「お母さんはいつもプレッツェルを食べる時にはよくかんでから飲み込めと言っていた。お母さんの言うことは聞かないとね」と冗談を飛ばし、しっかりとした足取りでヘリコプターに乗り込み出発した。』
ブッシュ大統領、お母さんは今回のあなたの「悪の枢軸」発言を、なんと言っているんでしょうね?
(2002/02/16)
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